国内ロードレースチームが参加し、競輪場のトラックを使用して行われる「バンクリーグ」が、今年から本格的にスタートする。その報道向け説明会が東京都内で開催された。バンクリーグの内容と開催予定、今後の課題についてレポートする。



バンクリーグに参加予定の7チームの選手・監督が揃ったプレスカンファレンスバンクリーグに参加予定の7チームの選手・監督が揃ったプレスカンファレンス photo:Satoru Kato
「バンクリーグ」は、国内ロードレースチームが参加し、競輪場のトラック=バンクを舞台に開催されるレースイベント。昨年8月に宇都宮競輪場で開催された「トラックフェスティバル'18」をテストケースとし、選手による実走テストなど本格開催に向けての検討がなされ、今年から新たにスタートすることが決まった。

昨年8月、宇都宮競輪場で開催された「トラックフェスティバル'18」昨年8月、宇都宮競輪場で開催された「トラックフェスティバル'18」 photo:Satoru Katoレースはバンクリーグオリジナルの「3ポイントゲーム」で行われる。3人から4人で構成された2チームが同時スタートし、3周目終了時にコントロールラインを先頭で通過した選手のチームに1ポイントが与えらえる。以降は1周おきにポイントが与えられる周回が設定され、3ポイント先取したチームが勝利。最短で7周、最長で11周のレースとなる。

参加を予定しているのは8チーム。全チームが出場した場合、4チームずつ2つのブロックに分けて総当たりのリーグ戦を行い、各ブロックの首位同士が決勝戦を戦う。各チームのレーススケジュールなどにより出場チーム数が変わることもあるが、基本的にはリーグ戦+決勝というスタイルで行われる。

開催は平日の18時から21時の間を予定。観客席はスタンドの他にバンク内側の特別席を用意し、飲食ブースの出店や、レースの合間のショータイムなど、様々なイベントを予定。スタートからフィニッシュまでレース全てを見られるトラック競技のライブ感と、レース以外のイベントをセットにし、自転車競技の新たな魅力を作り上げることを目指す。

「バンクリーグ」の発起人であるキナンサイクリングチームの加藤康則GM「バンクリーグ」の発起人であるキナンサイクリングチームの加藤康則GM photo:Satoru Kato「レースよりもエキサイティングなトークをしたい」とマトリックスパワータグの安原監督「レースよりもエキサイティングなトークをしたい」とマトリックスパワータグの安原監督 photo:Satoru Kato

バンクリーグ発起人であり、キナンサイクリングチームの加藤康則ゼネラルマネージャーは、「バンクリーグが盛り上がることで自転車競技の観戦文化の発展に一石を投じたい」と意気込みを語る。

また、開催に向けた実走テストなどで協力したマトリックスパワータグの安原昌弘監督は「ロードレースとは違った面白さを見てもらいたい。ビールを飲む間もないほどエキサイティングなレースが展開されるはず。私もレースの合間にマイクを持って、レースよりもエキサイティングなトークを繰り広げたい」と、イベント盛り上げへの意欲を語った。

参加チームと開催予定は以下の通り。現時点では3戦の開催が予定されており、10月に第4戦開催の調整が進められている。近日中に公式サイトがオープンするほか、公式フェイスブックがスタートしており、開催の詳細については今後決まり次第発表される。
バンクリーグ 2019年参加予定チーム、開催予定
参加チーム開催予定
那須ブラーゼン8月23日(金)開催地調整中
チームブリヂストンサイクリング8月30日(金)松坂競輪場(三重県)
マトリックスパワータグ9月23日(月・祝)広島競輪場(広島県)
シマノレーシング10月21日(月・祝)開催地調整中
キナンサイクリングチーム
愛三工業レーシングチーム
チーム右京
バンクリーグに参加予定8チームのうち、チーム右京以外の7チームが揃ったバンクリーグに参加予定8チームのうち、チーム右京以外の7チームが揃った photo:Satoru Kato


「競輪場をスポーツ文化の発信拠点に」バンクリーグが目指すもの

観客席などの施設が整っていることも競輪場の魅力観客席などの施設が整っていることも競輪場の魅力 photo:Satoru Katoバンクリーグは日本各地にある競輪場を活用し、自転車レースをもっと身近に見られるものにしたいという構想からスタートしている。

近年は駅前など人が集まりやすい場所でのロードレース開催が増えたものの、まだ人里離れた場所での開催が多い。競輪場は交通の便も良い都市部のど真ん中にあるところも多く、観戦スタンドや照明施設が整っているだけでなく、映像中継や決勝判定の設備もある。レースをする上でも、観客を呼び込む上でも、最適な場所だ。

参加チームにとっては、入場料収入を得られるという利点がある。スポンサー収入に頼るロードレースでは、収入源をどのように確保するかは日本に限らず一番の悩みだ。これは先日発表されたJBCF(一般社団法人 日本実業団自転車競技連盟)の新リーグ構想でも言われたことだが、選手やスタッフの生活を保証する術を確保することは、このスポーツをより発展させるための必須事項だ。

将来の目標として、野球やサッカーのようなホーム・アンド・アウェイ方式での開催を目指す。参加チームがホームバンクを持ち、レース開催運営を担うことで収益を上げられるようにするのが狙いだ。

入場料以上の魅力創造とブランディングの問題

一方で課題もある。

ひとつは開催スケジュールの問題。国内ロードレースはJプロツアーとUCIレースだけでも、3月から11月までのシーズンはほぼ毎週レースがあり、チームによっては海外遠征もある。さらに会場となる競輪場は平日の競輪開催もあるため、スケジュール調整はかなりシビアになりそうだ。今後開催数を増やしていく上で、日程調整は問題となるだろう。

昨年のトラックフェスティバル'18で設定されたバンク内側のVIP席は、50席が完売した昨年のトラックフェスティバル'18で設定されたバンク内側のVIP席は、50席が完売した photo:Satoru Katoもうひとつは有料観戦であること。昨年のトラックフェスティバルではバンク内側の特別席のみ有料だったが、バンクリーグの観戦は全て有料となる(価格は未定)。先にも述べた通り、参加チームにとって入場料収入を得られる利点はあるが、裏を返せば入場料に見合った魅力を作り出せなければ収益は上がらない。「最初は試行錯誤を繰り返すことになるだろう」と、発起人の加藤氏は認めるが、良い流れになってくれることを願いたい。

また、競輪場での開催をどう広報・告知していくかも問題だろう。自転車競技を知らない人にとってはロードレースと競輪の違いさえ理解されていないのが現状だ。良くも悪くも競輪のイメージが強い日本において、今後のブランディング戦略が新しいファンを獲得するためのカギとなりそうだ。

ともあれ、ロードレースとも、競輪とも、トラック競技とも違う新たな自転車レースイベントとなるバンクリーグ。今後の展開を大いに期待したい。

text&photo:Satoru Kato
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