2018年8月25日に開幕する第73回ブエルタ・ア・エスパーニャ。スペイン南部のアンダルシア州を駆け抜け、超級山岳コバティーヤ峠の山頂フィニッシュでクライマックスを迎えるブエルタ前半戦のステージを紹介します。


8月25日(土)第1ステージ
マラガ 〜 マラガ 8km(個人TT)→ コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第1ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第1ステージ photo:Unipublicスペイン南部、アンダルシア州第2の都市(人口57万人)で、画家パブロ・ピカソの出身地であるマラガで第73回ブエルタ・ア・エスパーニャは開幕する。ブエルタがチームTTではなく個人TTで開幕するのは9年ぶり。UCIルールが定める『プロローグ』と『個人TT』の境界である8kmという距離を176名の選手たちが走る。

地中海に突き出た埋立地や海岸路を走る前半は平坦だが、3.3km地点からコースは内陸へ。勾配6%前後の登りを600mほどこなし、下りと平坦路を経てフィニッシュする。レース時間10分弱の戦いが今大会1人目のマイヨロホ着用者を選び出す。ここで生まれるタイム差は僅かだが、テクニカルな市街地コーナーや石畳区間で落車やトラブルは避けたいところ。TTスペシャリストだけでなく、短距離独走力のあるスプリンターたちも上位に絡んでくるだろう。



8月26日(日)第2ステージ
マルベリャ ~ カミニート・デル・レイ 163.5km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第2ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第2ステージ photo:Unipublic第73回ブエルタの全21ステージのうち、実に9ステージで山頂フィニッシュが設定されている。その第1弾となるのが3級山岳グアダロルセ峠(全長7.1km/平均2.8%)。合計4つのカテゴリー山岳が登場するため、スタート直後の2級山岳オヘン峠で山岳賞ジャージ狙いの動きが活発化するはずだ。

レース中盤に3級山岳グアダロルセ峠を一度通過してから、3級山岳アルダレス峠(全長5.8km/平均3.7%)を含む大周回をぐるっと一周。エステバン・チャベス(コロンビア)がステージ優勝した2015年大会の第2ステージとほぼ同じコースレイアウトだが、最後の3級山岳グアダロルセ峠の登坂路のみ変更が加えられている。今回はフィニッシュ400m手前で3級山岳の頂上を通過し、そこから緩斜面を登ってフィニッシュ。クライマーというよりはパンチャー系の選手がマイヨロホ獲得も視野にスプリントに絡んでくるだろう。



8月27日(月)第3ステージ
ミハス ~ アラウリン・デ・ラ・トレ 178.2km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第3ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第3ステージ photo:Unipublicアンダルシア州らしい白壁の街ミハスをスタートする第3ステージはスプリンター向き。スタート後しばらく海岸線を走ったのち、標高1,065mの1級山岳マドローニョ峠(全長20.1km/平均4.9%)を駆け上がる。内陸の山岳地帯をぐるっと回ってからコスタ・デル・ソル(太陽海岸)に戻り、マラガ近郊のアラウリン・デ・ラ・トレでフィニッシュを迎える。

中級山岳ステージにカテゴライズされたコースは100%ピュアスプリンター向きとは言えないが、ブエルタにおいて数少ない活躍のチャンスだけにスプリンターチームが集団をまとめ上げるだろう。まだまだ大会3日目のため、序盤の1級山岳マドローニョ峠で全開アタックを仕掛けてくる総合系チームもいないはず。スプリンターチームが警戒すべきは、1級山岳マドローニョ峠で形成されるであろう逃げグループのメンバー構成だ。



8月28日(火)第4ステージ
ベレス・マラガ ~ アルファカル/シエラ・デ・ラ・アルファグアラ 161.4km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第4ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第4ステージ photo:Unipublic前述の通り21ステージのうち9ステージが山頂フィニッシュ。2つの個人TTを除くと19ステージのうち9ステージ、つまり2日に1回は山頂フィニッシュが登場する計算だ。この日も序盤はコスタ・デル・ソル(太陽海岸)の平坦路を50km走り、そこからまずは1級山岳カブラ・モンテス峠(全長15.7km/平均5.9%)にアタック。内陸の高原まで標高を上げると、そこからグラナダのスプリントポイントを経て、選手たちは1級山岳アルファカル峠(全長12.4km/平均5.4%)に突入する。

ブエルタ初登場となる標高1,440mの1級山岳アルファカル峠は中盤にかけて勾配が10%を超える。残り3km地点を切ってから勾配が3〜5%まで緩むため、タイム差をつけたい選手は上りの中盤から動いてくるはず。ここではまだ最終的なマイヨロホ着用者は見えてこないが、低木が茂る岩山で早くも総合争いから脱落する選手が出てくるかもしれない。



8月29日(水)第5ステージ
グラナダ ~ ロケタス・デ・マル 188.7km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第5ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第5ステージ photo:Unipublicクライマーが活躍した次の日はスプリンターの日・・・にはならないかもしれない。グラナダからコスタ・デル・ソル(太陽海岸)を目指す188.7kmの行程は山あり谷あり。登場するカテゴリー山岳は2つだけだが、標高500〜1,000mのカテゴリーの付いていない峠が連続。しかも残り27km地点には2級山岳マルチャル峠(全長10.8km/平均4.1%)が待っている。スプリンターがステージ優勝に絡むためにはこの難所を集団内で乗り越えなければならない。

大会主催者は「2級山岳で絞られた70〜80名の集団スプリント」を予想しているが、スプリンターチームの手に負えない逃げグループが先行する可能性も高く、最後の2級山岳マルチャル峠の上りと下りを利用して攻撃を仕掛けてくるアタッカーも出てくるだろう。地中海に面したロケタス・デ・マルのフィニッシュに飛び込んでくるのは小集団か、それとも少人数の逃げグループか。とにかくブエルタの集団スプリントに絡むには登坂力が必須だ。



8月30日(木)第6ステージ
ウエルカル・オベラ ~ サン・ハビエル 155.7km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第6ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第6ステージ photo:Unipublicスプリンターが待ち焦がれた正真正銘の平坦ステージが大会6日目にようやく登場。中盤にかけて登場する2つの3級山岳はステージ優勝争いに影響しない。ブエルタは開幕から5日間を過ごしたアンダルシア州を離れてムルシア州に入り、地中海に沿っていくつものビーチを横目に北上。フィニッシュ地点サン・ハビエルでは大集団スプリントが繰り広げられるだろう。

一帯は風が強い地域として知られており、レース終盤にかけて吹きっさらしの平坦路を走行するため横風が集団を破壊してしまう可能性もある。しかし例年8月はそこまで風が吹かない季節であり、主催者は風よりも35度前後まで上がる高温のコンディションがレースに影響を及ぼすのではないかと警鐘を鳴らしている。とにかくマイヨロホ狙いの選手たちにとっても気が休まらないステージになりそうだ。



8月31日(金)第7ステージ
プエルト・ルンブレラス ~ ポソ・アルコン 185.7km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第7ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第7ステージ photo:Unipublic大会主催者による格付けは『平坦ステージ』だが、すんなりと集団スプリントに持ち込まれないようなコースレイアウトがブエルタらしい。序盤からカテゴリーの付いていない標高1,000mクラスの峠が連続して登場し、一旦フィニッシュラインを逆向きに通過してから残り12km地点で3級山岳セアル峠(全長4.5km/平均5.4%)を越える。最大勾配が15%を超えるこの3級山岳が集団に大きなダメージを与えるかもしれない。

残り8.7km地点に設定されたスプリントポイントから標高886mのフィニッシュラインまでは登り基調。山岳で絞られた集団が勾配2〜3%の緩斜面をハイスピードで駆け上がる。集団スプリントに持ち込まれる可能性が高いが、起伏を利用して飛び出した逃げグループがそのまま逃げ切ってしまうことも考えられる。



9月1日(土)第8ステージ
リナレス ~ アルマデン 195.1km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第8ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第8ステージ photo:Unipublicアンダルシア州の内陸部リナレスを発ち、鉱山が点在する平野を抜けてカスティーリャ・ラ・マンチャ州のアルマデンへ。一見ステージ中盤に3級山岳が設定されただけのシンプルな平坦コースで、大会主催者も「再びスプリンターのチャンス」と太鼓判を押しているが、結果はそれほどシンプルなものにはならない。何しろ残り1kmを切ってからのレイアウトが極めてテクニカルだ。

残り600m地点のラウンドアバウトを抜けると一気に道幅が狭まり、さらに勾配が8%まで上昇する。街の名所である水銀博物館の横を駆け抜けて、そのままフィニッシュラインまで登りを継続。パンチの効いたレイアウトはピュアスプリンターというよりはパンチャー向きだと言える。タイムロスを避けたいマイヨロホ候補も前へ前へと上がるため、ポジション争いは熾烈なものになるだろう。



9月2日(日)第9ステージ
タラベラ・デ・ラ・レイナ ~ ラ・コバティーリャ 200.8km → コースマップ


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第9ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第9ステージ photo:Unipublic開幕から1週間以上休まず突っ走ってきた選手たちが休息日前に登坂バトルを繰り広げる。200kmオーバーのロングコースに登場するカテゴリー山岳は4つ。前半から1級山岳ピコ峠(全長15.3km/平均5.5%)、3級山岳グレドス峠(全長10.1km/平均3.7%)、2級山岳ペーニャネグラ峠(全長13km/平均4.5%)という、登坂距離が10kmを超える登りを立て続けにクリアする。

獲得標高差4,000mの難関差額ステージを締めくくるのは、7年ぶり5回目の登場となる標高1,965mの超級山岳コバティーヤ峠(全長9.8km/平均7.1%)。スキー場『ベハル・コバティーヤ』に至る峠道は木々が少ない吹きっさらしのため、風向きが選手たちの戦術に影響を与えるだろう(2011年は強い向かい風が吹いた)。登りの前半に11%超えの区間も登場するこの今大会最初の超級山岳でいよいよマイヨロホは本命の手に渡る。



9月3日(月)休息日




text:Kei Tsuji
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