2019/09/19(木) - 18:38
MTB耐久レースの頂点に君臨するセルフディスカバリーアドベンチャー・イン王滝。9月15日に開催された秋大会は120kmクラスで宮津旭(PAX PROJECT)が春・秋連覇となる通算4勝目を挙げた。100kmクラスは池田祐樹、女子は野下幸と望月美和子が優勝した。1,000人が挑んだ大会の模様をレポート。
御嶽山を仰ぎ見る長野県王滝村を舞台に開催されるSDA王滝。毎年5月と9月の2回に渡って開催される、国内長距離MTB耐久レースの最高峰の大会だ。全行程にわたって続く厳しい林道のアップダウンとガレたダブルトラックは非常に難易度が高いコース。参加者は120kmと100kmクラスで662人、42kmクラスが369人の合計1,031人だ。
レースは朝6時に会場となる松原スポーツ公園から先導車にリードされる形でニュートラル走行へ。舗装路を数キロ走った地点からダートの林道へ入ると、ここからレースが始まった。例年そして5月の春大会とは逆回りコースに設定され、CP1まででいきなり1500mアップの山岳が選手たちの大集団をふるいにかける。
ハイペースを刻んだのは春大会の優勝者で、過去3回栄冠に輝いている宮津旭(PAX PROJECT)。早いうちから独走体制を築いた宮津はアメリカ帰りの池田 祐樹(トピーク・エルゴン)、山中真(GT)、松本駿(スコット)らが形成する後続パックを引き離して独走を開始する。
この日、降水確率は10%以下の晴天となり、午後に向けて気温は30度を超えるまで上昇する厳しい暑さとなった。そしてコースは前週までの雨で砂が流れ、大きな石が露出するガレの醜い状況となった。コース上ではパンクやメカトラに見舞われた選手たちが多く、自身で修理する姿が多く見受けられた。登りも下りも例年より厳しいという声が多かった。その声を反映するかのように、100kmコースの上位タイムも例年より1時間近く遅いものになったようだ。
独走の宮津はぶっちぎり状態で120kmコースの残り20kmループに入る。この周回ではややペースを落としたものの、2位の松本 駿に約3分半の大差をつけて5時間58分29秒でフィニッシュする圧倒的な勝利となった。宮津はこれで5月の春大会とこの秋大会の連覇を達成。過去10回の参加で通算4勝目という強さを見せつけた。3位は岡本紘幸(インパルス)。
宮津は言う。「春・秋の連覇を狙っていたので達成できて嬉しいです。10回出場して4回の優勝、出場した大会全てで表彰台にはのぼっているので、10回ぐらい勝ちたいなと思っています。今年は春とコースの回り方が変わり、距離も6、7km伸びています。暑くなったのも補給ミスや熱中症を誘発する厳しさの要因でしたね。距離が長く、この厳しいコースはまぐれで勝てることは無いんです。登りも下りもトータルで速くないと勝てないので、何度出ても奥が深いです。皆でもっとレベルアップしていきたいですね」。
4月から王滝村役場の職員として働いているという宮津。「建設係として道路の管理や草刈り、冬場の除雪作業など、穴を補修したり、土方のように体力を使う仕事をしています。自分を強くしてくれた王滝に恩返しをしたいと思い、ちょうど地域おこし協力隊を募集していたので応募、1年働き、その後に役場の一般職員になりました。このコースは自転車立入禁止なので普段走っているわけではありません。草刈りで路面状況を把握できるという点では少し有利ですが(笑)」と話す。
100kmの部は、8月のアメリカ遠征で負傷した脚をおして出場した池田祐樹が優勝。「優勝は嬉しいのですが、ラストの20kmループの分岐前までにも宮津選手に先行されていたので、勝ったとはいえモヤモヤの残る勝利です」と話した。池田は翌日開催のトレイルラン42kmとの総合で争う複合ステージレース「キング・オブ・王滝」の総合優勝を手にした。池田は今年から長距離MTBとトレイルランの二種目でトップレベルを目指す「ウルトラ・マウンテンアスリート」を新たな肩書きとして活動しており、「初年度でこうして結果を残すことができたことは私の中で非常に大きな意味があり、最高にハッピーです」と話す。
なお池田に続くこと6分遅れの2位でフィニッシュしたのは100kmをシングルスピードの部で走った國井 敏夫(マイルポストR)。例年ギアードでトップ争いを繰り広げる國井だが今回は趣向を変えて100kmのSSに参加。「下りはペダルをこぐこともできないので登りだけがんばりました」と笑う。
なお女子は120kmで男子に混じり走った野下 幸(轍屋)が8:54:48 で24位に、100kmでは望月 美和子(Liv)が6:17:12で19位になり、それぞれ女子クラスの優勝者として表彰されている。
コースが例年よりも厳しかったと参加者たちが口を揃える今大会。春大会100kmの優勝タイム(宮津)が4:18:05に対し、今年の優勝者の池田のタイムは5:10:49。その違いが今年のコースの厳しさを物語るデータとなっている。
なおこの大会ではグラベルクラスも新設され、100kmクラスに38名、42kmクラスに27名、合計65名が出場した。その模様は続編の別記事で紹介する。
御嶽山を仰ぎ見る長野県王滝村を舞台に開催されるSDA王滝。毎年5月と9月の2回に渡って開催される、国内長距離MTB耐久レースの最高峰の大会だ。全行程にわたって続く厳しい林道のアップダウンとガレたダブルトラックは非常に難易度が高いコース。参加者は120kmと100kmクラスで662人、42kmクラスが369人の合計1,031人だ。
レースは朝6時に会場となる松原スポーツ公園から先導車にリードされる形でニュートラル走行へ。舗装路を数キロ走った地点からダートの林道へ入ると、ここからレースが始まった。例年そして5月の春大会とは逆回りコースに設定され、CP1まででいきなり1500mアップの山岳が選手たちの大集団をふるいにかける。
ハイペースを刻んだのは春大会の優勝者で、過去3回栄冠に輝いている宮津旭(PAX PROJECT)。早いうちから独走体制を築いた宮津はアメリカ帰りの池田 祐樹(トピーク・エルゴン)、山中真(GT)、松本駿(スコット)らが形成する後続パックを引き離して独走を開始する。
この日、降水確率は10%以下の晴天となり、午後に向けて気温は30度を超えるまで上昇する厳しい暑さとなった。そしてコースは前週までの雨で砂が流れ、大きな石が露出するガレの醜い状況となった。コース上ではパンクやメカトラに見舞われた選手たちが多く、自身で修理する姿が多く見受けられた。登りも下りも例年より厳しいという声が多かった。その声を反映するかのように、100kmコースの上位タイムも例年より1時間近く遅いものになったようだ。
独走の宮津はぶっちぎり状態で120kmコースの残り20kmループに入る。この周回ではややペースを落としたものの、2位の松本 駿に約3分半の大差をつけて5時間58分29秒でフィニッシュする圧倒的な勝利となった。宮津はこれで5月の春大会とこの秋大会の連覇を達成。過去10回の参加で通算4勝目という強さを見せつけた。3位は岡本紘幸(インパルス)。
宮津は言う。「春・秋の連覇を狙っていたので達成できて嬉しいです。10回出場して4回の優勝、出場した大会全てで表彰台にはのぼっているので、10回ぐらい勝ちたいなと思っています。今年は春とコースの回り方が変わり、距離も6、7km伸びています。暑くなったのも補給ミスや熱中症を誘発する厳しさの要因でしたね。距離が長く、この厳しいコースはまぐれで勝てることは無いんです。登りも下りもトータルで速くないと勝てないので、何度出ても奥が深いです。皆でもっとレベルアップしていきたいですね」。
4月から王滝村役場の職員として働いているという宮津。「建設係として道路の管理や草刈り、冬場の除雪作業など、穴を補修したり、土方のように体力を使う仕事をしています。自分を強くしてくれた王滝に恩返しをしたいと思い、ちょうど地域おこし協力隊を募集していたので応募、1年働き、その後に役場の一般職員になりました。このコースは自転車立入禁止なので普段走っているわけではありません。草刈りで路面状況を把握できるという点では少し有利ですが(笑)」と話す。
100kmの部は、8月のアメリカ遠征で負傷した脚をおして出場した池田祐樹が優勝。「優勝は嬉しいのですが、ラストの20kmループの分岐前までにも宮津選手に先行されていたので、勝ったとはいえモヤモヤの残る勝利です」と話した。池田は翌日開催のトレイルラン42kmとの総合で争う複合ステージレース「キング・オブ・王滝」の総合優勝を手にした。池田は今年から長距離MTBとトレイルランの二種目でトップレベルを目指す「ウルトラ・マウンテンアスリート」を新たな肩書きとして活動しており、「初年度でこうして結果を残すことができたことは私の中で非常に大きな意味があり、最高にハッピーです」と話す。
なお池田に続くこと6分遅れの2位でフィニッシュしたのは100kmをシングルスピードの部で走った國井 敏夫(マイルポストR)。例年ギアードでトップ争いを繰り広げる國井だが今回は趣向を変えて100kmのSSに参加。「下りはペダルをこぐこともできないので登りだけがんばりました」と笑う。
なお女子は120kmで男子に混じり走った野下 幸(轍屋)が8:54:48 で24位に、100kmでは望月 美和子(Liv)が6:17:12で19位になり、それぞれ女子クラスの優勝者として表彰されている。
コースが例年よりも厳しかったと参加者たちが口を揃える今大会。春大会100kmの優勝タイム(宮津)が4:18:05に対し、今年の優勝者の池田のタイムは5:10:49。その違いが今年のコースの厳しさを物語るデータとなっている。
なおこの大会ではグラベルクラスも新設され、100kmクラスに38名、42kmクラスに27名、合計65名が出場した。その模様は続編の別記事で紹介する。
セルフディスカバリーアドベンチャー王滝MTB120km 総合記録
1位 | 宮津 旭 | 5:58:29 |
2位 | 松本 駿 | 6:31:56 |
3位 | 岡本 紘幸 | 6:36:40 |
4位 | 多賀 良成 | 6:50:37 |
5位 | 末岡 英樹 | 7:15:28 |
6位 | 加藤 信仁 | 7:18:17 |
7位 | 藤本 功 | 7:20:11 |
8位 | 倉垣 龍星 | 7:24:10 |
9位 | 鈴木 祐一 | 7:28:13 |
10位 | 河合 智孝 | 7:46:33 |
MTB100km
1位 | 池田 祐樹 | 5:10:49 |
2位 | 遠藤 績穂 | 5:25:38 |
3位 | 松田 賢太郎 | 5:26:08 |
4位 | 池山 冬馬 | 5:26:21 |
5位 | 松本 直純 | 5:36:42 |
6位 | 天野 順二 | 5:36:44 |
7位 | 米倉 聖人 | 5:37:08 |
8位 | 毛利 元 | 5:37:08 |
9位 | 楠 紳一郎 | 5:38:32 |
10位 | 島貫 楽 | 5:50:38 |
シングルスピード100km
1位 | 國井 敏夫 | 5:16:40 |
2位 | 蛯子 裕樹 | 6:13:03 |
3位 | 福王寺 大樹 | 6:17:24 |
4位 | 山岸 佑輔 | 6:32:50 |
5位 | 福王寺 一樹 | 6:35:52 |
6位 | 家田 倫作 | 6:47:55 |
グラベルバイク100km
1位 | 岡 理裕 | 5:40:15 |
2位 | 片岡 誉 | 6:02:21 |
3位 | 田河 慎也 | 6:15:18 |
4位 | 香月 大道 | 6:35:10 |
5位 | 吉元 健太郎 | 7:01:15 |
6位 | 大岩 充 | 7:23:31 |
MTB42km
1位 | 出羽 秀多 | 1:59:22 |
2位 | 碓氷 芳己 | 1:59:38 |
3位 | 古庄 勇輝 | 2:06:36 |
4位 | 山田 修弘 | 2:07:40 |
5位 | 平林 芳一 | 2:07:41 |
6位 | 長田 育充 | 2:15:22 |
グラベルバイク42km
1位 | 山本 朋貴 | 2:15:25 |
2位 | 藤井 修 | 2:20:37 |
3位 | 鵜飼 一彦 | 2:27:40 |
4位 | 細川 公志 | 2:28:06 |
5位 | 斉藤 千尋 | 2:33:57 |
6位 | 富澤 克彦 | 2:40:00 |
text:Makoto.AYANO
photo:Akihiko.HARIMOTO(PowerSports)
photo:Akihiko.HARIMOTO(PowerSports)
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