ガリシア州からアストゥリアス州に入り、断続的に難関山岳ステージが登場する第73回ブエルタ・ア・エスパーニャ。アンドラ公国でクライマックスを迎えるブエルタ後半戦のステージを紹介します。

9月4日(火)第10ステージ
サラマンカ大学 ~ フェルモセリェ/ベルミージョ・デ・サヤゴ 177km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第10ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第10ステージ photo:Unipublicサラマンカで休息日を過ごした選手たちは引き続きスペイン北部を目指す。第10ステージは設立800年目(スペイン最古)のサラマンカ大学をスタートし、ポルトガル国境に近いフェルモセリェに向かう177km。休息日翌日のステージでは大ブレーキがかかってしまう選手も出がちだが、この日はスプリンター向きの平坦ステージなので仮にリズムを崩しても何とかごまかせるだろう。

残り29km地点の3級山岳フェルモセリェ峠(全長4.9km/平均5.3%)がこの日唯一の登りで、フィニッシュ手前は道幅のある平坦な幹線道路。ピュアスプリンターが主役を担う大集団スプリントに注目だが、風力発電の風車が立ち並んでいることからも分かるように、この日はステージを通して強風に注意しなければならない。

9月5日(水)第11ステージ
モンブエイ ~ リベイラ・セカラ/ルイントラ 207.8km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第11ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第11ステージ photo:Unipublicジロとツールと比べると、ステージ全長が平均的に短いのがブエルタの特徴。207.8kmで行われる第11ステージが今大会の最長ステージ。登りと下りしかないようなレイアウトで、カスティーリャ・イ・レオン州からガリシア州に向かう行程には2級山岳トリベス峠(全長10.5km/平均4.6%)を含む合計4つのカテゴリー山岳が設定されている。

シル川に沿った急峻な渓谷『リベイラサクラ』を走るステージ終盤は、サイモン・イェーツ(イギリス)が残り3km地点でアタックして独走勝利した2016年大会第6ステージと共通。ワインの産地として知られる崖に沿ったコースはアップダウンの連続で、断続的にワインディングが続く。スプリンターには厳しすぎるレイアウトであり、序盤に形成された逃げグループによる逃げ切りか、それとも精鋭に絞られた小集団によるスプリント勝負か。もしくは2016年と同様に単独で抜け出した選手によるステージ優勝争いが繰り広げられるはずだ。

9月6日(木)第12ステージ
モンドニェード ~ ファロ・デ・エスカタ・デ・バレス/マニョン 181.1km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第12ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第12ステージ photo:Unipublicブエルタは大西洋まで北上を完了。ガリシア州の海岸線を走る第12ステージには3級山岳が2つ設定されているものの、標高も低く勾配も緩い。スプリンターにチャンスがあるステージだが、終盤の細かいアップダウンやワインディングコースにスプリンターチームは手を焼くかもしれない。

最後は大西洋に突き出たエスカタ・デ・バレス半島の先端に向かって突き進む。フィニッシュラインが引かれているのは半島先端に位置するファロ・デ・バレス灯台。残り1.5km地点で州道を離れて左に折れると、そこから先はグランツールとしてはありえないほど細い道が続く。いくつものリードアウトトレインが並走してエースを解き放つようなスペースはなく、残り1kmアーチ手前の短い登りを利用して飛び出す選手も出てくるだろう。ステージ優勝を狙うためにも、総合でタイムを失わないためにも、とにかく集団前方の位置取りが必須だ。

9月7日(金)第13ステージ
カンダス/カレーニョ ~ バレ・デ・サベロ/ラ・カンペローナ 174.8km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第13ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第13ステージ photo:Unipublic開幕から2週間が経ち、ブエルタはアストゥリアス州とカスティーリャ・イ・レオン州の間にまたがる山岳地帯に突入する。序盤の3級山岳マデラ峠は逃げグループ形成のための発射台。そこから内陸に進むにつれて標高を上げていき、中盤に1級山岳タルナ峠(全長13km/平均5.8%)を越えて高原に足を踏み入れる。

しばらく平坦な幹線道路を走ってから、残り8.3km地点のスプリントポイントを過ぎるといよいよ1級山岳ラ・カンペローナ(全長8.3km/平均7.5%)の登坂がスタート。前半は特筆すべき勾配ではないものの、急激に勾配が増す残り3km地点からフィニッシュラインまでの平均勾配は13%に達する。非公式ながら最大勾配が24%に達する激坂がブエルタに登場するのは3回目。前回登場した2016年大会の第8ステージでは、攻撃を仕掛けたクリストファー・フルーム(イギリス)を振り切る形でナイロ・キンタナ(コロンビア)がリードを奪っている。

9月8日(土)第14ステージ
システィエルナ ~ レス・プラエレス/ナバ 171km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第14ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第14ステージ photo:Unipublic第73回ブエルタの総合成績は、この第2週を締めくくるアストゥリアス山岳3連戦で概ね固まると言っていいだろう。前日のフィニッシュ地点に近いシスティエルナからアストゥリアス州のナバを目指す171kmコースにはカテゴリー1級から3級の山岳が5つ設定されている。後半に連続する1級山岳コリャドナ峠(全長5.3km/平均8.1%)、1級山岳モスケタ峠(全長6.5km/平均8.7%)、3級山岳3級ファリャ・デ・ロス・ロボス峠(全長5.3km/平均6.4%)はいずれも急勾配だ。

そんなクライミングデーの最後を締めくくるのは、ブエルタ初登場となる1級山岳レス・プラエレス(全長4km/平均12.5%)の登坂勝負。ブエルタに合わせて舗装されたばかりの1級山岳は、前半から15%オーバーの勾配が断続的に続く激坂。誰にとっても未知の、最大勾配17%の『壁』でクライマーたちが躍動する。TTを得意とするオールラウンダーたちにとっては踏ん張りどころだ。

9月9日(日)第15ステージ
リベラ・デ・アリバ ~ ラゴス・デ・コバドンガ 178.2km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第15ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第15ステージ photo:Unipublicアストゥリアス山岳3連戦は超級山岳ラゴス・デ・コバドンガでクライマックスを迎える。引き続きアストゥリアス州らしいアップダウンが詰め込まれており、ステージ中盤にかけて1級山岳ミラドール・デル・フィト(全長7.1km/平均7.7%)を2回登坂。大西洋を見下ろす展望台に向かう登りを終えると、いよいよブエルタの名物峠が姿を現す。

超級山岳ラゴス・デ・コバドンガ(全長11.7km/平均7.2%)がブエルタに登場するのはこれが21回目。湖が点在する頂上付近に向かう登りは、いくつかの下り区間を含むため実際の平均勾配が10%を超える。前半から14〜15%の急勾配区間が連続し、後半にかけて最大20%の激坂区間も登場。残り1.5km地点で一旦ピークを迎えてから短い下りを経て、残り300mで再び登りに転じる。標高は1,110mと目立った数字ではないが、これまで多くの選手がこの破壊力抜群の登りでリードを奪ってきた。2つの急勾配フィニッシュでダメージを受けた脚が、ブエルタを代表する名峰で悲鳴をあげる。

9月10日(月)休息日

9月11日(火)第16ステージ
サンティリャーナ・デル・マル ~ トレラベガ 32km(個人TT)→ コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第16ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第16ステージ photo:UnipublicTTスペシャリストたちにようやく活躍のチャンスが巡ってきた。アストゥリアス山岳3連戦を乗り越え、休息日にしっかり身体を休めた選手たちが最後の1週間をカンタブリア州でスタートさせる。第16ステージは距離32kmの個人タイムトライアル。アルタミラ洞窟壁画で有名なサンティリャーナ・デル・マルをスタートし、往年の名選手オスカル・フレイレの生誕地トレラベガを目指す。

前半から標高50〜200mほどの丘を越えていくコースはテクニカルで、大会主催者は優勝予想タイムを38分前後と見積もっている。最後はトレラベガの市街地を駆け抜け、オスカル・フレイレ競技場の外をぐるっと回ってフィニッシュを迎える。TTを得意とするオールラウンダーにとっては、ピュアクライマーたちから数分差を奪うチャンス。総合成績にシャッフルがかかるだけでなく、マイヨロホの移動も大いにあり得るだろう。

9月12日(水)第17ステージ
ゲチョ ~ バルコン・デ・ビスカヤ 157km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第17ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第17ステージ photo:Unipublicバスクの山岳地帯を走る第17ステージは距離157kmのコースに6つのカテゴリー山岳が詰め込まれた内容が濃いもの。バスク地方最大の都市ビルバオ近郊をスタートし、複雑な線を描きながら標高300〜400mの峠を繋いでいく。登場するカテゴリー山岳はいずれも登坂距離が7km以下だが、それでも獲得標高差が3,000mを超えてしまうのがバスクらしい。

後半にかけてカテゴリー2級、3級、3級と山岳をこなしてから、この日最後の1級山岳バルコン・デ・ビスカヤ峠(全長7.3km/平均9.7%)に突入。ブエルタ初登場のこの1級山岳(正式名称オイス山)は中腹にかけて勾配がコンスタントに12%を超える急坂で、路面も悪く、その最大勾配は23.8%に達する。残り2kmから先は少し勾配が緩むものの、風力発電の風車を縫うように走る管理道路は部分的に勾配が13%に達する。バスクファンが詰めかけた標高925mの登りで今一度総合成績に変動が起こる。

9月13日(木)第18ステージ
エヘア・デ・ロス・カバジェロス ~ レリダ 186.1km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第18ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第18ステージ photo:Unipublicこの時点で果たしてどれだけのスプリンターが生き残っているのか不明だが、第18ステージは今大会有数の真っ平らなステージ。ブエルタにしては珍しくカテゴリー山岳が一つも設定されていない。勝負どころの山岳を結ぶまさに『トランジションステージ』だが、カタルーニャ州のレリダに向かう平野は強風が吹き荒れることで有名だ。

かなりの確率で集団スプリントに持ち込まれると思われるが、スプリンターチームの力が弱まっていた場合は大逃げが決まる可能性も。総合上位陣にとっては少しでも力を使わずに、身体をリカバリーしながら、落車や集団分裂に巻き込まれることなく、安全に平穏に終えたいステージ。ここまで山岳で1秒を削り取る戦いに徹していたクライマーたちが、風による集団分裂で数分を失ってしまっては元も子もない。

9月14日(金)第19ステージ
レリダ ~ アンドラ/ナチュランディア 154.4km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第19ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第19ステージ photo:Unipublicカタルーニャ州のレリダから、ピレネー山脈の山あいの国アンドラへ。154.4kmのステージはいたってシンプル。スタートから徐々に標高を上げていき、残り21km地点でアンドラ公国に入国し、残り18km地点のスプリントポイントを経て、標高2,025mの1級山岳ラ・ラバッサ峠(全長17km/平均6.6%)を駆け上がる。

麓には13%オーバーの急勾配区間が登場するものの、中腹にある遊園地『ナチュランディア』を通過すると勾配は緩む。フィニッシュ手前は概ね4〜5%の勾配が続き、路面状況は良好。タイム差を奪いたい選手は麓から仕掛けてくるだろう。

なお、今大会唯一の標高2,000mオーバーの峠である1級山岳ラ・ラバッサ峠がフィニッシュとしてブエルタに登場するのはこれが2回目。前回登場した2008年大会第7ステージ(アレッサンドロ・バッラン勝利)では、濃霧の影響でフィニッシュ地点の映像しか流れなかった。

9月15日(土)第20ステージ
アンドラ/エスカルデス=エンゴルダニ ~ コル・デ・ラ・ガリーナ 97.3km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第20ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第20ステージ photo:Unipublic全長65kmという超ショートステージを導入したツールを見習ってか、ブエルタも100kmに満たない97.3kmのショートステージを最終日前日に持ってきた。アンドラ公国の中心地エスカルデス=エンゴルダニをスタートしてから、ひたすら山岳の登りと下りをリピートする。その結果、1日の獲得標高差は4,000mに達する。

前半から2級山岳コメリャ峠(全長4.3km/平均8.7%)、1級山岳ベシャリス峠(全長7.1km/平均8%)、1級山岳オルディノ峠(全長9.8km/平均7.1%)、1級山岳ベシャリス峠(全長7.1km/平均8%)、3級山岳コメリャ峠(全長3.6km/平均6.3%)を休む間もなくクリア。そして最後は超級山岳ラ・ガリーナ峠(全長3.5km/平均8.7%)の山頂フィニッシュだ。

ラ・ガリーナ峠の実際の登坂距離は7km近くあり、九十九折の登りを経て標高1,480mでフィニッシュを迎える。3週間にわたって繰り広げられたマイヨロホ争いがこのラ・ガリーナ峠で決着。最終決戦を終えた選手たちにはマドリードまでの650km陸路移動が待っている。

9月15日(日)第21ステージ
アルコルコン ~ マドリード 100.9km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第21ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第21ステージ photo:Unipublicグランツール最終日は(個人TTを除いて)パレードランからの最終スプリントバトルだと相場が決まっている。第73回ブエルタも例外ではなく、前日に総合優勝を決めた選手を先頭に、完走者が首都マドリードに凱旋。スプリンターチームが逃げに目を光らせながら、5.9kmの平坦な市街地周回コースを12周する。

2010年から採用されてきたT字型の周回コースに変更が加えられ、今年は以前の直線的な周回コースに戻された。フィニッシュラインが引かれるのはマドリード中心部のシベレス広場。日の入り(午後8時23分)前の午後8時ごろ、スプリンターたちが3週間を締めくくる最後のバトルを繰り広げる。

text:Kei Tsuji
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