序盤から逃げた2名が大逃げを決め、キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)がステージを取り、アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF)が総合首位浮上。2秒差まで追い詰めた追走に入ったワウト・プールスやプリモシュ・ログリッチェが総合順位を上げた。



クランブルックからスタートしていくクランブルックからスタートしていく photo:www.tourofbritain.co.uk
地元イギリス勢が積極的にアタック。シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)も逃げを試みた地元イギリス勢が積極的にアタック。シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)も逃げを試みた photo:www.tourofbritain.co.uk山岳ポイントに向けて独走するスコット・デーヴィス(イギリス、ディメンションデータ)と海パン集団山岳ポイントに向けて独走するスコット・デーヴィス(イギリス、ディメンションデータ)と海パン集団 photo:www.tourofbritain.co.uk


豪華メンバーが参戦中のツアー・オブ・ブリテン(UCI2.HC)の舞台は、前日のウェールズからイングランドへ。南部のクランブルックから北西に進路を取り、バーンスタプルを目指す174kmで争われた。スプリント勝負の可能性もあるが、コースは終始アップダウンが続き、後半153.5km地点には1級山岳チャラクームヒル(距離1.3km、平均勾配13%)というパンチ力ある登坂が控えている。

この日はスタート直後からトニ・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)らがアタックを続け、最終的にスコット・デーヴィス(イギリス、ディメンションデータ)とキャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF)、マシュー・テガード(アイルランド、チームウィギンズ)、そしてエリック・ローゼル(イギリス、マディソン・ジェネシス)といった5名が先行。チームスカイやロット・スーダルが牽引する集団に対して6分程度の差を保って逃げ続けた。

観覧席が用意されたサウスモルトン・マーケットの建物内観覧席が用意されたサウスモルトン・マーケットの建物内 photo:www.tourofbritain.co.uk
メイン集団を牽引するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)メイン集団を牽引するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:www.tourofbritain.co.ukメイン集団はチームスカイやロット・スーダルが牽引メイン集団はチームスカイやロット・スーダルが牽引 photo:www.tourofbritain.co.uk


残り86kmで観覧席が設置されたサウスモルトン・マーケットの建物内を通過し、中盤を過ぎて用意された2級山岳ブラットン・フレミング(距離6.8km、平均勾配3.4%)ではデーヴィスが先着。チームメイトのニコラス・ドラミニ(南アフリカ)から引き継ぐ形で翌日の山岳ジャージ着用を決めている。

最後の1級山岳チャラクームヒルでは再びデーヴィスが先頭通過し、およそ1分半後方の集団ではヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が動いた。前日も積極的に動いたジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が追撃に出る慌ただしい展開の中、リーダージャージのアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)は急勾配区間で遅れていく。

カーシーとアラフィリップが追走グループを作り、後方からチームスカイのエースを担うワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)やプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)、ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)を始め、クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ)、パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、BMCレーシング)、ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、モビスター)という超強力な6名が下りで合流。残り10kmで3名(デーヴィス、マイヤー、トネッリ)になった先頭グループを、8名の追走集団が1分差で追いかける展開となった。

僅かなタイム差を持って逃げ続けるキャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)ら僅かなタイム差を持って逃げ続けるキャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)ら photo:www.tourofbritain.co.uk
追走集団の前でステージ優勝を挙げたキャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)追走集団の前でステージ優勝を挙げたキャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:www.tourofbritain.co.uk
逃げ切りに可能性を灯す先頭グループも対応した。「残り10kmで1分リード、しかも強力なメンバーが追いかけてきていると聞いていたので全力でプッシュしたよ。このレースでは過去に2度終盤に捕まったことがあるから再現したくなかった」と語るのはマイヤー。終盤に入るとデーヴィスが千切れ、トネッリとマイヤーのリードは残り2kmで20秒、残り1kmで10秒。非常に際どいタイム差だったものの、コーナーのあるバーンスタプル市街地コースが味方した。

猛プッシュする追走グループの目前で、トネッリの番手から残り200mでマイヤーがスプリントを開始する。トネッリも食い下がったが、経験に勝るマイヤーのスプリント力が軽々と上回り大逃げ勝利を達成。2秒遅れで追走グループがフィニッシュし、総合リーダージャージはトネッリの手に渡った。

「ゴール勝負ではトラック競技の経験が活きたよ。残り500mでトネッリの番手に付けてスプリント。総合2位につけることもできたけれど、僕は有力勢ほど速く山を登れない。元々の目標がマスドレースで勝つことだったから満足しているよ」と語るマイヤー。4月のコモンウェルスゲームズ個人TTでは勝利しているものの、ロードレースでの優勝は2015年2月のヘラルドサンツアー以来3年半ぶりだ。

リーダージャージを着用したトネッリは「今日は逃げることが僕のミッションで、総合首位に立てたことはサプライズだよ。"逃げ切ればジャージを着れる!"と監督から知らされていたので猛プッシュした。ギリギリだったけど逃げきれて本当にほっとしたよ」と安堵を語っている。

この日は20名にまで減ったメイン集団が49秒遅れでフィニッシュしたため、追走に入ったメンバーが12秒遅れで総合4位〜9位に並ぶ結果に。プールスやログリッチェは2日目にして総合優勝に向けて駒を進める形となった。

ステージ結果
1位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 4h14'46"
2位 アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF) +01"
3位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、BMCレーシング) +02"
4位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)
5位 ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、モビスター)
6位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)
7位 ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)
8位 クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ)
9位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)
10位 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +09"
個人総合成績
1位 アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF) 8h15'30"
2位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
3位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、BMCレーシング) +08"
4位 ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) +12"
5位 ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、モビスター)
6位 クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ)
7位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)
8位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)
9位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)
10位 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +19"
ポイント賞
1位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 15pts
2位 アンドレ・グライペル(ベルギー、ロット・スーダル) 15pts
3位 ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) 15pts
山岳賞
1位 スコット・デーヴィス(イギリス、ディメンションデータ) 26pts
2位 アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF) 14pts
3位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 14pts
チーム総合成績
1位 クイックステップフロアーズ 24h47'43"
2位 ロットNLユンボ +37"
3位 モビスター
text:So.Isobe
photo:www.tourofbritain.co.uk