2019/09/23(月) - 00:50
Jプロツアー第18戦の「経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」が、広島県中央森林公園で開催され、オールイス・アルベルト・アウラールが優勝。マトリックスパワータグが3位までを独占し、3年連続で輪翔旗を獲得した。
昨年優勝のフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)から、輪翔旗が今中大介JBCF副理事長に返還される photo:Satoru Kato
Jプロツアー最高のステータスを誇るレースが「経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」。53回目の開催となる今回の会場は、広島県中央森林公園。広島空港の外周を1周する12.3kmのコースは、過去にアジア大会のロードレースや全日本選手権が開催された由緒あるコースだ。
台風17号が接近中も、ドライ路面でスタート photo:Satoru Kato
前戦の南魚沼ロードレースを終えて、総合首位の証「プロリーダージャージ」を着る岡篤志(宇都宮ブリッツェン)と、総合2位のオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)の差は452ポイント。Jプロツアーはこのレースを含めて残り5戦だが、そのうち1戦はチームタイムトライアルの大会のため個人ランキングのポイントは加算されない。一方で今回と最終戦は、JBCF(一般社団法人 日本実業団自転車競技連盟)が設定するレースグレードの最高ランク「プラチナ」に指定されるポイント配分が高いレース。それによりアウラールは残り4戦を全て勝てば逆転で総合優勝できる可能性を残している。
広島空港の誘導灯の下をくぐる集団 photo:Satoru Kato
台風17号の接近により大会の開催が危ぶまれたが、14周172.2kmで予定されていたレース距離を13周159.9kmに短縮し、スタート時間を早めるなどの対策を講じて行われることになった。Jプロツアーが行われた午後は大雨の予報が出ていたが、奇跡的に小雨ないし短時間の雨で済んだ。しかし一時的に濡れた路面で落車やパンクのトラブルが続出。レース結果にも影響を与えた。
アウラール、マンセボ、トリビオでマトリックス1-2-3フィニッシュ
2周目に形成された先頭集団 地元ヴィクトワール広島の藤岡克磨が加わる photo:Satoru Kato
序盤 メイン集団先頭はマトリックスパワータグが固める photo:Satoru Kato
レースは2周目に動いた。10名ほどの集団が先行し、その後8名に絞られた先頭集団が形成される。メイン集団との差はレース中盤までに4分30秒まで広がる。メンバーは、ホセ・ビセンテ・トリビオ、アイラン・フェルナンデス・カサソラ(以上マトリックスパワータグ)、石橋学、孫崎大樹(以上チームブリヂストンサイクリング)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、入部正太朗(シマノレーシング)、中島康晴(キナンサイクリングチーム)、柴田雅之(那須ブラーゼン)。
メイン集団はマトリックスパワータグがコントロール。これに呼応して、先頭集団のトリビオとカサソラはローテーションに加わらない。レースが中盤から終盤に差しかかる頃、先頭集団ではカサソラが落車して遅れ、さらに中島も落車して遅れる。6人になった先頭集団は入部、増田、石橋らが中心となって牽引していくが、マトリックスパワータグがペースアップさせた集団に差を詰められていく。
9周目 展望台への登りで先頭集団のペースアップを図る入部正太朗(シマノレーシング) photo:Satoru Kato
9周目 メイン集団を牽引するマトリックスパワータグに並走して声をかける安原監督 photo:Satoru Kato
フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)がオールイス・アルベルト・アウラールを引き連れて前を追う photo:Satoru Kato
10周目、1分30秒まで差が縮まると、フランシスコ・マンセボ、オールイス・アルベルト・アウラール(以上マトリックスパワータグ)、徳田優(チームブリヂストンサイクリング)の3名が追走に飛び出し、11周目に先頭集団に合流。これにより新たに6名の先頭集団が再構成され、マンセボ、アウラール、トリビオ、徳田、増田、入部が残る。
レース終盤はフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)が先頭集団のペースを作る photo:Satoru Kato
パンクで遅れた岡篤志(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru Kato
オールイス・アルベルト・アウラールを先頭にマトリックスパワータグが3位までを独占 photo:Satoru Kato
マンセボの強力な牽引により後続を寄せ付けないまま6人は最終周回に突入。勝負を決定づける動きが出ないまま残り200mのホームストレートに到達すると、マトリックスパワータグの3人が前に出てきてスプリントを開始。アウラールを先頭に、マンセボが2位、僅差で徳田を下したトリビオが3位となり、マトリックスパワータグが1-2-3フィニッシュを達成。団体総合優勝も決めて3年連続の輪翔旗を獲得した。
一方、総合優勝争いは、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が終盤にパンクに見舞われ、遅れを取り戻せないまま7位でフィニッシュ。この結果、アウラールが逆転して総合首位に立った。
優勝プレートを掲げるオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
輪翔旗は今年もマトリックスパワータグへ photo:Satoru Kato
3年連続で輪翔旗を手にしたマトリックスパワータグの安原監督は、「昨夜のミーティングは、いつも5分で終わるところ1時間もかけた。何通りか作戦を立てたうちの一つにバッチリ当たったけれど、想定外だったのは増田、石橋、(入部)正太朗が先頭集団に入ったこと。なのでホセとアイランを止めて後ろの集団を追わせ、ブリッヂかけてもらった。そこに岡が絶対来ると思っていたけれど、パンクで遅れてしまったのは残念だし、素直に喜べないところ。あのトラブルがなければこの結果にはならなかったと思う」とレースを振り返る。
プロリーダージャージも獲得し、次からは攻められる側となるが、「守ることはせず、最後まで攻めていく」と宣言した。
![昨年優勝のフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)から、輪翔旗が今中大介JBCF副理事長に返還される](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p5.jpg)
Jプロツアー最高のステータスを誇るレースが「経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」。53回目の開催となる今回の会場は、広島県中央森林公園。広島空港の外周を1周する12.3kmのコースは、過去にアジア大会のロードレースや全日本選手権が開催された由緒あるコースだ。
![台風17号が接近中も、ドライ路面でスタート](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p6.jpg)
前戦の南魚沼ロードレースを終えて、総合首位の証「プロリーダージャージ」を着る岡篤志(宇都宮ブリッツェン)と、総合2位のオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)の差は452ポイント。Jプロツアーはこのレースを含めて残り5戦だが、そのうち1戦はチームタイムトライアルの大会のため個人ランキングのポイントは加算されない。一方で今回と最終戦は、JBCF(一般社団法人 日本実業団自転車競技連盟)が設定するレースグレードの最高ランク「プラチナ」に指定されるポイント配分が高いレース。それによりアウラールは残り4戦を全て勝てば逆転で総合優勝できる可能性を残している。
![広島空港の誘導灯の下をくぐる集団](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p9.jpg)
台風17号の接近により大会の開催が危ぶまれたが、14周172.2kmで予定されていたレース距離を13周159.9kmに短縮し、スタート時間を早めるなどの対策を講じて行われることになった。Jプロツアーが行われた午後は大雨の予報が出ていたが、奇跡的に小雨ないし短時間の雨で済んだ。しかし一時的に濡れた路面で落車やパンクのトラブルが続出。レース結果にも影響を与えた。
アウラール、マンセボ、トリビオでマトリックス1-2-3フィニッシュ
![2周目に形成された先頭集団 地元ヴィクトワール広島の藤岡克磨が加わる](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p7.jpg)
![序盤 メイン集団先頭はマトリックスパワータグが固める](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p8.jpg)
レースは2周目に動いた。10名ほどの集団が先行し、その後8名に絞られた先頭集団が形成される。メイン集団との差はレース中盤までに4分30秒まで広がる。メンバーは、ホセ・ビセンテ・トリビオ、アイラン・フェルナンデス・カサソラ(以上マトリックスパワータグ)、石橋学、孫崎大樹(以上チームブリヂストンサイクリング)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、入部正太朗(シマノレーシング)、中島康晴(キナンサイクリングチーム)、柴田雅之(那須ブラーゼン)。
メイン集団はマトリックスパワータグがコントロール。これに呼応して、先頭集団のトリビオとカサソラはローテーションに加わらない。レースが中盤から終盤に差しかかる頃、先頭集団ではカサソラが落車して遅れ、さらに中島も落車して遅れる。6人になった先頭集団は入部、増田、石橋らが中心となって牽引していくが、マトリックスパワータグがペースアップさせた集団に差を詰められていく。
![9周目 展望台への登りで先頭集団のペースアップを図る入部正太朗(シマノレーシング)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p13.jpg)
![9周目 メイン集団を牽引するマトリックスパワータグに並走して声をかける安原監督](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p14.jpg)
![フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)がオールイス・アルベルト・アウラールを引き連れて前を追う](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p16.jpg)
10周目、1分30秒まで差が縮まると、フランシスコ・マンセボ、オールイス・アルベルト・アウラール(以上マトリックスパワータグ)、徳田優(チームブリヂストンサイクリング)の3名が追走に飛び出し、11周目に先頭集団に合流。これにより新たに6名の先頭集団が再構成され、マンセボ、アウラール、トリビオ、徳田、増田、入部が残る。
![レース終盤はフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)が先頭集団のペースを作る](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p18.jpg)
![パンクで遅れた岡篤志(宇都宮ブリッツェン)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p19.jpg)
![オールイス・アルベルト・アウラールを先頭にマトリックスパワータグが3位までを独占](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p21.jpg)
マンセボの強力な牽引により後続を寄せ付けないまま6人は最終周回に突入。勝負を決定づける動きが出ないまま残り200mのホームストレートに到達すると、マトリックスパワータグの3人が前に出てきてスプリントを開始。アウラールを先頭に、マンセボが2位、僅差で徳田を下したトリビオが3位となり、マトリックスパワータグが1-2-3フィニッシュを達成。団体総合優勝も決めて3年連続の輪翔旗を獲得した。
一方、総合優勝争いは、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が終盤にパンクに見舞われ、遅れを取り戻せないまま7位でフィニッシュ。この結果、アウラールが逆転して総合首位に立った。
![優勝プレートを掲げるオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p24.jpg)
![輪翔旗は今年もマトリックスパワータグへ](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p27.jpg)
3年連続で輪翔旗を手にしたマトリックスパワータグの安原監督は、「昨夜のミーティングは、いつも5分で終わるところ1時間もかけた。何通りか作戦を立てたうちの一つにバッチリ当たったけれど、想定外だったのは増田、石橋、(入部)正太朗が先頭集団に入ったこと。なのでホセとアイランを止めて後ろの集団を追わせ、ブリッヂかけてもらった。そこに岡が絶対来ると思っていたけれど、パンクで遅れてしまったのは残念だし、素直に喜べないところ。あのトラブルがなければこの結果にはならなかったと思う」とレースを振り返る。
プロリーダージャージも獲得し、次からは攻められる側となるが、「守ることはせず、最後まで攻めていく」と宣言した。
Jプロツアー第18戦 経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ 結果(159.9km)
1位 | オールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ) | 4時間8分14秒 |
2位 | フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) | +0秒 |
3位 | ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) | |
4位 | 徳田 優(チームブリヂストンサイクリング) | |
5位 | 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) | +2秒 |
6位 | 入部正太朗(シマノレーシング) | +21秒 |
団体成績
1位 | マトリックスパワータグ | 2160p |
2位 | チームブリヂストンサイクリング | 1080p |
3位 | 宇都宮ブリッツェン | 1035p |
![敢闘賞は増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が獲得](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p23.jpg)
![プロリーダージャージはオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/22/jpt1918p30.jpg)
敢闘賞 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
中間スプリント賞 孫崎大樹(チームブリヂストンサイクリング)3,6,9周回終了時
プロリーダー オールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)
ネクストリーダー(U23) 今村駿介(チームチームブリヂストンサイクリング)
女子 牧瀬翼が優勝
![女子 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)を先頭にフェンストンネルを行く](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/21/19jpt18f1.jpg)
![女子 2周目から先行した3人](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/21/19jpt18f5.jpg)
![女子 伊藤優以(Team ZERO UNO FRONTIER)を振り切りにかかる牧瀬翼(IKEUCHI EXIT HOKKAIDO EXPANDIND)](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/21/19jpt18f7.jpg)
![女子 牧瀬翼(IKEUCHI EXIT HOKKAIDO EXPANDIND)が優勝](https://www.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/09/21/19jpt18f9.jpg)
21日のDay-1に行われた女子のFクラスタは、4周49.2kmで行われた。1周目から唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)や、伊藤優以(Team ZERO UNO FRONTIER)、牧瀬翼(IKEUCHI EXIT HOKKAIDO EXPANDIND)らがペースアップして人数を絞り、この3名が先行する。3周目に唐見が遅れて伊藤と牧瀬のマッチレースとなると、最終周回の三段坂で牧瀬が伊藤を振り切って勝負を決めた。
F(女子) 結果(49.2km)
1位 | 牧瀬 翼(IKEUCHI EXIT HOKKAIDO EXPANDIND) | 1時間26分49秒 |
2位 | 伊藤優以(Team ZERO UNO FRONTIER) | +28秒 |
3位 | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +1分29秒 |
E1 結果(110.7km)
1位 | 高岡亮寛(Roppongi Express) | 2時間52分20秒 |
2位 | 吉田泰大(フィッツ) | +4秒 |
3位 | 寺崎武郎(バルバレーシングクラブ) | +26秒 |
4位 | 宮崎泰史(津末レーシング) | |
5位 | 岩切弘輝(津末レーシング) | +33秒 |
6位 | 狩野 敦(上毛レーシング) | +45秒 |
E2 結果(61.5km)
1位 | 岩尾大河(ALL OUT reric) | 1時間37分14秒 |
2位 | 大仲凛功(松山城南高等学校自転車競技部) | +0秒 |
3位 | 吉木 匠(eNShare Cycling Team) | +1秒 |
4位 | 原田敬文(Pinazou Test Team) | |
5位 | 相原士穏(保土ヶ谷高校自転車競技部) | |
6位 | 清水嘉人(eNShare Cycling Team) | +2秒 |
E3 結果(32.1km)
Day-1(21日 49.2km) | Day-2(22日 36.9km) | |||
---|---|---|---|---|
1位 | 山崎開登(松山城南高等学校自転車競技部) | 1時間17分27秒 | 田村一暉(崇徳高等学校) | 1時間2分0秒 |
2位 | 金田 歩(松山城南高等学校自転車競技部) | +1秒 | 松尾侑喜(voyAge cycling team) | +1秒 |
3位 | 中村一登(Team Grandi Petit) | 高橋拓也(バルバレーシングクラブ) | ||
4位 | 高橋拓也(バルバレーシングクラブ) | +2秒 | 塩出皓成 (崇徳高等学校) | |
5位 | 石原悠太(松山城南高等学校自転車競技部) | 古谷友一(TeamUKYO Reve) | ||
6位 | 高橋亘平(グランデパール播磨) | +4秒 | 中前元久(バルバレーシングクラブ) |
text&photo:Satoru Kato
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