MTB世界選手権のクロスカントリー男女エリートレースが行われ、ニノ・シューター(スイス)が7度目、エリート昇格初年度のケイト・コートニー(アメリカ)が初のアルカンシエルを獲得した。



XCO女子エリート:22歳のコートニーが初のアルカンシエルを獲得

2万人ものファンが詰め掛けたレンツァーハイデのコース2万人ものファンが詰め掛けたレンツァーハイデのコース photo:UCI
スイス、レンツァーハイデで開催中のMTB世界選手権は大会4日目。クロスカントリーの男女エリートレースが開催され、世界最速の称号の行方を見届けるべく2万人もの観客が会場を埋め尽くした。

一足早く開催された女子レースは7周回29.4km。スタートダッシュは自国開催の威信を背負うヨランダ・ネフ(スイス)が奪ったが、直後に2016年世界王者のアニカ・ラングヴァド(デンマーク)がアタックを開始。すぐさまリードを重ね、2位グループを作るケイト・コートニー(アメリカ)とエミリー・バティ(カナダ)を30秒以上引き離すことに成功した。

女子レースがスタート。ヨランダ・ネフ(スイス)がホールショットを決める女子レースがスタート。ヨランダ・ネフ(スイス)がホールショットを決める photo:UCI
安全なBラインを使うアニカ・ラングヴァド(デンマーク)安全なBラインを使うアニカ・ラングヴァド(デンマーク) photo:UCI逃げるアニカ・ラングヴァド(デンマーク)を追走するケイト・コートニー(アメリカ)逃げるアニカ・ラングヴァド(デンマーク)を追走するケイト・コートニー(アメリカ) photo:UCI


圧倒的なパワーで急勾配をこなし、テクニカルパートを安全なBラインで走るラングヴァド。ベテランらしい強かな走りでレースを掌握するかと思われたが、4周目に状況が変わった。登りでバティを引き離したコートニーが先頭との差を詰め、次なる周回で肉薄。テクニックで勝るコートニーとパワーで勝るラングヴァドが暫く追走劇を繰り広げ、6周目後半で遂に合流。普段はスペシャライズドレーシングのチームメイトとして走る2人が、3位バティ、4位ネフとの差を大きく広げ最終周回に突入していく。

すると長く険しい直登区間でラングヴァドが強烈なアタックに打って出た。苦しい表情のコートニーは追従できず、10秒以上のリードを得たベテランに勝負が傾いたかと思われたが、ラングヴァドは中盤の木の根と岩が張り出したキャンバー区間でミスを出しストップ。再乗車と加速に手間取る間にコートニーが一気に首位を奪い、3秒差で終盤のテクニカルセクションに入っていった。

アニカ・ラングヴァド(デンマーク)を大きく引き離してフィニッシュするケイト・コートニー(アメリカ)アニカ・ラングヴァド(デンマーク)を大きく引き離してフィニッシュするケイト・コートニー(アメリカ) photo:UCI
普段チームメイトとして走るケイト・コートニー(アメリカ)とアニカ・ラングヴァド(デンマーク)が互いを讃える普段チームメイトとして走るケイト・コートニー(アメリカ)とアニカ・ラングヴァド(デンマーク)が互いを讃える photo:UCI大声援に後押しされたヨランダ・ネフ(スイス)だったが登りで失速大声援に後押しされたヨランダ・ネフ(スイス)だったが登りで失速 photo:UCI

初のアルカンシエルを獲得したケイト・コートニー(アメリカ)初のアルカンシエルを獲得したケイト・コートニー(アメリカ) photo:UCI
テクニカルな下り区間でもタフなAラインを選択するコートニーの走りは冴え渡り、猛プッシュでラングヴァドを引き離すことに成功してフィニッシュへ。22歳の新星がU23カテゴリーから昇格後初の世界選手権エリートカテゴリーで勝利。アメリカ女子選手がエリートカテゴリーで勝利したのは2001年のアリソン・ダンラップ以来17年ぶりの快挙だ。

「最速ラインを見ることだけに集中していたので彼女(ラングヴァド)のミスは見ていなかった。必死に自分の走りに努めて、最後に勝ったと感じたときは信じられない気持ちだった」と語るコートニー。最終的にラングヴァドは47秒差、バティは2分差、スイスの期待を背負ったネフは2分13秒差の4位に終わった。



XCO男子エリート:ケルシュバウマーとの一騎打ちを制したシューターが7度目の世界タイトル

クロスカントリー競技のトリを飾る男子エリートレースがスタートクロスカントリー競技のトリを飾る男子エリートレースがスタート photo:UCI
日本から山本幸平(ドリームシーカー)と平野星矢(チームブリヂストンサイクリング)が参戦した男子エリートは8周回29.4km。序盤からディフェンディングチャンピオンのニノ・シューター(スイス)が猛烈にプッシュし、ここ合流できたのは今季W杯で1勝しているゲルハルド・ケルシュバウマー(イタリア)だけだった。スタートに失敗したオランダ王者のマチュー・ファンデルポール(オランダ)は20番手から追い上げる走りを強いられる。

ケルシュバウマーとシューターは互いに先頭に立ちつつ、超ハイペースでヘンリケ・アヴァンチーニ(ブラジル)など3位グループを徐々に引き離していく。

ゲルハルド・ケルシュバウマー(イタリア)と先頭グループを組むニノ・シューター(スイス)ゲルハルド・ケルシュバウマー(イタリア)と先頭グループを組むニノ・シューター(スイス) photo:UCI20番手から追い上げて3位に入ったマチュー・ファンデルポール(オランダ)20番手から追い上げて3位に入ったマチュー・ファンデルポール(オランダ) photo:UCI

大きなウィップで魅せるニノ・シューター(スイス)大きなウィップで魅せるニノ・シューター(スイス) photo:UCI
先頭グループの均衡が崩れたのはフィニッシュまで1.5周を残した地点。「最終周回にアタックするつもりだったけど、テクニカルセクションでケルシュバウマーが苦しんでいるのを見て全力プッシュした」というシューターはジワジワと差を広げ、2万人の声援に後押しされながら最終周回をこなしてフィニッシュへ。飛ぶように走るシューターの前に、27歳のイタリア王者は為す術がなかった。

シューターはフィニッシュ前のフライオーバーでガッツポーズを見せ、ファンの歓声に応えながらフィニッシュへ。スイスの絶対的エースが2009年、2012年、2013年、2015〜2017年に続く7度目の世界タイトルを獲得してみせた。

バイクを掲げてファンの声援に応えるニノ・シューター(スイス)バイクを掲げてファンの声援に応えるニノ・シューター(スイス) photo:UCI
7度目のアルカンシエルを射止めたニノ・シューター(スイス)7度目のアルカンシエルを射止めたニノ・シューター(スイス) photo:UCI
「特別な勝利だ。今までの世界選手権でベストだったと言えるよ。たくさんのファンに応援されながら走るレンツァーハイデのレースはインクレディブルだった。チームリレーの後だったから正直脚はフレッシュではなかったけれど、声援が僕をフィニッシュラインまで届けてくれた」とファンに感謝するシューター。3位には追い上げる走りを続けたファンデルポールが入った。

また、山本幸平は7分57秒遅れの50位で完走し、平野星矢はマイナス4ラップの79位。ビデオメッセージの中で山本は「スタートから自分の走りを続けましたが、やっぱり甘くはありません。周りのペースも速く集団を逃したりして、40番手の集団も見えていたのですがまだまだインターバル練習が足りない。今季大切なレースは終わったので、来季に向け肩の力を抜いて取り組んでいきたいと思います」。とコメントしている。
XCO 男子エリート結果(33.6km)
XCO 女子エリート結果(29.4km)
1位 ケイト・コートニー(アメリカ) 1h34'55"
2位 アニカ・ラングヴァド(デンマーク) +47"
3位 エミリー・バティ(カナダ) +1'58"
4位 ヨランダ・ネフ(スイス) +2'13"
5位 マーヤ・ブロジェゾフスカ(ポーランド) +3'15"
6位 ハーレイ・スミス(カナダ) +3'39"
7位 アン・タウバー(オランダ) +4'08"
8位 エリザベス・ブランダウ(ドイツ) +4'20"
9位 ガンリタ・ダール(ノルウェー) +4'29"
10位 イリーナ・カレンティエヴァ(ロシア) +4'47"
text:So.Isobe
photo:UCI

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