ジロ・デ・イタリアのコースプレゼンテーションに出席したフルームは「TTと山岳がバランス良く組み合わされたコースであり、完成された選手だけが勝つことができる」とコメント。ヴィヴィアーニやミッチェルトン・スコット、サンウェブの監督のコメントを紹介します。


クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)

経験したことがない象徴的な方法で勝ち取った今年のジロのタイトルは一生自分の心の中で生き続ける。イタリアのあちこちでティフォージ(ファン)の熱烈な愛を感じたよ。

2019年のジロのコースを気に入っている。タイムトライアルと山岳がバランス良く組み合わされたコースであり、完成された選手だけが勝つことができる。そして組織的なチームも欠かせない。特にガヴィアとモルティローロのステージは猛烈な厳しさ。休息日明けなので、本当のチャンピオンがそこで存在感を示すと思う。

今でもダブルツールは不可能ではないと思っている。今年挑戦したけど難しかった。特に今年は単にジロとツールを走っただけじゃなくて、去年のツールとブエルタの続きでもあったから、4連続グランツール出場だった。その長い挑戦の疲れがツールの後半に出てしまった。今年は失敗したけど、ツールとブエルタの連続総合優勝に成功した経験から、ジロとツールの連続総合優勝も可能だと思う。

トロフェオセンツァフィーネを見つめるクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)トロフェオセンツァフィーネを見つめるクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:RCS Sport

エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)

このジロについて良い印象を持っている。イタリアチャンピオンとして挑むジロで終着地はヴェローナ。まるで夢のようなジロだ。集団スプリントに持ち込まれると思われるのは合計6ステージ。これからコースを詳しく見て試走するけど、6ステージ程度はチャンスがあるはず。今年はステージ4勝して、ステージ2位が2回だった。

最終週はスプリンターにとって本当にタフなものになるけど、地元であるヴェローナにたどり着きたいという思いが強い。来シーズンの目標をマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)にするかどうかはこれからチームと相談して決める。今年のステージ4勝を上回る数字を残すのは難しいかもしれないけど、全力を尽くすのみだ。

プレゼンに出席したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズプレゼンに出席したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ photo:RCS Sport

ミッチェルトン・スコットのマシュー・ホワイト監督

前半の10日間はソフトな(優しい)設定。本格的な登りが登場するのは後半に入ってから。いつもなら第2ステージか第3ステージに刺激的な登りを組み込むのに、これはジロにしては珍しい設定だ。タイムトライアルは今年よりも長くて合計60km近くあるけど、どれも登りを含むのでバランスは取れている。初日の山岳タイムトライアルでは大きなタイム差がつかないはず。第9ステージのタイムトライアルは、前半の平坦区間をTTバイクで走って、後半12〜14kmの登坂区間をノーマルバイクで走る可能性もある。

ジロは北イタリアで後半戦を迎えるパターンが多いので、どうしても後半にかけて難易度の高いステージが集中しがち。獲得標高差が4,000mや5,000mを超える過酷なステージもある。(ガヴィアやモルティローロといった)伝統的な登りが組み込まれたことは歓迎しているけど、未知の登りもいくつかある。ツールよりも登りのボリュームが大きなステージが組み込まれているのがジロの特徴だ。

全体的に見てジロらしいコース設定。あとジロは予測不能な天気にも気をつけないといけない。30度を超える日の翌日に雪が降ったりする。かと思えば過去2年間は3週間まったく雨が降らなかった。神様が天候を左右する地域と時期だから仕方ない。

サンウェブのルーク・ロバーツ監督

ジロとツールのコースが出揃った今、これから細かく分析して目標とするレースを決めていく。個人タイムトライアルの距離が長いジロはトム・デュムランにとって魅力的なレースだと感じている。トムのタイムトライアル能力の高さは実証済みで、近年は登りもしっかりこなせることを見せつけている。だから例えタイムトライアルが短くてもグランツールで総合優勝する能力がトムにはあるんだ。グランツール制覇の鍵は3週間を通して安定した力を出すこと。トムの強みは安定感だ。

大会ディレクター マウロ・ヴェーニ氏

獲得標高差は46,500mを超え、3つの個人タイムトライアルを含むジロは近年稀に見る厳しさ。技術的に難易度の高いコースレイアウトであり、序盤から落とし穴があちこちに空いている。サンルーカを登る初日と、サンマリノに至る長めの個人タイムトライアルが大きなタイム差を生むだろう。ロードレースそのものの歴史でもあるアルプスとドロミテの山岳が後半にかけて登場する。

様々な戦略が通用し、様々な脚質の選手にチャンスがあるコースレイアウトだ。ヴェローナでの最終個人タイムトライアルで総合成績が変動することも考えられる。

イスラエルで開幕した歴史的な2018年を終えて、2019年は『オール・イタリアン』なレイアウト。サンマリノ共和国に入国するステージを除いて100%イタリア国内を走る。私たちが誇る美しい国をめぐる旅であり、文化や観光など、スポーツ以外の点を対外的にアピールしたい。例えばレオナルド・ダヴィンチやジョアッキーノ・ロッシーニ、アレーナ・ディ・ヴェローナ、アルプスとドロミテの美しい峠道、震災から10年目を迎えるラクイラの街。それらすべてがジロを構成している。

ヴィヴィアーニやフルームと並ぶマウロ・ヴェーニ氏(右)ヴィヴィアーニやフルームと並ぶマウロ・ヴェーニ氏(右) photo:RCS Sport

text:Kei Tsuji
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