#OVERACHIEVEのロゴと共に昨年はサンウェブが、そして今季はチームCCCが実戦でテストしてきたジャイアントがプロデュースするレーシングパーツがついにベールを脱いだ。その名は「CADEX」。カーボンスポークを用いた超軽量ホイールなど、ハイパフォーマンスコンポーネントが各種ラインアップする。ツール・ド・フランスの会場で行われた発表会の模様とともにお伝えしよう。



ツールに合わせベルギー・ブリュッセルで開催されたCADEXグローバルローンチツールに合わせベルギー・ブリュッセルで開催されたCADEXグローバルローンチ photo:Makoto.AYANO
7月4日、ツール・ド・フランス開幕を控えるベルギー・ブリュッセルでジャイアントがメディア向け発表会を開催。すぐ脇がチームプレゼンの会場となる由緒ある展示場で、そのプロダクツはベールを脱いだ。

#OVERACHIEVEのハッシュタグつきメッセージロゴが記されたプロトタイプのホイールは昨年ツール・ド・フランスでサンウェブが駆り、トム・デュムランが個人タイムトライアルを制するなど活躍。そして今季はグレッグ・ファンアーフェルマート率いるチームCCCが使用し注目を浴びてきた。そのプロダクツの詳細は謎に包まれたままだったが、ツールをその場に選び、ついに公開された。

発表されたブランド名は「CADEX(カデックス)」。カーボンホイール群やサドル、タイヤなどコンポーネントのラインアップが一挙に出揃い、メディアの前に並んだ。

プレゼンを行ったプロダクト部門ヘッドのジェフ・シュナイダー氏プレゼンを行ったプロダクト部門ヘッドのジェフ・シュナイダー氏 photo:Makoto.AYANO約30年前、かつてのジャイアントCADEXを駆って走るのはロビー・マキュアンだ約30年前、かつてのジャイアントCADEXを駆って走るのはロビー・マキュアンだ photo:Makoto.AYANO
サルトの展示車も並び、ジャイアントからは独立したブランドイメージを醸すサルトの展示車も並び、ジャイアントからは独立したブランドイメージを醸す photo:Makoto.AYANOオールブラックのホイールはあらゆるバイクとルックスの親和性が高いオールブラックのホイールはあらゆるバイクとルックスの親和性が高い photo:Makoto.AYANO

ブランド名となったCADEXとは、かつてジャイアントがその躍進のきっかけとなった量産カーボンバイクのモデル名に由来する。CADEXは世界に誇るカーボン技術と生産力を誇るジャイアントが、Chasing the Pinacle Products(頂点のプロダクツの追求)のキャッチフレーズを掲げて、サポートするワールドクラスのアスリートとともに開発を進めた製品群だ。

まず注目すべきはトレーニングとレースの両方のシーンで開発・テストされたカーボンホイールシステムのラインアップだろう。セミディープ、ディープ、バトン、ディスクホイールがフルに展開される。

チームCCC仕様のCADEXホイールも展示チームCCC仕様のCADEXホイールも展示 photo:Makoto.AYANO
TTバイクも前後CADEXホイールで揃えるTTバイクも前後CADEXホイールで揃える photo:Makoto.AYANO
オールラウンドに使える42mmハイトの「CADEX 42」と、空力性能を重視した65mmハイトの「CADEX 65」はともに、ワールドツアーで勝利するための優れたパワー伝達性とエアロダイナミクス、軽量性、ハンドリングを兼ね備えた高性能ロードホイール。それぞれチューブラーモデルでペア1,163gと1,367gと非常に軽い仕上がりだ。

軽量&高剛性なエアロカーボンスポークと、カスタム・チューンド・ダイナミック・バランスド・レーシング(DBL)テクノロジーによりパワー伝達効率を強化。精密機械加工されたハブ内部構造により、ベアリング摩擦を最小にしてさらに効率を高めている。いずれのモデルもチューブレスとチューブラー仕様、リムブレーキとディスクブレーキ仕様をラインアップする。チューブレスタイプはフックレスリムとすることで、リムとタイヤとの段差を減らしエアロ効果を高めている。

その中でもエアロディープホイールのテクノロジーとして注目なのはエアロカーボンスポークだろう。DT社のエアロライトが1本4.34gなのに対し今作は1本2.85gと超軽量ながら、Dシェイプを持ち優れたエアロ効果を発揮しつつ、独自開発の技術により高い安全性も保ちつつ高強度を実現。超軽量ホイールながら剛性と反応性を高めることに成功したという。

オールラウンドに使える42mmハイトの「CADEX 42」オールラウンドに使える42mmハイトの「CADEX 42」 photo:Makoto.AYANO
カーボン製のエアロスポークが大きな特徴カーボン製のエアロスポークが大きな特徴 photo:Makoto.AYANOチューブレスモデルはフックレスリムだチューブレスモデルはフックレスリムだ photo:Makoto.AYANO
空力性能を重視した65mmハイトの「CADEX 65」空力性能を重視した65mmハイトの「CADEX 65」 photo:Makoto.AYANO
TT向けのバトンホイール「CADEX 4-SPOKE AERO」とディスクホイール「CADEX AERO DISC」は、フランスのAero Concept Engineering(ACE)の空力専門家によるCFD研究と風洞試験、および実際の路上テストによって開発。CADEXのパートナーチームとアスリートにより過去1年間のプロタイムトライアルとアイアンマンレースにおける優勝と表彰台獲得を目指して実戦テストを重ねた。もちろんトム・デュムランらがTTで使用したホイールがそのベースとなっている。

4スポークモデルとフルディスクモデルのどちらもクラス最高のねじれ剛性と空力性能を備え、精密に機械加工されたハブ内部構造によりベアリング摩擦を低減し、最大効率を実現。 カーボンの織り目が美しいルックスに仕上がる。いずれもチューブレスとチューブラー仕様の展開だ。

なお展示されていたホワイトロゴのホイールは映像で目立つように施されたプロアスリート仕様のもので、市販モデルはダーク系のロゴとなる。

TT用バトンホイール「CADEX 4-SPOKE AERO」TT用バトンホイール「CADEX 4-SPOKE AERO」 photo:Makoto.AYANOTT用リアディスクホイール「CADEX AERO DISC」TT用リアディスクホイール「CADEX AERO DISC」 photo:Makoto.AYANO
ホイールとともにレーシングチューブレスタイヤも登場ホイールとともにレーシングチューブレスタイヤも登場 photo:Makoto.AYANOカーボンベース&レールのCADEX Boost Saddleカーボンベース&レールのCADEX Boost Saddle photo:Makoto.AYANO

ホイールとともにレーシングスペックのチューブレスタイヤも開発。全く新しいコンパウンドの研究に始まり、タイヤ形状やトレッドパターンまで幾多のテストを経て完成した製品だ。単層で非常にしなやかなケーシングを採用し、チューブラータイヤにも負けない上質なライドフィールを実現。ケブラー層も挿入され耐パンク性能も確保している。23/25/28Cサイズでの展開となる。

ベースとレールがカーボンの一体デザインとなった、軽量ハイパフォーマンスサドル「CADEX Boost Saddle」も登場。プロチームからの要望を受け、不要なたわみをなくした高剛性な設計で優れたパワー伝達性を発揮する。人間工学の専門家とプロライダーのフィードバックによって開発された新しい座面形状としており、長時間のレースでも完璧なフィット感と快適性をもたらす他、座面への荷重を分散させるフォーム構造によってストレスの軽減にも寄与している。

CADEXホイールを搭載したバイクで登場したグレッグ・ファンアーフェルマートCADEXホイールを搭載したバイクで登場したグレッグ・ファンアーフェルマート photo:Makoto.AYANO
CADEXホイールをチームプレゼンでお披露目したチームCCCCADEXホイールをチームプレゼンでお披露目したチームCCC photo:Makoto.AYANO
ツール・ド・フランスではチームCCCがさっそくホイールやサドルなどCADEXコンポーネントを装着したバイクでチームプレゼンに登壇。製品版とは異なり、遠くからでもロゴが見やすいホワイトデカールのホイールで製品をお披露目した。明日から始まる第1ステージから本格投入される。

プレゼンによると、CADEXブランドはあくまでジャイアントとは別のブランドとして展開される。しかし2年間の保証と5年間のクラッシュリプレイスメントプログラムを含む「White Glove Serviceプログラム」によって保証されているなどの点はジャイアント製品同様で、世界中のジャイアントディーラーでサービス&メンテナンスを受けることができるのもメリットだ。国内ラインアップや価格は8月末に発表予定。

text&photo:Makoto.AYANO in Brussels BELGIUM
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