ノルウェーでハンマーシリーズ第1戦が開幕。初日のハンマークライムはボーラ・ハンスグローエとロット・スーダル、ユンボ・ヴィズマの激しいポイント勝負に持ち込まれ、フィニッシュポイントで逆転したユンボ・ヴィズマが優勝を飾った。



アルデンヌクラシックにも似た、アップダウンの激しいコースアルデンヌクラシックにも似た、アップダウンの激しいコース (c)Karen M. Edwards/www.hammerseries.com
スタヴァンゲル(ノルウェー)、リンブルフ(オランダ)、そして香港という合計3戦で争われる2019年のハンマーシリーズが開幕。今年も「ハンマークライム」「ハンマースプリント」「ハンマーチェイス」という独自の3レース/3日間を組み合わせて最終的なチーム成績を争う。

ハンマークライム(8.9km×9周半)とハンマースプリント(9.3km×9周半)は毎周回ごとにポイントが設定されたポイントレース形式のレースで、毎周回フィニッシュライン通過時の上位10名選手にポイントが与えられ、3周目、6周目、10周目は2倍ポイント。総合ポイントで順位が争われ、上位10チームには最大15秒のボーナスタイムが与えられる。ポイント配分は以下の通り。
ハンマークライム/ハンマースプリント ポイント配分
1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位
100pts 81pts 66pts 53pts 43pts 35pts 28pts 23pts 19pts 15pts
最終日に開催されるチームタイムトライアル形式のハンマーチェイス(16.3km×3周)は2日間の総合上位チームから順に、規定のタイム差にボーナスタイムを反映させたタイム差をつけて順番にスタート。先頭でフィニッシュラインを駆け抜けたチームが総合優勝に輝く方式だ。各大会の最終総合成績に応じてポイントが付与され、最高得点をマークしたチームが2019年の年間王者となる。

中盤までに700ポイントを稼いだサム・ベネット(アイルランド)だが、後半に脱落中盤までに700ポイントを稼いだサム・ベネット(アイルランド)だが、後半に脱落 (c)CorVos
骨折後のヨーロッパレース復帰戦を走る別府史之(トレック・セガフレード)骨折後のヨーロッパレース復帰戦を走る別府史之(トレック・セガフレード) (c)CorVos積極的に動き加点したティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)積極的に動き加点したティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) (c)CorVos


今年のハンマーシリーズに出場するのは、ヴェロンに加入する合計16チーム。昨年圧倒的な力を見せたミッチェルトン・スコットやドゥクーニンク・クイックステップらワールドツアー勢を中心に、デルコ・マルセイユプロヴァンスやイスラエルサイクリングアカデミーなどプロコン勢も4チームが参加中。現在ジロ出場中のNIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネは不参加だ。

メンバーは1チーム7人登録で、その中から各レースに適した選手5名がスタートラインに並ぶ。スタヴァンゲル初日のハンマークライムのコースは周回コース終盤に連続した2箇所の登りポイントが用意され、それぞれ距離400m/平均勾配4.2%、距離700m/平均7%と登れるパンチャー向けのレイアウトだ。気温が下がったため、激しくインターバルが掛かるレースにも関わらず、ウォーマー類を装備した80名の選手がスタートを切った。

序盤からギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、CCCチーム)を中心にアタックが掛かり、集団一つのままオスカル・ガット(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)が初回ポイントを先頭通過し100ポイントを獲得。ボーラ・ハンスグローエはその後も強力な逃げグループに加わったサム・ベネット(アイルランド)が2周目と3周目、4周目、5周目でトップ通過を果たすことに。

序盤に形成された逃げグループ。複数名を乗せたイネオスやミッチェルトン・スコットが牽引序盤に形成された逃げグループ。複数名を乗せたイネオスやミッチェルトン・スコットが牽引 (c)Karen M. Edwards/www.hammerseries.com逃げグループを単独で追うレムコ・イヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)逃げグループを単独で追うレムコ・イヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos

20%に迫るフィニッシュライン前の登り。毎周回激しい勝負が繰り広げられた20%に迫るフィニッシュライン前の登り。毎周回激しい勝負が繰り広げられた (c)Karen M. Edwards/www.hammerseries.com
逃げグループに選手を送りこめなかったドゥクーニンク・クイックステップはレムコ・イヴェネプール(ベルギー)を追走に回して合流させたものの、追走時間が長かったことで大量得点は狙えない。ダブルポイントとなる6周目もベネットが先頭通過したため、ボーラ・ハンスグローエはこの時点で800ポイントという圧倒的なリードを築くことに成功した。

ボーラ・ハンスグローエの圧勝かと思われたが、ここからレースが動いた。イヴェネプールのアタックによって5名が逃げ、ここにユンボ・ヴィズマは2名(ヨナス・ヴィンゲゴー&マイク・テウニッセン)を送り込むことに成功。ベネットはこの動きに乗れず、この時点で暫定5位につけるユンボ・ヴィズマは数の利で巻き返しを図った。

この5名は集団に追いつかれながらも、逃げ切ったテウニッセンが7周目を先頭通過。8周目はセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、サンウェブ)が、続く9周目はルカ・メズゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット)の背後でパスカル・エーンクホーン(オランダ)とテウニッセンのユンボ・ヴィズマコンビが2位&3位通過を果たし、ティム・ウェレンス(ベルギー)中心に動くロット・スーダルは着実に加点を繰り返したことで、ベネットの脱落を受け後半に失速したボーラ・ハンスグローエに代わって首位浮上。ユンボ・ヴィズマも暫定首位ロット・スーダルに34ポイント差、暫定2位ボーラ・ハンスグローエに15点差まで迫り、勝負は最終周回の着順に委ねられることに。

フィニッシュで200ポイントを得たマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)フィニッシュで200ポイントを得たマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
逆転優勝を果たしたユンボ・ヴィズマ逆転優勝を果たしたユンボ・ヴィズマ (c)Karen M. Edwards/www.hammerseries.com
集団からは再び抜け出しが掛かり、テウニッセンやウェレンス、スヴェンエリック・ビストラム(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)を含む逃げグループが集団を振り切った状態で登りに突入する。先行するスウェーデン王者ルーカス・エリクソン(リワル・レディーネス)を捉えたテウニッセンが200ポイントを獲得し、ウェレンスは5位86ポイント止まりとなったためユンボ・ヴィズマが逆転。ハンマーシリーズ初日で勝利した。

「今日はメンバー全員が得点し、最終盤に入っても2人を残していたのが大きかった。今日の勝利には極めて重要なことだった」と語るのは初日勝利に貢献したテウニッセン。「逃げをコントロールできていたのも大切だった。10回中2回しか先着できなかったが、複数名で常に加点できたんだ」。

各チームはメンバーを入れ替え、翌日のハンマースプリントへと向かう。トップ3チームが激しい勝負を繰り広げたが、11位のディメンションデータ以下は100ポイントにも届かない苦しい出だしとなった。
ハンマーシリーズ・スタヴァンゲル2019 ハンマークライム結果
1位 ユンボ・ヴィズマ 1065ポイント
2位 ロット・スーダル 928.1ポイント
3位 ボーラ・ハンスグローエ 868.6ポイント
4位 ミッチェルトン・スコット 727.7ポイント
5位 サンウェブ 629.2ポイント
6位 チームイネオス 437.5ポイント
7位 ドゥクーニンク・クイックステップ 419.4ポイント
8位 UAEチームエミレーツ 375.2ポイント
9位 リワル・レディーネス 235.3ポイント
10位 EFエデュケーションファースト 106.2ポイント
11位 ディメンションデータ 94.4ポイント
12位 CCCチーム 53.1ポイント
13位 カハルーラル・セグロスRGA 52.1ポイント
14位 トレック・セガフレード 18.5ポイント
15位 デルコ・マルセイユプロヴァンス 0ポイント
16位 イスラエルサイクリングアカデミー 0ポイント
text:So.Isobe
photo:CorVos,Karen M. Edwards/www.hammerseries.com

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