真っ白な砂埃が巻き上がるストラーデビアンケ(白い道)で先行した精鋭によるバトル。断続的な未舗装路とシエナの石畳坂を経て、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)との一騎打ちを制した。


砂埃を巻き上げて進むプロトン砂埃を巻き上げて進むプロトン photo:RCS Sport
ストラーデビアンケ2019 コースマップストラーデビアンケ2019 コースマップ photo:RCS Sportストラーデビアンケ2019 高低図ストラーデビアンケ2019 高低図 photo:RCS Sport

イタリア語で『白い道』を意味するストラーデビアンケ(UCIワールドツアー)が、3月9日、イタリア中部トスカーナ州のシエナ近郊に広がる丘陵地帯で開催された。

登場する未舗装区間は合計11セクター・全長63km。その長さは1kmから長さが12km近くに達するものまで様々で、急勾配の登りを含むセクターが終盤に連続する。フィニッシュラインが引かれているのは丘の上に位置するシエナ中心部のカンポ広場で、その手前には最大勾配が16%に達するサンタカテリーナ通りの石畳坂も登場する。全長184kmコースの獲得標高差は3,200mで、悪路を走るパワーとテクニックに加えて登坂力が欠かせない。

気温15度ほど、風も比較的弱く、春の太陽の光に包まれた穏やかなシエナをスタートするとすぐ、先頭ではニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)とアレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール)、レオ・ヴァンサン(フランス、グルパマFDJ)、ディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ)の4名が逃げグループを形成した。ワイルドカード枠で出場していたUCIプロコンチネンタルチームのネーリソットリ、NIPPOヴィーニファンティーニ、ヴィタルコンセプト・B&Bホテルズは逃げに選手を送り損ねた。

62km地点でタイム差は4分30秒まで拡大した。折り返し地点のモンタルチーノの街を過ぎ、シエナに向かって北上を始めるとタイム差は縮小に転じる。未舗装区間でパンクに見舞われたジェニエスらが相次いで逃げグループから脱落し、セクター7『サンマルティーノ』でローザの独走状態に。その後方ではフィニッシュまで50kmを残して本命が動き始めた。

シエナ南部に広がる未舗装路を走るシエナ南部に広がる未舗装路を走る photo:RCS Sport
独走するディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ)独走するディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ) photo:RCS Sport
断続的な未舗装のアップダウンをこなす断続的な未舗装のアップダウンをこなす photo:CorVos
全長11.5kmで急勾配の登りと下りを繰り返すセクター8『モンテサンテマリエ』でグレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム)らがペースを上げると、メイン集団はすぐさま縦に長く伸び、中切れによって崩壊する。ここで形成された約15名の精鋭集団にヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)は入ることができなかった。

このセクター8で形成された精鋭集団が実質的な優勝に向けた動きとなり、それまで逃げていた先頭ローザを残り36km地点で吸収してさらに先を急ぐ。約1分の遅れを被った第2集団からはマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)が追走アタックを仕掛けたが届かない。忍耐強い追走で精鋭集団に追いついたビアチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)とマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)も、続くセクター9『モンテアペルティ』に突入するとすぐに脱落した。

フィニッシュまで23kmを残したセクター9『モンテアペルティ』の登りでアタックを仕掛けたのは、2月下旬のブエルタ・ア・アンダルシアで総合優勝を飾っていたヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)。精鋭集団にツアー・オブ・オマーンの覇者アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)を残しながら飛び出したフルサングには元シクロクロス世界チャンピオンで前年大会3位のワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)がすぐさま反応。少し遅れてジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)もここに加わった。

後方では前年度覇者ティシュ・ベノート (ベルギー)とティム・ウェレンス(ベルギー)のロット・スーダル勢を中心に追走の動きが生まれたが、ドゥクーニンク・クイックステップのゼネク・スティバル(チェコ)とイヴ・ランパールト(ベルギー)がチェックに入る。組織的な追走体制を築けない追走集団を尻目に、先頭3名(フルサング、ファンアールト、アラフィリップ)は30秒程度のタイム差をつけてセクター10『ピンズート』に突入した。

未舗装区間をこなすメイン集団未舗装区間をこなすメイン集団 photo:RCS Sport
先頭で抜け出したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)ら3名先頭で抜け出したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)ら3名 photo:CorVos
ストラーデビアンケ2019 ラスト20km高低図ストラーデビアンケ2019 ラスト20km高低図 photo:RCS Sport
最大勾配15%の急勾配区間でファンアールトが脱落し、フルサングとアラフィリップが先行した状態でセクター10を駆け抜ける。肩をつき合わすように走る二強がセクター11『レ・トルフェ』に突入。年々観客が増し、最大勾配が18%に達する大会最後のセクターでフルサングが再度加速したが、アラフィリップが千切れることはなかった。

未舗装区間を終えると後はシエナの街まで舗装路のアップダウン。登りを利用してフルサングがアタックを試みるシーンも見られたが、じわりとしたアラフィリップとのタンデム走行が続く。サンタカテリーナ通りの石畳坂に向けて脚を溜めたい2人には、単独3番手で追走を続けていたファンアールトが迫った。

目の前にレンガ色のシエナの街が近づいたところで、残り1.2km地点でついにファンアールトが先頭復帰に成功。そのままサンタカテリーナ通りの石畳坂に突入したが、追走に力を使ったファンアールトにエネルギーは残っていなかった。最後の最後の勝負どころである最大勾配16%の石畳坂でフルサングがアタック。アラフィリップはここでも千切れなかった。

2人並んでサンタカテリーナ通りを抜けると、フィニッシュまで残り400m。中世の街並みを色濃く残すシエナ旧市街の石畳路は下り基調で、常に曲がりくねっていて、先行者を追い抜くのは難しい。目抜き通りのバンキ・ディ・ソープラ通りへの左コーナーを前に、狙いすました加速でアラフィリップがフルサングの前に出た。

そのままバンキ・ディ・ソット通りを先頭で駆け抜け、残り150mのタイトな右コーナーを抜けたアラフィリップ。フルサングに並ばせることなく『世界一美しい』と称されるカンポ広場にやってきたアラフィリップが右手を突き上げた。

最後のセクター11の急勾配区間を走るジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)とヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)最後のセクター11の急勾配区間を走るジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)とヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) photo:RCS Sport
カンポ広場に向かう石畳坂でアタックするヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)と、反応するジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)カンポ広場に向かう石畳坂でアタックするヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)と、反応するジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
フルサングとの一騎打ちを制したジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)フルサングとの一騎打ちを制したジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:RCS Sport
「終盤にかけて脚が重くて、ヤコブ・フルサングのほうがフレッシュだったと思う。勝つためには(最後の石畳坂)サンタカテリーナを彼と一緒に登り始める必要があった。そしてその通りの走りができたんだ」。厳しいレースの最後に、27秒間にわたって690W(11.13W/kg)を出力し、サンタカテリーナでのフルサングのアタックに食らいついたアラフィリップは振り返る。

「このストラーデビアンケはシーズン最初の目標レースだった。南米(ブエルタ・ア・サンフアン)で良い走りをして(ステージ2勝&総合2位)、このレースで勝ちたいと思っていたんだ。初出場のレースで勝利を狙うのは簡単なことじゃないけど、今日も近くには強力なチームメイトたちがいてくれた。プレッシャーにも慣れていたし、上手く立ち回ることができたよ」。2018年にラ・フレーシュ・ワロンヌとクラシカ・サンセバスティアン優勝、ツアー・オブ・ブリテン総合優勝、ツール・ド・フランスでステージ2勝&山岳賞という破竹の活躍を見せた26歳のパンチャーが、価値ある『若い』クラシックのタイトルをキャリアに加えた。ドゥクーニンク・クイックステップはアスタナに並ぶ今シーズン15勝目。

「今日は調子の良さを感じていたので勝ちたかった。良いレースを展開できていただけに、僅差で敗れてほろ苦い気持ちだ」。アラフィリップとの一騎打ちに敗れたアラフィリップは悔やむ。「スプリント力のあるジュリアン・アラフィリップに勝つ方法をずっと考えながら走っていたけど、彼は積極的にローテーションしたがらなかったので、サプライズアタックで置き去りにするしか方法はなかった。何度か試したけどダメだった」。フルサングとアラフィリップは3月13日開幕のティレーノ〜アドリアティコに出場する予定だ。

シーズン途中の3月にユンボ・ヴィズマ入りし、シクロクロスからロードレースに切り替えたファンアールトは2年連続3位。「ジュリアンとヤコブに引き離されてから、最後の30分間はただただ苦しみの中にいた。後続を振り切って表彰台に上ることができてよかったよ。前の2人に追いついた時、すでに限界を迎えていたので(勝つためではなく)3位を確保するためにそのまま前に出た。2回の出場で2回の表彰台は相性の良い証拠。このストラーデビアンケには必ず勝つために戻ってくる。いつかは表彰台の真ん中に立ちたい」。元シクロクロスチャンピオンは今後ミラノ〜サンレモ、E3ビンクバンククラシック、ヘント〜ウェヴェルヘム、ロンド・ファン・フラーンデレン、パリ〜ルーベ、アムステルゴールドレースに出場する予定だ。

別府史之(トレック・セガフレード)は23分51秒遅れでフィニッシュ地点に到達したが、タイムオーバーで完走扱いにはならず。トレック・セガフレードはトムス・スクインシュ(ラトビア)を9位に送り込んでいる。2年連続出場の初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ)は途中リタイア。終盤に単独追走を試みていたNIPPOヴィーニファンティーニのカノラは16位だった。

表彰台 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が初出場で初勝利表彰台 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が初出場で初勝利 photo:RCS Sport
ストラーデビアンケ2019結果
1位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)4:47:14
2位ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)0:00:02
3位ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)0:00:27
4位ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)0:01:00
5位ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル)
6位グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム)0:01:01
7位アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)0:01:04
8位サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト)0:01:08
9位トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)0:01:12
10位ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)0:01:21
OTL別府史之(日本、トレック・セガフレード)0:23:51
DNS初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
text:Kei Tsuji
photo:CorVos, RCS Sport
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