標高2000mオーバーの高地で繰り広げられたアタック合戦。10名による登坂勝負の末にカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)がプロ初勝利を掴み、同タイム2位のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)が総合首位に浮上した。



214.5km先のフィニッシュを目指して出発する214.5km先のフィニッシュを目指して出発する
ツアー・オブ・カリフォルニア2019第2ステージ コースプロフィールツアー・オブ・カリフォルニア2019第2ステージ コースプロフィール (c)www.amgentourofcalifornia.comアムジェン・ツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)第2ステージの舞台は、ランチョ・コルドヴァから真西のサウスレイク・タホを目指して高度を上げる214.5kmの長丁場。

標高2000mオーバーのサウスレイク・タホは昨年クイーンステージのフィニッシュを迎えているが、今年は別ルートから登るため難易度はそこまで高くない。ラスト1.7kmから登坂が始まり、その平均勾配は5.9%とパンチャー向け。6時間オーバーの戦いはルーク・ロウ(イギリス、チームイネオス)やマッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)、ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ)ら7名の逃げで幕明けた。

ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ)らが含まれた序盤のエスケープダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ)らが含まれた序盤のエスケープ 山岳を目指して進むメイン集団山岳を目指して進むメイン集団 (c)www.amgentourofcalifornia.com

山脈からの雪解け水が流れる渓谷を越えていく山脈からの雪解け水が流れる渓谷を越えていく (c)www.amgentourofcalifornia.com
メイン集団ではティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)とリゴベルト・ウラン(コロンビア)の2枚看板を擁するEFエデュケーションファーストが、逃げグループに2分ほどの猶予を与えつつコントロール。徐々に標高を上げる中盤戦ではアクセル・メルクス氏が率いる育成チームのハーゲンスバーマン・アクセオンがアタックを繰り返し、エドワード・アンダーソン(アメリカ、ハーゲンスバーマン・アクセオン)が先頭グループに合流する動きも。

一方で調子の上がりきらないマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)はこのペースアップによって集団から遅れ、盟友ベルンハルト・アイゼル(オーストリア)にサポートされながらフィニッシュを目指すことに。最終的に36分遅れでタイムアウトを免れたカヴは「7時間ローラーで練習しているような気分だった」とゴール直後にツイートしている。

続けてメイン集団のペースアップを担ったのはEFエデュケーションファーストだった。フルメンバーがチームTT状態でスピードを上げ、一時ラクラン・モートン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)が先行するも、ほどなくして14名の追走グループによってキャッチされる。ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ)らが入ったこの先行グループは一時1分程度のリードを得たが、標高2359mのスプリントポイント「ルーサー・パス」を越えた先でジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)が入ったメイン集団に引き戻される。ここから更にアタック合戦が熱を帯びた。

雪が多く残る標高2000mオーバーの高地を越えていく雪が多く残る標高2000mオーバーの高地を越えていく (c)www.amgentourofcalifornia.com
アタック合戦の中で先行グループに乗り遅れたジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)アタック合戦の中で先行グループに乗り遅れたジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) 終盤、逃げ続けるダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ)やジャンニ・モスコン(イタリア、チームイネオス)ら終盤、逃げ続けるダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ)やジャンニ・モスコン(イタリア、チームイネオス)ら


序盤の逃げ中に暫定山岳ランキング首位に立ったバッレリーニとカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)が逃げ、ヴァンガーデレンやマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ジャンニ・モスコン(イタリア、チームイネオス)ら9名のグループが後に続く。中切れで遅れたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)はアシストを使いつつ復帰に成功したが、同じく遅れたベネットやリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)は30秒以上の遅れを最後まで取り返すことはできなかった。

アスグリーンとバッレリーニが追走グループに戻り、1名が遅れたため先頭は10名。後続ベネットグループを追いつかせないようにローテーションを回し、差をキープしながら最後の3級山岳に突入した。

2名を揃えたアスタナの攻撃は失敗に終わり、ヴァンガーデレンのペースアップによってスプリント力のあるシャフマンが脱落。ステージ優勝とリーダージャージの行方はヴァンガーデレンと食らいついたポガチャル、モスコン、アスグリーンに委ねられ、緩やかな登り最終コーナーでアスグリーンが加速。下ハンドルに持ち替えてスプリントを続けるアスグリーンが、ヴァンガーデレンを引き離して優勝。中盤から激しく動いた山岳バトルを締めくくった。

登坂勝負を制し、プロ初勝利を挙げたカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)登坂勝負を制し、プロ初勝利を挙げたカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ツアー・オブ・カリフォルニア2019第2ステージトップスリー。ツアー・オブ・カリフォルニア2019第2ステージトップスリー。
2008年4月からドゥクーニンク・クイックステップに正式加入し、持ち前のスピードで個人TTでの上位入賞を繰り返しつつ、今年のロンド・ファン・フラーンデレンで2位に入った24歳のアスグリーンにとっては今回が嬉しいプロ初勝利。タイム差無しの2位となったヴァンガーデレンがモスコンに対して6秒差、アスグリーンに対して7秒差の総合首位に浮上することとなった。

ツアー・オブ・カリフォルニア2019第2ステージ結果
1位 カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) 6h17'11"
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)
3位 ジャンニ・モスコン(イタリア、チームイネオス) +04"
4位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) +10"
5位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +16"
6位 ヨナス・グレゴー(デンマーク、アスタナ) +27"
7位 ロブ・ブリットン(カナダ、ラリーUHCサイクリング)
8位 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) +31"
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト)
10位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)
個人総合成績
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト) 9h31'19"
2位 ジャンニ・モスコン(イタリア、チームイネオス) +06"
3位 カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) +07"
4位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) +16"
5位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +22"
6位 ロブ・ブリットン(カナダ、ラリーUHCサイクリング) +33"
7位 ヨナス・グレゴー(デンマーク、アスタナ)
8位 ダヴィ・デラクルス(スペイン、チームイネオス) +34"
9位 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +35"
10位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) +36"
ポイント賞
1位 カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) 15pts
2位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 15pts
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト) 12pts
山岳賞
1位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ) 11pts
2位 カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) 7pts
3位 エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーUHCサイクリング) 7pts
ヤングライダー賞
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 9h31'35"
2位 セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) +21"
3位 エドワード・アンダーソン(アメリカ、ハーゲンスバーマン・アクセオン) +1'12"
チーム総合成績
1位 EFエデュケーションファースト 28h35'17"
2位 コフィディス・ソルシオンクレディ +40"
3位 ラリーUHCサイクリング +1'07"
text:So.Isobe
photo:CorVos

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