向かうところ敵なしのミッチェルトン・スコットがステージ2連勝をマーク。サントス・ウィメンズ・ツアー・ダウンアンダー第3ステージでグレイシー・ブラウンがロングスプリントを成功させ、アマンダ・スプラットが大会3連覇に王手をかけた。與那嶺恵理はチームメイトの山岳賞ジャージ保持に力を尽くしてフィニッシュしている。


集団がひとかたまりとなってアップダウンを進む集団がひとかたまりとなってアップダウンを進む photo:Kei Tsuji
チームメイトにコースを説明する與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)チームメイトにコースを説明する與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ) photo:Kei Tsujiリーダージャージを着るアマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)リーダージャージを着るアマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji

サントス・ウィメンズ・ツアー・ダウンアンダー第3ステージを締めくくるのは、長年ダウンアンダーの定番となっているスターリング周回コース。目立った大きな登りはないものの、常にアップダウンを繰り返すコース(獲得標高差1,300m)が選手たちの脚を削る。風はこの日も吹き続けたが、最高気温が29度までしか上がらない快適な(影に入ると涼しい)コンディションの中でスタートが切られた。

全日本チャンピオン與那嶺恵理が所属するアレ・チポッリーニの第一目標は、ナディア・クアリオット(イタリア、アレ・チポッリーニ)の山岳賞ジャージを守ること。山岳賞2位につける総合リーダーのアマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)がQOMで山岳ポイントを獲得しない限りクアリオットのジャージが確定するとあって、與那嶺は危険な逃げに反応する役目を担った。さらに、ピュアスプリンターには厳しいレイアウトのため、エースのクロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ)が集団に残らない場合は終盤のアタックにも反応する作戦。

レース中盤に位置するこの日唯一&今大会最後のQOMでスプラットは動かず、先行したテティアナ・リアブチェンコ(ウクライナ、ドルチーニ・ファンエイクスポート)に続いてしっかり頂上を2番手通過したクアリオットが山岳賞ジャージを確定させる。ステージ後半に入るとこの日もミッチェルトン・スコットが主導権を握り、アップダウンコースで集団の人数を絞り込んでいった。

午前10時、ニュートラル走行がスタート午前10時、ニュートラル走行がスタート photo:Kei Tsuji
集団がひとかたまりとなってアップダウンを進む集団がひとかたまりとなってアップダウンを進む photo:Kei Tsujiスプリントポイントに向かう與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)スプリントポイントに向かう與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ) photo:Kei Tsuji
ミッチェルトン・スコットを先頭にスターリングの周回コースへミッチェルトン・スコットを先頭にスターリングの周回コースへ photo:Kei Tsuji
常に集団先頭に位置するアマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)常に集団先頭に位置するアマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
残り11kmを切ったところで先導ミスのためニュートラル措置として一旦レースがストップするトラブルが起こったものの、アタックはことごとく封じ込められ、勝負はスターリングの登りスプリントで決することに。

登りで形成された5〜6名の先頭グループから、ミッチェルトン・スコットのグレイシー・ブラウン(オーストラリア)がフィニッシュまで600mを残してロングスプリントを開始。1月8日のオーストラリア選手権タイムトライアルでナショナルチャンピオンに輝いた26歳がフィニッシュラインまで先行を続けた。

「これまでの2日間の疲労もあって、予想よりもずっと厳しい1日だった。ニュートラル措置で少しざわついたレースになったけど、フィニッシュに駆けつけてくれた家族や友人の前でどうしても勝ちたかった。元々は残り400mから加速するつもりだったけど、残り600mで踏むと後ろが少し離れたのでそのまま行った」と、所属1年目のチームにステージ優勝をもたらしたブラウンは語る。スプラットを安全にフィニッシュまでエスコートし、総合ワンツー体制を築いているミッチェルトン・スコットが今大会2勝目を飾った。

先頭で姿を現したグレイシー・ブラウン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)先頭で姿を現したグレイシー・ブラウン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
ステージ優勝を飾ったグレイシー・ブラウン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)ステージ優勝を飾ったグレイシー・ブラウン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
48秒遅れでフィニッシュした與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)48秒遅れでフィニッシュした與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ) photo:Kei Tsuji
48秒遅れのステージ36位でフィニッシュした與那嶺は「トレックを中心に激しくアタックがかかりましたが、チームメイトたちと交代で危険な動きをチェック。(QOMの)登りで仮に彼女(クアリオット)が反応できない場合は自分が行く予定でした。最後はメンバーの誰も力が残っていなかった」と語る。「去年よりは走れて、仕事ができているという印象です。チームの中で走れる選手であることを見せつけないといけないので、その意味では良い走りができている」と、ヨーロッパでの本格シーズンに向けて手応えを得ている様子だ。

ステージ優勝争いに絡めず肩を落とすクアリオットを励ます與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)ステージ優勝争いに絡めず肩を落とすクアリオットを励ます與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ) photo:Kei Tsuji
グレイシー・ブラウン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)を中心にステージ上位3名が表彰台に上がるグレイシー・ブラウン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)を中心にステージ上位3名が表彰台に上がる photo:Kei Tsuji
サントス・ウィメンズ・ツアー・ダウンアンダー2019第3ステージ結果
1位 グレイシー・ブラウン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 3:01:07
2位 ルース・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード) 0:00:02
3位 レイチェル・ネイラン(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
4位 グレイシー・エルヴィン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 0:00:04
5位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
6位 レティツィア・パテルノステル(イタリア、トレック・セガフレード)
7位 クリスタ・ドーベルヒコック(アメリカ、ラリーUHC) 0:00:07
8位 ルーシー・ケネディ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 0:00:09
9位 エミリー・ローパー(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
10位 アリソン・ジャクソン(カナダ、ティブコ・シリコンバレーバンク)
36位 與那嶺恵理(日本、アレ・チポッリーニ) 0:00:48
個人総合成績
1位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 9:24:48
2位 ルーシー・ケネディ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 0:00:49
3位 クリスタ・ドーベルヒコック(アメリカ、ラリーUHC) 0:00:55
4位 レイチェル・ネイラン(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
5位 ジェイミー・ガニング(オーストラリア、スペシャライズドウィメンズ) 0:01:09
6位 アリソン・ジャクソン(カナダ、ティブコ・シリコンバレーバンク) 0:01:12
7位 ローレン・スティーブンス(アメリカ、ティブコ・シリコンバレーバンク) 0:01:34
8位 タリン・ヘザー(オーストラリア、スペシャライズドウィメンズ) 0:01:37
9位 エミリー・ローパー(オーストラリア、UniSAオーストラリア) 0:01:52
10位 ルース・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード) 0:01:54
スプリント賞
1位 サラ・ロイ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 125pts
2位 アリソン・ジャクソン(カナダ、ティブコ・シリコンバレーバンク) 123pts
3位 クロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ) 79pts
山岳賞
1位 ナディア・クアリオット(イタリア、アレ・チポッリーニ) 26pts
2位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 18pts
3位 ルーシー・ケネディ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 12pts
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia