210kmに次ぐ難関クラス、ツール・ド・おきなわ市民140kmに優勝した岩切弘輝(津末レーシング)のレポートをお届け。フィニッシュまで残り30kmで勇気を持って2人で逃げを敢行。逃げ切って掴んだ勝利だ。前日にはメカトラブルで試走ができないという事態にも対処する必要があったという。

岩切弘輝(津末レーシング)岩切弘輝(津末レーシング) photo:Makoto.AYANOおきなわへの準備は、JBCF椿ヶ花ヒルクライムが終わってから、ロング耐性を付けるべく、食事制限を緩めて土日のロングトレを本格行い出す。合わせて、JBCF大分ロードに向けて朝トレでは30+90や5分走などのメニューをいれた。

3週間前、ベクトルが仕事に向いて、1週間ほぼ乗らず(通勤と軽くローラー位)、その後久々に追い込んだら風邪を引いた。熱はないけど痰が絡んで追い込めず。そんな感じで、不安を覚えながら沖縄入りした。

土曜日の午前中に那覇空港に到着して、レンタカーで名護へ。インターを降りて、道の駅横の定食屋でランチ。沖縄らしい物で油ものは控えたかったからゴーヤーチャンプルー定食を選ぶ。嫁さんと娘の残したご飯も食べて、カロリー稼ぎ。

家族の残したゴーヤーチャンプルーまで食べてカロリー補充!家族の残したゴーヤーチャンプルーまで食べてカロリー補充! バナナ。よく見るとDoleのフィリピン産だったバナナ。よく見るとDoleのフィリピン産だった


定食屋のレジ横に置いてあった1本40円のバナナを3本買って、移動中に1本食べる(残り2本は後述のバナナ)。「やっぱり、南の島で食べるバナナは美味いなぁ」とか思っていたら、Doleのバナナだった。完全にプラシーボ効果だった。

名護漁港に車を停めて、受付行こうと自転車組んだらDi2が動作しない。とりあえず、ギア固定で受付へ。また(いつもの)バッテリー切れかと思って、冷静にモバイル充電器で充電するも、反応ナシ。原因を探っていると、内蔵バッテリーからの配線が断線してた。ココまで来てDNSとか本当に笑えないから、手持ちの“何か”で対応する。

Di2バッテリーの電源ケーブル断線をなんとか修復して前日は終わったDi2バッテリーの電源ケーブル断線をなんとか修復して前日は終わった
ナポリタンに白ご飯でカーボローディングナポリタンに白ご飯でカーボローディング かなり焦っていて、落ち着けと言い聞かせながら、手は震えていた。ニッパーで被覆を剥がして、ケーブルを剥く。とりあえず赤黒配線2本だけの単純な構造だったから良かった。断線したケーブルを繋いで、ビニールテープで絶縁し何とかで復旧した。

勝負所を試走するつもりだったけど、時間が無くなって、結局、車でコースを下見した。

宿について、明日の準備(ゼッケン貼り付け)。風呂に浸かって、血の巡りをよくしておく。夜はコンビニで大盛りナポリタン買って、水に溶かしたピンクイオンをのみながら、持ち込んだパックご飯×2と一緒にカーボロード。22:00頃に就寝。

レース当日

炭水化物をかき込む朝食。早朝にもかかわらずホテルの対応が嬉しい炭水化物をかき込む朝食。早朝にもかかわらずホテルの対応が嬉しい 3:30に起きて、ピンクイオンで水分補給。ホテルの朝食前に味噌汁とパックご飯×1で軽くカーボロード。風呂は入って、イナーメのピンクオイルでマッサージして血流を上げておく。5:00から朝食。ホテルの対応に感謝。ご飯と味噌汁で軽く済ませる。朝食後はそのまま車に乗って、交通規制前に国頭の道の駅まで移動。

まだ薄暗い中、6:00頃に着いて、先ずは場所取りする。この時間で前30人くらいだったか。後はカステラ、オレンジジュース、バナナ×2を少しずつ食べながら待つ。スタート1時間くらい前に、イナーメのサマーオイルでマッサージした。

機材:メリダ リアクト、ガンウェル50mm(ナカガワワッシャー付き)、ギア比:52/36-11/30T
補給食:ボトル:CCD+ピンクイオン(2本) ポケット:粉飴ジェル8本(フラスコ2本に分ける)、2-ラン、ピンクイオン×2 (粉飴ジェル約3本残し、ピンクイオン1本残し)

チャンピオンクラス、市民210を見送って、前方1/4位の位置に並ぶ。予定より5分早まって、スタート。普久川ダムの登りが始まるまでは、落車に注意しながら、様子をみて、前方に上がる。

登りに入って緩斜面で、前20名位の位置に付けて、ペースで登る。前方はRoppongiExpressの方々とチャリダー男子部の方々でコントロールされてる感じ。特に展開もなく登り切って20番手位で下り始めるが、中切れが多くて、詰めるのに脚使った。ただ、(今年は?)足使って追いつく必要はなかった。登り返しで後ろの状態を見たらよろけてしまい、筧五郎さんに怒られる。

市民140kmの先頭集団 井上和郎(バルバ)や筧五郎(チャリダー男子部)の姿も市民140kmの先頭集団 井上和郎(バルバ)や筧五郎(チャリダー男子部)の姿も photo:Makoto.AYANO
普久川→奥と過ぎてVCの方が抜け出す。集団は容認で、2分差まで広がって、RoppongiExpressの福田さんが積極的に声をかけて追いだす。ここは協調したが、中々上手く回らず。結局2回目の普久川→学校坂過ぎて、残り50km位の位置で捕まえた。

普久川ダムを越える市民140kmの集団普久川ダムを越える市民140kmの集団 photo:Makoto.AYANO


集団は、誰か(RoppongiExpress、チャリダー男子部)の仕掛け待ちの雰囲気で、活性化せず。自分も、最後まで勝負に絡みたかったから序盤から積極的に仕掛けることはしなかった。

慶佐次の補給は、トラブル回避のためスルーして、前待ちした。集団は予想以上に大きくて40人くらいだったか。

残り30kmの坂前の平坦で、WAPPAの鈴木選手がスルリと抜け出す。私も勝負所と踏んでいたポイントだったから、覚悟を決めてアタック。集団容認で、5W/kg強でペースを刻む。

平坦区間手前で追いついて、声を掛け合いながら協調して逃げる。羽地前でモトからは「最大2分差」のコール。これは勝機が有ると踏み直すも、焦らずペースを刻む。

羽地ダム登りの急勾配スポット。チャリダー男子部の選手の姿も羽地ダム登りの急勾配スポット。チャリダー男子部の選手の姿も photo:Makoto.AYANO
羽地ダム登りの急勾配スポットで苦しむ選手たち羽地ダム登りの急勾配スポットで苦しむ選手たち photo:Makoto.AYANO市民140kmの集団市民140kmの集団 photo:Makoto.AYANO


下りと平坦も意識して回して羽地下りきったら、“後方と1分10秒”のコール。

RoppongiExpress&チャリダー男子部連合に集団をコントロールされてる可能性も考えると、残り10km弱で1分のタイム差はギリギリだと思った。足もつり始めるなかイオン坂を越えて、協調しながら無我夢中で脚を回す。

ラスト5km、3km、2km、1km 本当に長く感じた。

ラスト300mで鈴木選手のアタックに対応して、200mで番手に付けて、スプリントに備える。残り100m位でスプリントを開始して、捲って優勝!!

市民140km 優勝した岩切弘輝(津末レーシング)市民140km 優勝した岩切弘輝(津末レーシング) photo:Satoru Kato
市民140km 3位争いは集団のスプリント勝負市民140km 3位争いは集団のスプリント勝負 photo:Satoru Kato
市民140km 3位 佐藤文彦(ロードレース男子部)市民140km 3位 佐藤文彦(ロードレース男子部) photo:Satoru Kato後方集団はクラス入り乱れてのフィニッシュ後方集団はクラス入り乱れてのフィニッシュ photo:Satoru Kato


いつもはJBCFの50km程度のレースが中心で、トレーニングも短距離・高負荷に振っている。長距離レースのトレーニングは付け焼き刃だったけど、最高の結果が出せて良かった。自分の体に合ったバイクとペダリングの重要性を再認識したレースにもなった。

210kmは別次元だろうから、それなりの準備できれば、チャレンジしたいと思う。来季に向けたモチベーションは保っているし、冬も乗り込んで備えてみよう。

翌日、翌々日も休暇を頂いて、家族と沖縄旅行。飛行機やらジンベイザメやら砂浜でのキレイな貝殻拾いやら、初めての事ばかりで子供たちも喜んでくれたかな?機会があればまた連れてきてあげたい。

優勝した岩切弘輝(津末レーシング)優勝した岩切弘輝(津末レーシング) photo:Makoto.AYANO

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