マヨルカ島北部の山岳地帯を走るチャレンジマヨルカ2日目のトロフェオ・アンドラッチ〜リュセタでエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が独走勝利。ドイツ生まれのオールラウンダーが4年ぶりとなる勝利をつかんだ。


追走するティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)ら追走するティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)ら photo:CorVos
トロフェオ・アンドラッチ〜リュセタ(コース変更前)トロフェオ・アンドラッチ〜リュセタ(コース変更前) photo:Challenge Mallorcaチャレンジマヨルカ2日目のトロフェオ・アンドラッチ〜リュセタは、その名の通りマヨルカ島北部のアンドラッチからリュセタまで駆け抜ける172.4km。道路陥没の影響でコースの一部が変更されたが、同島北部の山岳地帯を走るコースの獲得標高差は3,400mに達する。中盤には1級山岳プイグマヨール(全長14.4km/平均勾配6.0%)も登場するため、この日もスプリンターに出番は回ってこない。

集団が割れるほどのハイスピードな幕開けとなった山岳レースは、やがてトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)やニコラ・エデ(フランス、コフィディス)ら4名が逃げグループを形成し、モビスターが追走する展開に。タイム差は大きな広がりを見せず、1分台で差し掛かった中盤の1級山岳プイグマヨールでメイン集団からカウンターアタックがかかった。

コース変更について協議するコミッセールやチーム監督コース変更について協議するコミッセールやチーム監督 photo:CorVos
追走グループ内で走るバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)追走グループ内で走るバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) photo:CorVos
メイン集団から新たに飛び出したシモーネ・ペティッリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)らはすぐさま先頭グループに合流。人数を絞り込みながらペティッリやスクインシュが山岳コースを逃げ続けたものの、フィニッシュまで24kmを残してメイン集団に吸収されてしまう。小集団によるスプリント勝負に持ち込まれると思われたが、フィニッシュまで20km以上を残して、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が単独アタックを敢行した。

前日の優勝者ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)やダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)らが追走グループを形成したものの、淡々と逃げるブッフマンとの距離が縮まらない。

独走開始後の30分間を平均341Wで踏み続け、平均スピード38km/hで駆け抜けたブッフマンがフィニッシュ手前の登坂もこなし、追いすがる2番手ウェレンスに16秒差をつけて逃げ切った。

フィニッシュに向かって独走するエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)フィニッシュに向かって独走するエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
2015年からから一貫してボーラに所属し、2021年まで契約を延長している26歳のジャーマンオールラウンダーが今シーズン初戦で初勝利(前日のトロフェオ・セスサリネス〜ファラニチュは欠場)。2018年クリテリウム・デュ・ドーフィネ総合6位、イツリア・バスクカントリー総合4位、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合12位という成績を残しているブッフマンだが、自身の勝利は2015年のドイツ選手権以来4年ぶりとなる。

「2019年はとにかく勝つことに専念しようと思っていたので、最高のシーズンスタートになった。シーズン序盤は強度の高いトレーニングとしてレースをこなす予定だったので深く追い込むためにアタック。その結果チャンスが巡ってきたんだ。こんなに早く勝利がやってくるとは。まだ時期尚早だけどオフシーズンのトレーニングでレベルアップしたように感じる」。ブッフマンは2017年にヤングライダー賞3位に入ったツール・ド・フランスに再び挑戦する予定だ。

翌日のトロフェオ・セッラデトラムンタナもプイグマヨールを含む6つのカテゴリー山岳が設定された厳しいコースレイアウト。最終日のトロフェオ・プラヤデパルマ〜パルマはスプリンター向きの平坦コースが設定されている。

ウェレンスやモレマを振り切ったエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)ウェレンスやモレマを振り切ったエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
チャレンジマヨルカ2019 トロフェオ・アンドラッチ〜リュセタ結果
1位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 4:39:03
2位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) 0:00:16
3位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 0:00:19
4位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・シャルル) 0:00:21
5位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) 0:00:35
6位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)
7位 ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) 0:00:37
8位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、モビスター) 0:00:41
9位 ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) 0:00:45
10位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 0:00:51
text:Kei Tsuji
photo:CorVos