雹と土砂崩れによるステージ短縮。マイヨジョーヌに涙したエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)、やゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)ら、大波乱のステージを選手や関係者のコメントで振り返ります。



総合1位、エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)

マイヨジョーヌに初めて袖を通したエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)マイヨジョーヌに初めて袖を通したエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) photo:Makoto.AYANO
(レースキャンセルについて)正直に言うと、何が起こったのかわかっていなかった。無線でレースが終わったと言われて、こう返事した。「いやだ、このまま行くんだ」って。英語で言われたからよく理解できなかったんだ。止まって監督にマイヨジョーヌを獲得できたと言われて、やっとほっとした。

まさかって思う。信じられない気分だ。明日は全力で走って、パリに到着したい。シャンゼリゼのゴールについて初めて、実感がわいてくるんだと思う。もう一つ、難関ステージが待っている。短いステージだ。なんとか全力を尽くしたい。コロンビア初のツール・ド・フランス優勝者になれたら、それはきっとすごいことだと思う

総合3位、ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)

ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)とクリスティアン・プリュドム氏ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)とクリスティアン・プリュドム氏 (c)CorVos
レースがキャンセルになるとわかっていれば、最後の登りで競い合う力を温存しなかったのに…と思うと、狐につままれたような気分だ。でもレースとはそういうものなんだ。誰がコントロールできるものでもなかったんだから。

何を言ってもタラレバの話にしかならない。とにかく大事なのは、自分のチームがマイヨジョーヌを獲得して、とても有利な位置にいるということ。目標に向かって進まなければならないし、明日その任務を完遂しなければならないというだけのことだ。
最終日にエガン(ベルナル)がマイヨジョーヌを着て走る。大事なのはそれを彼がやり遂げること。きっと彼は他の誰よりも有利な立場でいる。自分は彼をできる限りサポートしたい。ツールのスタートから、彼は信じられないほどの走りとあり余るほどの才能を見せていたのだから。

総合4位、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)

コメントを求められるステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)コメントを求められるステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
あんな雹と地滑りがあったからには、ステージを続けるという選択肢はなかった。調子よく乗れていただけに、残念だった。当初の計画では、ローレンス(デプルス)を逃げに送り込むことになっていて、それは成功した。僕も調子がよかったから、イズラン峠の登りでアタックしてみた。でもベルナルにカウンター攻撃を食らって、ついていくことができなかった。(イズラン峠で合流した)ローレンスはとても強力で、フィニッシュまでの長い道のりでタイムを取り返すことができるように、イズラン峠の頂上まで牽き続けてくれた。もちろん、イズラン峠の登りでは全力だったけれど、頂上でステージが終わると知っていたら、もっと頑張ることができたと思う。ベルナルがアラフィリップに差をつけることができたのに、自分にはできなかったのが残念だ。これは不運だけれど、まだ終わってはいない。明日もう一度、悪天候の影響があろうがなかろうが、頑張りたい。

総合9位、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

逃げグループに入ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)逃げグループに入ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) (c)CorVos
変な一日だったよね? 最初の逃げに乗った時に考えていたのは、メイン集団でミケル(ランダ)がアタックするチャンスを作って、彼をサポートすることだった。(イズラン峠の)下りが始まったとき、ミケルはもう前方でいい位置につけていた。その時、無線から叫び声がして、ステージがキャンセルになったと言われた。雹が猛烈に降った上に、コース上に地滑りがあったと。ヴァル・ディゼールでストップすると、ツール総合ディレクターのクリスチャン・プリュドム氏が、道が遮断されていてレースの続行は無理だと説明した。それで終わりだ。イズラン峠の頂上通過タイムで順位が決まるだろうと言われた。他にどうしようもなく、とにかく車に乗り込んでフィニッシュ地点に向かいつつ、明日の最終決戦に考えを巡らせていた。

山岳賞、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアル)

ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)もチームカーでフィニッシュ地点のポディウムに到着ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)もチームカーでフィニッシュ地点のポディウムに到着 photo:Makoto.AYANO
ひどい気象条件になっているなんて、知らなかった。無線で聞いたけれど、その時僕は勝負に関わらない状態で走っていた。レースはもう終わったし、明日のためにエネルギーを温存していたんだ。レースをキャンセルする決定を受けた身にしてみれば、選手たちの身の安全のためにも適切な決定だったと思う。今日はバッドデイだった。明日は調子を戻して、もっと戦術的にうまい走りをしないといけない。

ポイント賞、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

マイヨヴェールの表彰を受けるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)マイヨヴェールの表彰を受けるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Makoto.AYANO
みんなの予想とは違う結果になって、その結果マイヨジョーヌも交代した。過酷な気象条件の中で自分たちの命を危険にさらす理由はない。雹が降り積もり、地滑りの泥が道に堆積していた。昨日のレースの最後にも、雷雨があった。今日の気象条件はもっとひどかったんだ。

ドゥクーニンク・クイックステップのトム・スティールス監督

エンリク・マスらチームメイトに守られるジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)エンリク・マスらチームメイトに守られるジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:ASO
今日が厳しい一日になることはわかっていたが、それ以上に予想外の一日になった。(イズラン峠からの)下りで、ジュリアン(アラフィリップ)は全力で攻めていた、まさにその時に、レースが中止になると言われた。無線で何度もジュリアンにそのことを繰り返して話した。マイヨジョーヌを失うのはわかっていたけれど、こんなおかしなやり方で失ってしまうのはやりきれなかった。偉大なツール・ド・フランスでこのような決定をせざるを得なかったのは、さぞかし無念だったろうし、それと同様に自分たちも無念でならない。とはいえ、コース上で起きていた雹と地滑りの様子から判断すれば、選手たちの安全のためには賢明な判断だった。何があったにせよ、自分たちのレースに誇りを持っている。チーム一丸となって戦い、ジュリアンは全力を尽くして途方もない動きをしてくれた。人々は今日のレースについて、今日起きたこと以上に、彼の奮闘ぶりを心に刻んでいるはずだ。

逃げに乗ってイズラン峠を2番目に通過したサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)

積極的な走りを見せたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)積極的な走りを見せたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) (c)CorVos
登りはひどかった。長いし、酸素がなかった。僕の調子はよかった。登りの最後で(ベルナルに)ついて行くことができなかったけれど、下りで追いつくことができたから、ステージ優勝を狙えると思っていた。だから結末にはがっかりしている。レースの先頭に立とうとしていたけれど、天候は変えられないんだし。そういうことも時々ある。明日は明日だ。またハードなショートステージになるけれど、また挑戦したい。

イズラン峠を8番目に通過したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)

逃げグループを率いるヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)逃げグループを率いるヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:CorVos
(レースのキャンセルは)的確な決断だった。レースを続けるのは無理な状態だったし、選手の安全が第一だから。今日は調子がとてもよくて、レースの序盤からアタックして逃げに乗った。総合を争う選手たちに追いつかれてからも、彼らについていったけれど、エガン・ベルナルにだけは先に行かれてしまった。そんなときに、下りでレースがニュートラルになったと言われたんだ。

※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Taiko.YAMASAKI