世界最速を決めるロード世界選手権男子エリート個人タイムトライアルでローハン・デニス(オーストラリア)が快走。2位に入った19歳のレムコ・エヴェネプール(ベルギー)に1分以上のタイム差をつける圧倒的な走りでデニスが大会連覇を果たした。


最終走者のローハン・デニス(オーストラリア)がトップタイムを連発最終走者のローハン・デニス(オーストラリア)がトップタイムを連発 photo:Kei Tsuji
男子エリート個人タイムトライアル男子エリート個人タイムトライアル photo:Yorkshire2019男子エリート個人タイムトライアル男子エリート個人タイムトライアル photo:Yorkshire2019

イギリス・ヨークシャー地方のハロゲートで開催されているロード世界選手権の4日目、男子エリートの最速を決める個人タイムトライアルがノーザラートンをスタートする54kmで行われた。

ハロゲートを目指して田園地帯を南下するコースは後半にかけて平坦と呼べる区間がないほど起伏に富んだもの。登坂距離が1kmに達するような登りは稀で、細かい登りと下りがコースプロフィールにノコギリの歯を描き出す。しかもイギリス特有の石垣や生垣に囲まれた圧迫感のある田舎道が大半。地形的には「山」ではなく「丘」だが、地形に合わせて張り巡らされた道は曲がりくねり、勾配も常に変化する。実際に、6位に入ったローソン・クラドック(アメリカ)の最高スピードは83.9km/hに達しており、その下り区間直後の登り返しでは20km/h程度にまでスピードが落ちている。

とにかくリズムが掴みにくく、とにかく変速する機会が多い獲得標高差684mの難コース。今シーズン開催された個人タイムトライアルの中で最も長い54kmというロングコースに、38カ国57名のエリート選手たちが挑んだ。

ヨークシャー地方の田園風景の中を走るヨークシャー地方の田園風景の中を走る photo:Kei Tsuji
14位に入ったジョン・アーチボルド(イギリス)14位に入ったジョン・アーチボルド(イギリス) photo:Kei Tsuji
イギリスらしいレンガ造りの家々を通過していくイギリスらしいレンガ造りの家々を通過していく photo:Kei Tsuji
地元の声援を受けたアレックス・ドーセット(イギリス)は5位/2分01秒差地元の声援を受けたアレックス・ドーセット(イギリス)は5位/2分01秒差 photo:Kei Tsuji
2位/1分08秒差 レムコ・エヴェネプール(ベルギー)2位/1分08秒差 レムコ・エヴェネプール(ベルギー) photo:Kei Tsuji
地の利を生かして多くのコーナーをDHバーを持ったまま駆け抜けたアレックス・ドーセット(イギリス)が中盤に最速タイムを記録したものの、すぐにトラック個人追い抜きで4分07秒456の世界記録を持つフィリッポ・ガンナ(イタリア)が首位を奪う。しかしガンナの暫定トップも長続きしなかった。

第1計測(16.7km地点)でガンナのタイムを更新したのは19歳のレムコ・エヴェネプール(ベルギー)。1年前のジュニアカテゴリーで圧勝したエヴェネプールは第2計測(37.7km地点)でさらにそのリードを広げ、ガンナに47秒差を付けてフィニッシュする。好走しながらも落車&メカトラに見舞われたヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)と落車に見舞われたイヴ・ランパールト(ベルギー)がタイムを失う中、U23カテゴリーを飛ばしてエリートで走る19歳の世界タイトル獲得が現実味を帯びた。

19歳のレムコ・エヴェネプール(ベルギー)が2位/1分08秒差19歳のレムコ・エヴェネプール(ベルギー)が2位/1分08秒差 photo:Luca Bettini
3位/1分55秒差 フィリッポ・ガンナ(イタリア)3位/1分55秒差 フィリッポ・ガンナ(イタリア) photo:Luca Bettini
12位/3分差 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)12位/3分差 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア) photo:Kei Tsuji
落車とメカトラに見舞われたヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)は11位/2分49秒差落車とメカトラに見舞われたヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)は11位/2分49秒差 photo:Kei Tsuji
ハロゲートに向かうハロゲートに向かう photo:Kei Tsuji
ツール・ド・フランス第12ステージでリタイアし、事実上バーレーン・メリダと決別する形となったローハン・デニス(オーストラリア)は1年前に世界タイトルを獲った時と同じBMC社の黒塗りTTバイクでスタートを切った。コンディションに懐疑的な目が向けられながらも、デニスの走りは前半から際立っていた。

「自分のリズムを刻んで、最初の計測地点で20秒リードしていることを確認。そこから登りで出しきらないことを心がけながらペースをさらに上げた」というデニスは第1計測(16.7km地点)でエヴェネプールから19秒リードし、第2計測(37.7km地点)でさらにそのリードを1分06秒にまで広げた。

1分30秒先にスタートした前走者カンペナールツをパスし、さらに3分先にスタートしたブエルタ・ア・エスパーニャ覇者プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)を追い抜いたデニス。全ての計測ポイントでトップタイムを連発したデニスがエヴェネプールに1分08秒差を付けてフィニッシュした。最終走者の特権として、デニスはフィニッシュラインで拳を突き上げた。

黒塗りバイクで走るローハン・デニス(オーストラリア)黒塗りバイクで走るローハン・デニス(オーストラリア) photo:Kei Tsuji
下位に1分以上のタイム差を付けて勝利したローハン・デニス(オーストラリア)下位に1分以上のタイム差を付けて勝利したローハン・デニス(オーストラリア) photo:Luca Bettini
3分先にスタートしたログリッチェと並んでフィニッシュするローハン・デニス(オーストラリア)3分先にスタートしたログリッチェと並んでフィニッシュするローハン・デニス(オーストラリア) photo:CorVos
駆けつけた妻と息子と勝利を喜ぶローハン・デニス(オーストラリア)駆けつけた妻と息子と勝利を喜ぶローハン・デニス(オーストラリア) photo:CorVos
「昨年(インスブルック大会)と同じペースで走ることに徹した。常にブラッド・マクギー(ナショナルコーチ)から情報が入ってきていたし、パーフェクトな走りだった」と、大会連覇を達成したデニスは語る。緩い向かい風、距離54km、獲得標高差684mのコースをデニスは平均スピード49.778km/hで駆け抜けている。

2ヶ月ぶりの表舞台となったが、アルカンシェルに袖を通したその顔の絞れ具合からは周到な調整を感じさせた。「もちろんこの勝利に向けての準備は今日始まったことじゃない。家で長い時間を過ごし、トレーニングをこなしながら気持ちの準備を進めた。決して簡単な道ではなかったことは確かで、支えてくれた人々に感謝したい。ツール以降、色んなことを言われ続けてきたけど、こうして勝利で盛り返すことができてスペシャル。連覇に向けてこの世界選手権に最高の状態で挑みたいと思っていたし、まだレースを諦めたわけじゃないことを見せつけたかった。レースをするためにここに来て、勝つためにここに来たんだ。まだこのままこのスポーツに打ち込みたい」。デニスはツールでの『出来事』についての言及を避け、来シーズンの活動についても明らかにしていない。

2位レムコ・エヴェネプール(ベルギー)、1位ローハン・デニス(オーストラリア)、3位フィリッポ・ガンナ(イタリア)2位レムコ・エヴェネプール(ベルギー)、1位ローハン・デニス(オーストラリア)、3位フィリッポ・ガンナ(イタリア) photo:Kei Tsuji
4位/1分57秒差 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド)4位/1分57秒差 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド) photo:Luca Bettini5位/2分01秒差 アレックス・ドーセット(イギリス)5位/2分01秒差 アレックス・ドーセット(イギリス) photo:Luca Bettini
9位/2分27秒差 トニー・マルティン(ドイツ)9位/2分27秒差 トニー・マルティン(ドイツ) photo:Luca Bettini10位/2分46秒差 シュテファン・キュング(スイス)10位/2分46秒差 シュテファン・キュング(スイス) photo:Luca Bettini
ロード世界選手権2019男子エリート個人タイムトライアル結果
1位ローハン・デニス(オーストラリア)1:05:0549.778
2位レムコ・エヴェネプール(ベルギー)0:01:0848.915
3位フィリッポ・ガンナ(イタリア)0:01:5548.354
4位パトリック・ベヴィン(ニュージーランド)0:01:5748.328
5位アレックス・ドーセット(イギリス)0:02:0148.273
6位ローソン・クラドック(アメリカ)0:02:0748.207
7位タネル・カンゲルト(エストニア)0:02:0748.203
8位ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル)0:02:0948.177
9位トニー・マルティン(ドイツ)0:02:2747.971
10位シュテファン・キュング(スイス)0:02:4647.741
11位ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)0:02:4947.707
12位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)0:03:0047.583
13位ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア)0:03:0047.576
14位ジョン・アーチボルド(イギリス)0:03:1047.458
15位ディラン・ファンバーレ(オランダ)0:03:3647.164
16位エドアルド・アッフィニ(イタリア)0:03:3747.155
17位カスパー・アスグリーン(デンマーク)0:03:3747.149
18位ピエール・ラトゥール(フランス)0:03:4447.071
19位チャド・ハガ(アメリカ)0:03:5746.929
20位マチェイ・ボドナル(ポーランド)0:04:0046.892
text&photo:Kei Tsuji in Harrogate, United Kingdom
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