2010/05/11(火) - 21:45
2010年5月8日、静岡県の日本サイクルスポーツセンター(以下CSC)の北400mトラックで、日本学生自転車競技連盟(以下学連)と日本障害者自転車協会(以下JCAD)などが主催する3つのトラック大会が、同時開催された。
日本CSCで学連とJCAD共催のトラック3大会が同時開催
学連の大会は2つで、それぞれ2010年度全日本学生トラックレースシリーズの第2、第3戦となる、「第12回修善寺カップ女子オープントラック・ロードレース大会」1日目のトラック種目と、男子の「ピスト競技記録会」だ。
さらにJCADの「2010日本障害者自転車競技大会・日本パラサイクリング選手権(トラック)」が加わり、3大会の計15種目を交互に組んだ構成で、この日のプログラムは進められた。
■女子大会は近藤美子が総合トップ
ロンドン五輪に向けてのトラック短距離の女子強化育成選手、沼部早紀子(マットベローチェARIAKE)は、200mフライングTT、500mTTと得意の短距離系でトップに。また、同じく中距離女子強化育成選手の田中まい(日本体育大学)も、3km個人追抜で1位。いっぽう、短距離から長距離までオールラウンドに強い近藤美子(鹿屋体育大学)は、ポイントレース1位のほかトラック各種目でも2位につけ、8日のトラック全種目終了時点で、女子オムニアムのトップとなった。
女子の「第12回修善寺カップ女子オープントラック・ロードレース大会」は、この8日のトラックと翌9日のロードレースの総合点で争われる大会だが、翌日のロードレースで近藤は3位となり、2位の田中、4位の沼部を総合成績で上回って総合トップの座に着いた。
「ロンドンから五輪種目にオムニアムが入り、国際的には長距離を走る選手の中から速い選手が出ているなど、少し地図が変わってきているという印象。オムニアムの総合ポイントで争う女子の大会は少なく、学生以外も参加できるこのレースは貴重な機会。女子の強化に取り組んできた学連の考え方とも一致した、意味ある大会」と関係者はこの大会を語る。
ほか、注目を集めた若手女子は中学生の三宅玲奈(荘内中学校)。500mTTで大学生選手らをおさえて出走13人中5位など好成績をあげた。
■男子記録会、西薗良太はポイントでも快走
「ピスト競技記録会」では、学生ロード王者の西薗良太(東京大学)が、男子ポイントレースでも鮮やかな走りを見せた。最初のポイント周回の後、盛田祐矢(日本体育大学)とともに西薗が集団から飛び出す。2人は集団に半周差をつけて先頭でポイントを重ね、4回目のポイント周回ののち西薗が単独でラップを決め勝者となった。
「盛田くんが勇気を持って飛び出したので、乗ろうと思いました。本当は、もう少し(東京大学の)後輩を動かして経験を積ませたかったんですが…(笑)」と西薗。「1回目は西薗さんが獲りに行っていなかったので、来るかなと思って」と盛田。
西薗はこの翌9日、CSCの5kmサーキットで行われた全日本学生ロードレースカップシリーズ第2戦「第12回修善寺オープンロードレース大会」でも、チーム・ブリヂストンアンカーの山本、普久原ら、U23の選手たちを抑え優勝を飾った。
■パラサイクリングには期待の新顔デビュー
パラサイクリングでは、北京パラリンピックのスプリントで4位入賞した大城竜之が、パイロットに現役競輪選手の伊藤保文を迎えての新ペアで臨んだ。1kmTTのあと「もうちょっといいタイムだと思った」と戦意を見せる大城。伊藤は「まだ息があっていない。トップスピードの足りなさなど課題もたくさんあって、今後の可能性は十分!」とペアの伸びしろを感じさせるたのもしいコメント。
また、これがパラサイクリングでのデビューとなる元競輪選手の多以良泉己も、C4クラスで1位と初陣を飾った。レース前は「完走が目標」と言っていた多以良。「怪我で引退する前を考えたら納得できるタイムとはいえないけれど、これが自分のゼロからのスタート。ここから、縮めるように挑んでいきたい」と、新たな目標への手応えをつかんだ喜びを語っていた。
なお、今大会での障害クラスは、今年から再編されたUCIの国際的なクラス分け規定に準じた、国内での暫定クラス分けである。
8日夕刻の閉会式では、「ピスト競技記録会」の男子ポイントレースと、パラサイクリング各種目の表彰が行われた。学連の各選手は翌日のロードレースへ、障害者選手らは今シーズンへの気持ちも新たに、新緑のさわやかな1日のレースは幕を閉じた。
【各種目の主な成績】
(M)=ピスト競技記録会
(F)=第12回修善寺カップ女子オープン
トラック・ロードレース大会
(P)=2010日本障害者自転車競技大会・
日本パラサイクリング選手権(トラック)
(M)200mフライングTT男子
1位 和田拓磨(明治大学) 11秒634
(M)1kmTT
1位 谷岡駿(朝日大学) 1分11秒218
(P)200mフライングTT[障害クラス男子B&VI]
1位 大城竜之・伊藤保文 10秒818
(M)男子チームスプリント
1位 朝日大学(吉田匡志・尾形鉄馬・松本諒太) 1分26秒289
(M)男子個人追抜4km
1位 榊原健一(中京大学) 5分06秒159
(F)200mフライングTT女子
1位 沼部早紀子(マットベローチェARIAKE) 12秒748
(P)1kmTT
[C3]1位 藤田征樹 1分18秒120
[C4]1位 多以良泉己 1分22秒284
[C5]1位 阿部学宏 1分17秒344
[B&VI]1位 大城竜之・伊藤保文 1分08秒803
(F)500mTT
1位 沼部早紀子(マットベローチェARIAKE) 38秒465
(M)タンデム400mTT
1位 尾形鉄馬・松本諒太(朝日大学) 22秒075
(F)女子個人追抜2km
1位 中村妃智(千葉経済大学附属高校) 2分50秒036
(F)女子個人追抜3km
1位 田中まい(日本体育大学) 4分09秒974
(P)個人追抜
[C3]3km 1位 藤田征樹 4分05秒285
[C4]4km 1位 島崎晃 6分21秒776
[C5]4km 1位 阿部学宏 5分40秒249
(M)男子ポイントレース
1位 西薗良太(東京大学)42点
(F)女子ポイントレース
1位 近藤美子(鹿屋体育大学)23点
(M)団体追抜4km
1位 朝日大学(大場政登志・武田直也・山本琢也・渡邉浩幸)
4分45秒220
リザルト等は以下のサイトでご確認ください。
日本学生自転車競技連盟
日本障害者自転車協会
Photo&text: Yuko SATO
日本CSCで学連とJCAD共催のトラック3大会が同時開催
学連の大会は2つで、それぞれ2010年度全日本学生トラックレースシリーズの第2、第3戦となる、「第12回修善寺カップ女子オープントラック・ロードレース大会」1日目のトラック種目と、男子の「ピスト競技記録会」だ。
さらにJCADの「2010日本障害者自転車競技大会・日本パラサイクリング選手権(トラック)」が加わり、3大会の計15種目を交互に組んだ構成で、この日のプログラムは進められた。
■女子大会は近藤美子が総合トップ
ロンドン五輪に向けてのトラック短距離の女子強化育成選手、沼部早紀子(マットベローチェARIAKE)は、200mフライングTT、500mTTと得意の短距離系でトップに。また、同じく中距離女子強化育成選手の田中まい(日本体育大学)も、3km個人追抜で1位。いっぽう、短距離から長距離までオールラウンドに強い近藤美子(鹿屋体育大学)は、ポイントレース1位のほかトラック各種目でも2位につけ、8日のトラック全種目終了時点で、女子オムニアムのトップとなった。
女子の「第12回修善寺カップ女子オープントラック・ロードレース大会」は、この8日のトラックと翌9日のロードレースの総合点で争われる大会だが、翌日のロードレースで近藤は3位となり、2位の田中、4位の沼部を総合成績で上回って総合トップの座に着いた。
「ロンドンから五輪種目にオムニアムが入り、国際的には長距離を走る選手の中から速い選手が出ているなど、少し地図が変わってきているという印象。オムニアムの総合ポイントで争う女子の大会は少なく、学生以外も参加できるこのレースは貴重な機会。女子の強化に取り組んできた学連の考え方とも一致した、意味ある大会」と関係者はこの大会を語る。
ほか、注目を集めた若手女子は中学生の三宅玲奈(荘内中学校)。500mTTで大学生選手らをおさえて出走13人中5位など好成績をあげた。
■男子記録会、西薗良太はポイントでも快走
「ピスト競技記録会」では、学生ロード王者の西薗良太(東京大学)が、男子ポイントレースでも鮮やかな走りを見せた。最初のポイント周回の後、盛田祐矢(日本体育大学)とともに西薗が集団から飛び出す。2人は集団に半周差をつけて先頭でポイントを重ね、4回目のポイント周回ののち西薗が単独でラップを決め勝者となった。
「盛田くんが勇気を持って飛び出したので、乗ろうと思いました。本当は、もう少し(東京大学の)後輩を動かして経験を積ませたかったんですが…(笑)」と西薗。「1回目は西薗さんが獲りに行っていなかったので、来るかなと思って」と盛田。
西薗はこの翌9日、CSCの5kmサーキットで行われた全日本学生ロードレースカップシリーズ第2戦「第12回修善寺オープンロードレース大会」でも、チーム・ブリヂストンアンカーの山本、普久原ら、U23の選手たちを抑え優勝を飾った。
■パラサイクリングには期待の新顔デビュー
パラサイクリングでは、北京パラリンピックのスプリントで4位入賞した大城竜之が、パイロットに現役競輪選手の伊藤保文を迎えての新ペアで臨んだ。1kmTTのあと「もうちょっといいタイムだと思った」と戦意を見せる大城。伊藤は「まだ息があっていない。トップスピードの足りなさなど課題もたくさんあって、今後の可能性は十分!」とペアの伸びしろを感じさせるたのもしいコメント。
また、これがパラサイクリングでのデビューとなる元競輪選手の多以良泉己も、C4クラスで1位と初陣を飾った。レース前は「完走が目標」と言っていた多以良。「怪我で引退する前を考えたら納得できるタイムとはいえないけれど、これが自分のゼロからのスタート。ここから、縮めるように挑んでいきたい」と、新たな目標への手応えをつかんだ喜びを語っていた。
なお、今大会での障害クラスは、今年から再編されたUCIの国際的なクラス分け規定に準じた、国内での暫定クラス分けである。
8日夕刻の閉会式では、「ピスト競技記録会」の男子ポイントレースと、パラサイクリング各種目の表彰が行われた。学連の各選手は翌日のロードレースへ、障害者選手らは今シーズンへの気持ちも新たに、新緑のさわやかな1日のレースは幕を閉じた。
【各種目の主な成績】
(M)=ピスト競技記録会
(F)=第12回修善寺カップ女子オープン
トラック・ロードレース大会
(P)=2010日本障害者自転車競技大会・
日本パラサイクリング選手権(トラック)
(M)200mフライングTT男子
1位 和田拓磨(明治大学) 11秒634
(M)1kmTT
1位 谷岡駿(朝日大学) 1分11秒218
(P)200mフライングTT[障害クラス男子B&VI]
1位 大城竜之・伊藤保文 10秒818
(M)男子チームスプリント
1位 朝日大学(吉田匡志・尾形鉄馬・松本諒太) 1分26秒289
(M)男子個人追抜4km
1位 榊原健一(中京大学) 5分06秒159
(F)200mフライングTT女子
1位 沼部早紀子(マットベローチェARIAKE) 12秒748
(P)1kmTT
[C3]1位 藤田征樹 1分18秒120
[C4]1位 多以良泉己 1分22秒284
[C5]1位 阿部学宏 1分17秒344
[B&VI]1位 大城竜之・伊藤保文 1分08秒803
(F)500mTT
1位 沼部早紀子(マットベローチェARIAKE) 38秒465
(M)タンデム400mTT
1位 尾形鉄馬・松本諒太(朝日大学) 22秒075
(F)女子個人追抜2km
1位 中村妃智(千葉経済大学附属高校) 2分50秒036
(F)女子個人追抜3km
1位 田中まい(日本体育大学) 4分09秒974
(P)個人追抜
[C3]3km 1位 藤田征樹 4分05秒285
[C4]4km 1位 島崎晃 6分21秒776
[C5]4km 1位 阿部学宏 5分40秒249
(M)男子ポイントレース
1位 西薗良太(東京大学)42点
(F)女子ポイントレース
1位 近藤美子(鹿屋体育大学)23点
(M)団体追抜4km
1位 朝日大学(大場政登志・武田直也・山本琢也・渡邉浩幸)
4分45秒220
リザルト等は以下のサイトでご確認ください。
日本学生自転車競技連盟
日本障害者自転車協会
Photo&text: Yuko SATO