総合成績に変動をもたらす大逃げが決まったブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージ。アレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール)がステージ通算3勝目を飾り、ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)が3分以上のタイム差をつけてマイヨロホを獲得した。


前半は大西洋に面した海岸路を走る前半は大西洋に面した海岸路を走る photo:Unipublic
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第12ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第12ステージ photo:Unipublicブエルタ・ア・エスパーニャ2018第12ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第12ステージ photo:Unipublic

アンダルシア州を発ち、大西洋まで北上を完了したブエルタ・ア・エスパーニャ。ぐずついた天候のガリシア州の海岸線を走る第12ステージには3級山岳が2つ設定されている。最も高いところでも標高435mしかないが、181.1kmコースの獲得標高差は3,100m。最後は大西洋に突き出たエスカタ・デ・バレス半島の先端に向かって突き進み、管理道路のような細い道を走ってファロ・デ・バレス灯台前にフィニッシュする。コースプロフィールからは分からない細かいアップダウンが連続するステージであり、スプリンターに出番は回ってこなかった。

この日最初の3級山岳カデイラ峠が発射台となり、合計18名の大きな逃げグループがメイン集団から抜け出すことに成功する。ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)、ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)が揃う豪華な逃げグループが、ミッチェルトン・スコット率いるメイン集団をじわりじわりと引き離し始めた。

46km地点で早くもタイム差が6分を超えたため、逃げグループに入った総合22位/5分45秒遅れのヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)が暫定総合リーダーに。ヨーロッパチャンピオンのマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)らの集団牽引によってタイム差の拡大は11分で止まったが、ガリシア州らしい曲がりくねった海岸線は逃げグループに味方した。レース中盤からモビスターが集団牽引に手を差し伸べたものの、タイム差は縮まることなく11分前後のまま。先頭18名の逃げ切りは誰の目にも明らかだった。

ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)を含む18名の逃げグループヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)を含む18名の逃げグループ photo:CorVos
ミッチェルトン・スコットがメイン集団をコントロールミッチェルトン・スコットがメイン集団をコントロール photo:Unipublic
逃げグループの中からアタックするヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)逃げグループの中からアタックするヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:Unipublic
実質的に逃げ切りを決めた先頭グループの中では、残り35kmを切ってからステージ優勝に向けたアタック合戦が始まる。3週間後のロード世界選手権でイタリアチームのエースを担う予定のニバリらがアタック。バラけてはくっついてを繰り返しながら、徐々に8名の先行が始まる。出遅れたエラダやニバリ、デヘントは第2グループを形成して追走を続けることに。

8名の先頭グループは、追走グループに2分差、メイン集団に11分30秒差をつけた状態で残り5kmを駆け抜けていく。登りを利用したアタックによってジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)とドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)はステージ優勝争いから脱落。6名に絞られた逃げグループが残り1.5km地点から始まる狭小路に入った。

最終的にステージ優勝争いに残ったのはフォルモロ、トゥーンス、ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)、アレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール)、ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ)、マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・メリダ)の6名。テクニカルなコーナーと登りを利用してカンペナールツらが仕掛けたが決まらず、勝負はスプリントに持ち込まれる。

残り300mでジェニエスが仕掛けるとここにファンバーレが反応。両者横並びでスプリント一騎打ちを繰り広げ、道の細さから前に出ることができないファンバーレを抑えてジェニエスが先着した。

ジェニエスから遅れること2分32秒でエラダがステージ16位フィニッシュ。総合上位陣を含むメイン集団が11分39秒遅れでフィニッシュしたため、マイヨロホはエラダの手に渡っている。なお、フィニッシュ後すぐ、周りを確認せず歩いていた大会関係者にジェニエスとファンバーレが衝突して落車するというトラブルが発生している。

ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ)とのスプリントで勝利したアレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール)ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ)とのスプリントで勝利したアレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール) photo:CorVos
ステージ16位でフィニッシュするヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)ステージ16位でフィニッシュするヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) photo:Unipublic
フィニッシュ後にスタッフと衝突して落車したディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ)らフィニッシュ後にスタッフと衝突して落車したディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ)ら photo:CorVos
11分39秒遅れでフィニッシュするメイン集団11分39秒遅れでフィニッシュするメイン集団 photo:CorVos
「たった2回しか逃げ切りが決まらなかったジロと比べて、シーズン終盤のブエルタでは沢山の逃げ切りが決まる。今日はボーラ・ハンスグローエがサガンのためにメイン集団をコントロールすると思ったから、最初から逃げを狙う予定ではなかった。でもフォルモロがアタックして強力なグループが形成されつつあったので、これは反応しないといけないと判断した。最後はアタックすることなくスプリントに備えたよ」とジェニエスは語る。

ジェニエスは2013年と2016年に続くステージ通算3勝目。前回勝利した2016年大会第3ステージもこの日と同じガリシア州だった。「ガロパンが総合で良いポジション(総合6位)につけているので、チームとしてマドリードまで闘い続けたい」とジェニエス。

マイヨロホに袖を通したエラダは、2011年から7年から所属したモビスターを離れてコフィディスに衣替えした28歳。2013年と2017年にスペインチャンピオンに輝いている。ステージレースの成績を見ると2014年と2017年のツール・ド・ロマンディで総合9位。グランツール出場はこれが6回目で、今年のツール・ド・フランスを総合47位で終えている。

「今日は逃げ切ってタイムを奪う作戦だった。もちろんステージ優勝も狙っていたけど、強力なメンバーが揃っていたので勝負に絡めず。でも結果的にマイヨロホに手が届いたので満足だ。このマイヨロホをできるだけ長く着用したい。最終週はとても厳しいし、マドリードはまだ遠い」とエラダはコメント。第12ステージを終えてエラダはサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)から3分22秒、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)から3分23秒のリード。タイムトライアルも得意とすることから、翌日から始まるアストゥリアス山岳3連戦を乗り越えることができれば、最終的なマイヨロホ争いにも絡んでくると予想される。

ファロ・デ・バレス灯台前にフィニッシュファロ・デ・バレス灯台前にフィニッシュ photo:CorVos
ステージ通算3勝目を飾ったアレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール)ステージ通算3勝目を飾ったアレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Unipublicマイヨロホを獲得したヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)マイヨロホを獲得したヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) photo:CorVos

ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第12ステージ結果
1位 アレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール) 4:22:59
2位 ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ)
3位 マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・メリダ)
4位 ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)
5位 ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル) 0:00:02
6位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) 0:00:05
7位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) 0:00:24
8位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 0:00:48
9位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 0:02:27
10位 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 0:02:29
16位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) 0:02:32
22位 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 0:11:39
敢闘賞 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)
個人総合成績
1位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) 50:28:56
2位 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 0:03:22
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 0:03:23
4位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 0:03:36
5位 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) 0:03:39
6位 トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) 0:03:46
7位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
8位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) 0:03:49
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) 0:03:54
10位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) 0:04:05
ポイント賞
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 85pts
2位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 83pts
3位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 66pts
山岳賞
1位 ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) 60pts
2位 ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) 33pts
3位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 30pts
複合賞
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 11pts
2位 ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) 26pts
3位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) 37pts
チーム総合成績
1位 バーレーン・メリダ 151:23:41
2位 ロットNLユンボ 0:14:10
3位 モビスター 0:15:05
text:Kei Tsuji
photo:CorVos, Unipublic

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