4日目を迎えたブールス・レディースツアーで、元世界王者のアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス)が集団スプリント2連勝。與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)は終盤のメカトラで遅れたものの、調子の良さを感じているようだ。



MCに紹介される與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)MCに紹介される與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) photo:Velofocus/Wiggle High5アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)と欧州王者マルタ・バスティアネッリ(イタリア、アレ・チポッリーニ)が話すアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)と欧州王者マルタ・バスティアネッリ(イタリア、アレ・チポッリーニ)が話す photo:CorVos


オランダ南部を転戦中のブールス・レディースツアー(UCIワールドツアー)は大会4日目。リンブルフ州の街ヴェールト周辺を走る124.3kmのフラットコースが用意され、この日もスプリンターチームがしのぎを削ることとなった。

この日はイスラエル人選手のオメール・シャピラ(サイランスプロサイクリング)が単独逃げに持ち込み、集団が淡々と泳がせる展開で進んだ。エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)とリサ・ブレナウアー(ドイツ)のアシストを務める與那嶺は「プロトンはのんびりサイクリングモードとなるわけもなく。道が狭くてコーナーも多く、とにかく前にいないと、と注意しながら。今日も楽しく集団をコントロールしました」とこの時の様子を振り返っている。

単独逃げに持ち込んだオメール・シャピラ(イスラエル、サイランスプロサイクリング)単独逃げに持ち込んだオメール・シャピラ(イスラエル、サイランスプロサイクリング) photo:CorVos引退を表明しているメーガン・グアルニエール(アメリカ、ブールス・ドルマンス)引退を表明しているメーガン・グアルニエール(アメリカ、ブールス・ドルマンス) photo:CorVos

集団前方で走る與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)集団前方で走る與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) photo:Velofocus/Wiggle High5
後半に用意された8km×3周の市街地サーキットに入ると、ブレナウアーがアタック。アミー・ピーテルス(オランダ、ブールス・ドルマンス)が追従し、それまで逃げ続けていたシャピラに代わり猛烈な勢いで逃げ切りを目指した。

終盤にはブレナウアーを千切ったピーテルスが独走態勢に入ったが、集団もスプリントチームや、総合リーダーのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)を守るアマンダ・スプラット(オーストラリア)の強烈な牽引によって、残り2kmを切ってピーテルスは吸収。ハイスピードと狭い道幅によって集団が引き伸ばされた状態でスプリント勝負になだれ込んだ。

ロングスプリントに出たロレーナ・ウィーブス(オランダ、パークホテル・ファルケンブルク)をリードアウトに使い、番手につけた元世界王者で現デンマーク王者のディデリクセンと、ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ)が4番手以降を引き離しつつスプリント。ブラントが追い詰めるも、リードを譲らなかったディデリクセンが先着。昨日に続くステージ2連勝を飾った。

スプリント2連勝を飾ったアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス)スプリント2連勝を飾ったアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス) photo:CorVos
2連勝を喜ぶアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス)2連勝を喜ぶアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス) photo:CorVos敢闘賞を獲得したオメール・シャピラ(イスラエル、サイランスプロサイクリング)敢闘賞を獲得したオメール・シャピラ(イスラエル、サイランスプロサイクリング) photo:CorVos

アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)ら、各賞受賞選手が登壇アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)ら、各賞受賞選手が登壇 photo:CorVos
「今日はアミーで逃げ切る作戦で、彼女が捕まってしまったのでプランBに切り替えスプリント。自分で決めたタイミングよりも早く勝負が始まってすごく長い距離をもがいたし、ルシンダが迫っていることも分かっていたけれど、全員キツいんだと言い聞かせた。あまり勝利数が多くないのに2連勝できたなんて信じられない気分」と語るディデリクセンは、ポイント賞ランキングでも2位に浮上している。

ファンフルーテンら総合上位勢は全員集団内でフィニッシュしたため、大きな順位変動は無し。與那嶺は残り5kmというタイミングでチェーン噛み込みでストップ。総合順位を落としてしまったものの、世界選手権に向けて好調をキープしているため落胆はないという。以下は與那嶺のコメント。

「(終盤は)コンディションも良く、展開も出来るので私も前方で動きますが、まさかのラスト5kmを過ぎたところで、チェーンスタック。アウタートップでチェーンがスタックしてしまいました。直そうと必死に動かしますが、程なくチームカーが上がってきてメカニックが必死に外して直し、その後カーペーサーで戻ろうとしたのですが
そこはラスト5km。コミッセールから強烈に警告を受けてメイン集団からドロップ。まぁ仕方がない。これもレース。落車しなかった。それだけで良いや。程なくグルペットも来て、一緒にゴールをしました。

チームはオードレーが上手く動き、7位!ゴキゲンです。私は自分のコンディションが良いのでひと安心。武井コーチからいつも言われること。「無事これ名馬」で明日に繋げることができます。個人的には総合成績を落としてしまったことが悔しいですが走れているし、楽しめているので、大丈夫です。明日は楽しみにしていたシッタルドのコース。アップダウンも強烈です。そして距離は160km弱。元気に攻めたいと思います!」

ステージ結果
1位 アマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス) 3h28'04"
2位 ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ)
3位 ロレーナ・ウィーブス(オランダ、パークホテル・ファルケンブルク)
4位 バーバラ・グアリシ(イタリア、ヴィルトゥサイクリング)
5位 ロッテ・コペツキー(ベルギー、ロット・スーダル)
6位 ジョルジア・ブロンジーニ(イタリア、サイランスプロサイクリング)
7位 オードリー・コールドンラゴ(フランス、ウィグル・ハイファイブ)
8位 マリアジュリア・コンファロニエーリ(イタリア。ヴァルカーPBM)
9位 スザンヌ・アンデルセン(ノルウェー、ハイテックプロダクツ)
10位 アーレニス・シエラ(キューバ、アスタナ)
80位 與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) 2'12"
個人総合成績
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) 9h59'44"
2位 ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ) +22"
3位 エウジェニア・ブヤーク(スロバキア、BTCシティリュブリャナ) +29"
4位 エレン・ファンダイク(オランダ、サンウェブ) +30"
5位 リア・キルヒマン(カナダ、サンウェブ) +31"
6位 アンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス) +33"
7位 アミー・ピーテルス(オランダ、ブールス・ドルマンス) +34"
7位 エレナ・チェキーニ(イタリア、キャニオン・スラム) +35"
8位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +37"
10位 フロールチェ・マッカイ(オランダ、サンウェブ) +40"
ポイント賞
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) 57pts
2位 アマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス) 50pts
3位 ロレーナ・ウィーブス(オランダ、パークホテル・ファルケンブルク) 36pts
山岳賞
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) 13pts
2位 アンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス) 8pts
3位 アマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス) 8pts
ヤングライダー賞
1位 ジャンヌ・コレヴァール(オランダ、ワオディールス・プロサイクリング) 10h00'28"
2位 マルタ・カヴァッリ(イタリア、ヴァルカーPBM) +06"
3位 ソフィア・ベルティッツォーロ(イタリア、アスタナ) +13"
チーム総合成績
1位 サンウェブ 30h00'43"
2位 ブールス・ドルマンス +13"
3位 ウィグル・ハイファイブ +25"
text:So.Isobe
photo:CorVos,Velofocus/Wiggle High5