2019/06/24(月) - 08:52
3つの超級山岳が連続する101.5kmで行われたツール・ド・スイス最終ステージで、序盤に飛び出したヒュー・カーシー(EFエデュケーションファースト)がフィニッシュまで独走する驚きの走りを披露。デニスのアタックを封じたエガン・ベルナル(チームイネオス)が第83代ツール・ド・スイス総合優勝に輝いた。
101.5kmという距離に、標高2,100〜2,400m級の超級山岳が3つ詰め込まれたツール・ド・スイス最終ステージ。ヌフェネン峠(距離13.3km/平均8.5%)、ゴッタルド峠(距離12.1km/平均7.4%)、フルカ峠(距離11.5km/平均7.7%)を越えるこの短距離山岳ステージの獲得標高差は3,000mに達する。
この過酷なクイーンステージの序盤、最初の超級山岳ヌフェネン峠で形成された逃げグループの中からヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト)がアタック。早速独走に持ち込んだカーシーは、ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)やマルク・ソレル(スペイン、モビスター)、マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール)を含む追走グループから40秒、チームイネオス率いるメイン集団から2分30秒のリードで超級山岳ヌフェネン峠をクリアした。
後続を待つことなく踏み続けたカーシーは、石畳が敷かれた続く超級山岳ゴッタルド峠でむしろリードを拡大する。アルが脱落した追走グループはソレルとフランク、レナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ)、シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン)に絞られた状態で先頭カーシーから1分20秒遅れで超級山岳ゴッタルド峠の頂上に到着。アスタナのコントロールに切り替わったメイン集団が3分20秒遅れで続いた。
下り区間でさらにリードを広げたカーシーが最後の超級山岳フルカ峠の登坂に取り掛かる中、メイン集団では総合表彰台争いが活発化する。第8ステージを終えた時点で、総合3位パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)から総合4位ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル)、総合5位ヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ)までのタイム差は9秒。このタイム差をひっくり返したいヒルトがルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)らのアシストを受けてアタックすると、ここに総合6位エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)が追いついた。
ヒルトとマスを追いかけたのはドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)率いるメイン集団。ポッツォヴィーヴォの牽引によってヒルトとマスは吸収され、さらに先頭カーシー以外の逃げメンバーを飲み込んでいく。ポッツォヴィーヴォのペースに対応できたのはエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)、ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ)、コンラッド、ベノート、ヒルトという総合トップ5だけ。ポッツォヴィーヴォが仕事を終えると、イエロージャージを22秒差で追う立場の総合2位デニスがアタックした。
このデニスのアタックにベルナルがすかさず反応した一方で、総合3位以下の選手たちは脱落した。総合逆転を狙うデニスが積極的な走りを見せたものの、イエロージャージを着るベルナルは崩れるそぶりを見せない。総合トップ2のデニスとベルナルは、残り26km地点に位置する超級山岳フルカ峠の頂上を先頭カーシーから2分45秒遅れで越えた。
序盤から独走を続け、3つの超級山岳を先頭通過したカーシーは、下りとその後の平坦区間でリードを失いながらも、フィニッシュラインまで誰にも先頭を譲ることなく走りきった。最終的にデニスとベルナルに1分02秒差をつけたカーシーが独走勝利。ステージ2位に入ったデニスがボーナスタイムで挽回したものの、ベルナルが19秒差で総合優勝に輝いた。
イギリスの次世代オールラウンダーとして注目を集め、ラファ・コンドールのメンバーとして出場した2014年のツアー・オブ・ジャパンでヤングライダー賞と山岳賞を獲得している24歳のカーシー。独走勝利に加えて山岳賞を獲得したカーシーは「最初の登りで脚と身体、頭の状態の良さを感じたので、タイムトライアルを開始した。登りを1つ1つこなしていくのはみんな同じ条件。大丈夫だと信じて踏み続けた。2日前の山岳ステージでは心も脚も身体も疲れ切っていて、早くシーズン前半を終えて休暇に入りたいという一心だった。でも昨日の個人TTで調子の良さが戻ってきたので、ラストチャンスに挑んで最高の気分で休暇に入りたかったんだ」と語る。
「まだ自分が達成したことの実感が湧かない。この幸せな瞬間をチームスタッフとチームメイトたちと分かち合いたい」。5月のジロ・デ・イタリアを総合11位&ヤングライダー賞3位で終えたカーシーにとってこれがUCIワールドツアーレース初勝利。Velonが公開しているカーシーの走行データを見ると、3時間1分49秒のレース中、平均スピード33.5km/h、最高スピード94.0km/h、平均出力320W、NP360W。序盤から登坂区間は常に380W前後で踏んでいる(体重69kg)。
そしてスイス総合優勝のタイトルはベルナルの手に。落車リタイアしたゲラント・トーマス(イギリス)に代わってチームイネオスのエースを務め上げたベルナルは「これは今まで勝ったレースの中で一番大きなレースの一つ。とても嬉しいし、これからのレースに向けて自信に繋がるよ。落車でジロを欠場した自分にとって、復帰戦のレースで勝つのはチームにとっても素晴らしいこと」とコメント。ベルナルの最終ステージのVelon公開データを見ると、3時間2分41秒のレース中、平均スピード33.2km/h、最高スピード100.3km/h、平均出力255W、NP285W、最高出力900W、平均ケイデンス80rpmだった(体重60kg)。
総合逆転を逃しながらも、個人タイムトライアルだけでなく山岳ステージでも強さを見せたデニスは「総合2位は予想していなかった。個人タイムトライアルで勝利して、しかもクイーンステージをベルナルと一緒に終えるなんて。この走りの裏には厳しいトレーニングの日々があったことを付け加えておきたい。とにかくこの総合2位という成績を誇りに思う」と語っている。デニスはヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)とともにツール・ド・フランスのスタートラインに立つ予定だ。
101.5kmという距離に、標高2,100〜2,400m級の超級山岳が3つ詰め込まれたツール・ド・スイス最終ステージ。ヌフェネン峠(距離13.3km/平均8.5%)、ゴッタルド峠(距離12.1km/平均7.4%)、フルカ峠(距離11.5km/平均7.7%)を越えるこの短距離山岳ステージの獲得標高差は3,000mに達する。
この過酷なクイーンステージの序盤、最初の超級山岳ヌフェネン峠で形成された逃げグループの中からヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト)がアタック。早速独走に持ち込んだカーシーは、ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)やマルク・ソレル(スペイン、モビスター)、マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール)を含む追走グループから40秒、チームイネオス率いるメイン集団から2分30秒のリードで超級山岳ヌフェネン峠をクリアした。
後続を待つことなく踏み続けたカーシーは、石畳が敷かれた続く超級山岳ゴッタルド峠でむしろリードを拡大する。アルが脱落した追走グループはソレルとフランク、レナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ)、シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン)に絞られた状態で先頭カーシーから1分20秒遅れで超級山岳ゴッタルド峠の頂上に到着。アスタナのコントロールに切り替わったメイン集団が3分20秒遅れで続いた。
下り区間でさらにリードを広げたカーシーが最後の超級山岳フルカ峠の登坂に取り掛かる中、メイン集団では総合表彰台争いが活発化する。第8ステージを終えた時点で、総合3位パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)から総合4位ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル)、総合5位ヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ)までのタイム差は9秒。このタイム差をひっくり返したいヒルトがルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)らのアシストを受けてアタックすると、ここに総合6位エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)が追いついた。
ヒルトとマスを追いかけたのはドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)率いるメイン集団。ポッツォヴィーヴォの牽引によってヒルトとマスは吸収され、さらに先頭カーシー以外の逃げメンバーを飲み込んでいく。ポッツォヴィーヴォのペースに対応できたのはエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)、ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ)、コンラッド、ベノート、ヒルトという総合トップ5だけ。ポッツォヴィーヴォが仕事を終えると、イエロージャージを22秒差で追う立場の総合2位デニスがアタックした。
このデニスのアタックにベルナルがすかさず反応した一方で、総合3位以下の選手たちは脱落した。総合逆転を狙うデニスが積極的な走りを見せたものの、イエロージャージを着るベルナルは崩れるそぶりを見せない。総合トップ2のデニスとベルナルは、残り26km地点に位置する超級山岳フルカ峠の頂上を先頭カーシーから2分45秒遅れで越えた。
序盤から独走を続け、3つの超級山岳を先頭通過したカーシーは、下りとその後の平坦区間でリードを失いながらも、フィニッシュラインまで誰にも先頭を譲ることなく走りきった。最終的にデニスとベルナルに1分02秒差をつけたカーシーが独走勝利。ステージ2位に入ったデニスがボーナスタイムで挽回したものの、ベルナルが19秒差で総合優勝に輝いた。
イギリスの次世代オールラウンダーとして注目を集め、ラファ・コンドールのメンバーとして出場した2014年のツアー・オブ・ジャパンでヤングライダー賞と山岳賞を獲得している24歳のカーシー。独走勝利に加えて山岳賞を獲得したカーシーは「最初の登りで脚と身体、頭の状態の良さを感じたので、タイムトライアルを開始した。登りを1つ1つこなしていくのはみんな同じ条件。大丈夫だと信じて踏み続けた。2日前の山岳ステージでは心も脚も身体も疲れ切っていて、早くシーズン前半を終えて休暇に入りたいという一心だった。でも昨日の個人TTで調子の良さが戻ってきたので、ラストチャンスに挑んで最高の気分で休暇に入りたかったんだ」と語る。
「まだ自分が達成したことの実感が湧かない。この幸せな瞬間をチームスタッフとチームメイトたちと分かち合いたい」。5月のジロ・デ・イタリアを総合11位&ヤングライダー賞3位で終えたカーシーにとってこれがUCIワールドツアーレース初勝利。Velonが公開しているカーシーの走行データを見ると、3時間1分49秒のレース中、平均スピード33.5km/h、最高スピード94.0km/h、平均出力320W、NP360W。序盤から登坂区間は常に380W前後で踏んでいる(体重69kg)。
そしてスイス総合優勝のタイトルはベルナルの手に。落車リタイアしたゲラント・トーマス(イギリス)に代わってチームイネオスのエースを務め上げたベルナルは「これは今まで勝ったレースの中で一番大きなレースの一つ。とても嬉しいし、これからのレースに向けて自信に繋がるよ。落車でジロを欠場した自分にとって、復帰戦のレースで勝つのはチームにとっても素晴らしいこと」とコメント。ベルナルの最終ステージのVelon公開データを見ると、3時間2分41秒のレース中、平均スピード33.2km/h、最高スピード100.3km/h、平均出力255W、NP285W、最高出力900W、平均ケイデンス80rpmだった(体重60kg)。
総合逆転を逃しながらも、個人タイムトライアルだけでなく山岳ステージでも強さを見せたデニスは「総合2位は予想していなかった。個人タイムトライアルで勝利して、しかもクイーンステージをベルナルと一緒に終えるなんて。この走りの裏には厳しいトレーニングの日々があったことを付け加えておきたい。とにかくこの総合2位という成績を誇りに思う」と語っている。デニスはヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)とともにツール・ド・フランスのスタートラインに立つ予定だ。
ツール・ド・スイス2019第9ステージ結果
1位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) | 3:01:49 |
2位 | ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ) | 0:01:02 |
3位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | |
4位 | マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール) | 0:01:52 |
5位 | シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) | |
6位 | カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、モビスター) | 0:02:15 |
7位 | ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) | |
8位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
9位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
10位 | ヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ) |
個人総合成績
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 27:43:10 |
2位 | ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:19 |
3位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:03:04 |
4位 | ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) | 0:03:12 |
5位 | ヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ) | 0:03:13 |
6位 | シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) | 0:03:48 |
7位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:04:14 |
8位 | カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、モビスター) | 0:04:35 |
9位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:04:53 |
10位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ) | 0:05:27 |
ポイント賞
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 37pts |
2位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 32pts |
3位 | ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ) | 28pts |
山岳賞
1位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) | 60pts |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 40pts |
3位 | ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ) | 33pts |
ヤングライダー賞
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 27:43:10 |
2位 | ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) | 0:03:12 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:04:53 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 83:32:29 |
2位 | チームイネオス | 0:01:49 |
3位 | サンウェブ | 0:06:02 |
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