2010年4月14日、ツアー・オブ・ターキー(UCI2.HC)が207kmの山岳コースで行なわれ、スタート直後に飛び出した土井雪広(日本、スキル・シマノ)がゴールまで逃げ切り成功。強豪と渡り合う堂々の走りでステージ4位&総合6位に浮上した。ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)はステージ連勝&総合首位に。

道幅のある緩やかな1級山岳を上る選手たち道幅のある緩やかな1級山岳を上る選手たち photo:www.tourofturkey.org前日までとは打って変わって、第4ステージからは標高1000mを超える本格的な山岳が登場する。前半に1級山岳が登場し、その後も断続的にアップダウンの繰り返し。ゴール前は高低差100mほどの上りだ。

総合変動可能性が高い重要なステージ。スタート直後、ファーストアタックで飛び出したのは、スキル・シマノの土井雪広だった。

沿道でレースを見守る老人沿道でレースを見守る老人 photo:www.tourofturkey.org土井の当初の目的は、36km地点に設定された1級山岳。フィリップ・ルーデシャー(オーストリア、フォアアールベルク)とアルベルト・フェルナンデス(シャコベオ・ガリシア)を従えて1級山岳を駆け上がった土井は、そのまま頂上を先頭で通過して10ポイントを獲得した。

逃げグループの中で総合成績が最も良かったのは、総合首位から2分35秒遅れの土井。メイン集団とのタイム差が最大10分15秒まで広がったため、レース中盤まで土井がずっとバーチャルリーダーに。

コフィディスがコントロールするメイン集団コフィディスがコントロールするメイン集団 photo:www.tourofturkey.orgこの日もISD・ネーリは攻撃の手を緩めなかった。1級山岳通過後にメイン集団からオスカル・ガットとパオロ・ロンゴボルギーニ(ともにイタリア、ISD・ネーリ)が飛び出し、2人で10分のタイム差を埋めて先頭グループに合流すると、続いて本命のヴィスコンティが動いた。

総合2位のヴィスコンティが集団から飛び出すと、リーダージャージを擁するコフィディスはダヴィ・モンクティエ(フランス)が応戦。これにタジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)やジャンパオロ・ケウラ(イタリア、フットオン・セルヴェット)ら4名が追いつき、強力な6名の追走グループが形成された。

集団内で山岳地帯を走る選手たち集団内で山岳地帯を走る選手たち photo:www.tourofturkey.orgヴィスコンティやモンクティエを含む追走グループは、ゴールまで87kmを残して先頭に合流した。こうして先頭グループは11名に。ゴールまで80kmを残してメイン集団は4分遅れ。ここからは先頭グループとメイン集団のマッチレースだ。

リーダージャージ擁するコフィディスが懸命にメイン集団を牽いたが、タイム差は縮まらない。やがて先頭グループは、ルーデシャーやフェルナンデスが脱落して7名に。メイン集団では、スプリント勝負に持ち込みたいチームHTC・コロンビアとコルナゴ・CSFイノックスも先頭交代に加わった。

上りスプリントを制したジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)、後方に土井雪広(日本、スキル・シマノ)上りスプリントを制したジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)、後方に土井雪広(日本、スキル・シマノ) photo:www.tourofturkey.org先頭は土井雪広(スキル・シマノ)、ケウラ(フットオン・セルヴェット)、ヴァンガーデレン(チームHTC・コロンビア)、ヴィスコンティ&ガット(ISD・ネーリ)、モンクティエ(コフィディス)、サレルノ(デローザ・スタックプラスチック)の7名。この中でレース序盤から逃げているのは土井だけ。

ゴールまで10kmを残してタイム差は3分15秒。追走を諦めたメイン集団とのタイム差が拡大傾向に。土井を含む7名の逃げ切りが決まった。

第4ステージ表彰台 左からタジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)、優勝ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)、3位ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)第4ステージ表彰台 左からタジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)、優勝ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)、3位ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス) photo:Cor Vosゴールまで3kmを切り、ゴールに至る上りがジワリと始まると、牽制気味の沈黙を破ってケウラがアタック。ケウラはそのまま独走でラスト1kmのアーチを通過したが、徐々に失速してしまう。後方ではモンクティエ、ヴィスコンティ、ヴァンガーデレン、そして土井がスプリントに向けて準備万端。ラスト100mでヴィスコンティが仕掛けた。

勢い良く飛び出したヴィスコンティは先行していたケウラをパス。モンクティエやヴァンガーデレンが反応したが届かず、そのままヴィスコンティがトップフィニッシュ。200km以上に渡って逃げていた土井は最後の力を振り絞って4位に入った。

メイン集団はアンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)を先頭に4分32秒遅れでフィニッシュ。リーダージャージのレイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)は総合を諦め、5分19秒遅れでゴールに辿り着いた。

ステージ2連勝のヴィスコンティは総合首位に躍進。連日積極的な走りを見せるISD・ネーリは個人総合成績、ポイント賞、山岳賞、チーム総合成績でトップを独占している。また、メイン集団が大きく遅れたため、この日の上位6名がそのまま総合6位までを独占するカタチに。土井雪広はトップから2分46秒遅れの総合6位に浮上した。

レース後、土井は「今日はスタートから全開でアタックして、シナリオ通りのレースが出来ました。自分でもビックリしています。もしメイン集団の残っていたらヴィスコンティらのアタックには反応出来ていたかわからないし、先手でレースを進めて出た結果だと思います。もちろん今日は脚も痙攣しなかったし、運もあったと思う。山岳賞狙いでのアタックが、総合までひっくり返って嬉しい」という喜びのコメント。

期待されるのは総合トップ10フィニッシュと山岳賞だ。1級山岳を先頭通過した土井は10ポイントで山岳賞2位につけている。土井は「でも、モーターバイクのようなスピードで登っていくクライマーが30人はいるから、明日からのレースは僕にとって厳しいものになる。全力を尽くして総合トップ10を守りきりたいです。明日からはまた違ったレースを強いられるけど、日本で応援してくれる人がいると思うと頑張れます!明日からも応援よろしくお願いします!」と語ってくれた。

翌第5ステージは標高1000mオーバーの1級山岳が2つ設定された今大会のクイーンステージだ。

レース展開はレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。

レース写真は後ほど追加する予定です!

ツアー・オブ・ターキー2010第4ステージ
1位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)          5h46'10"
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)
3位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)
4位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                       +02"
5位 ジャンパオロ・ケウラ(イタリア、フットオン・セルヴェット)          +05"
6位 クリスティアーノ・サレルノ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)    +33"
7位 オスカル・ガット(イタリア、ISD・ネーリ)                 +2'46"
8位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)           +4'28"
9位 マッティア・ガヴァッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
10位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)

個人総合成績
1位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)         14h57'48"
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)        +16"
3位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)                +27"
4位 ジャンパオロ・ケウラ(イタリア、フットオン・セルヴェット)          +48"
5位 クリスティアーノ・サレルノ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)   +1'42"
6位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                      +2'46"
7位 オスカル・ガット(イタリア、ISD・ネーリ)                 +3'45"
8位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)           +4'43"
9位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)                  +4'59"
10位 ドミニク・コルニュ(ベルギー、スキル・シマノ               +5'03"

ポイント賞
1位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)           35pts
14位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                     12pts

山岳賞
1位 ディエゴ・カッチャ(イタリア、ISD・ネーリ)                14pts
2位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                      10pts

チーム総合成績
ISD・ネーリ

text:Kei Tsuji
photo:www.tourofturkey.org, Cor Vos