2018/07/29(日) - 14:29
いよいよパリ・シャンゼリゼでフィナーレを迎えるツール・ド・フランス。フランス人にとって、ツールはフランスの文化だとよく言われますが実際どのようなものなのでしょうか?ツールの終盤となった第18ステージから第20ステージまでのピレネー連戦で見かけた現地の模様を、目黒誠子さんがレポートします。
第18ステージのスタート地、トリシュルバイズ。街中の普通の商店街がスタート会場となりましたが、街中が自転車でデコレーションされていました。おそらくもう使われなくなったものだろうと思うのですが、黄色やオレンジ、青、緑、白など色とりどりにペンキを塗られた自転車がショーウィンドウやテラスに飾られています。
花が飾られプランターになっているのもあれば、国旗が飾られているものも。ロードバイクが主ですが、三輪車のほか、タンデム自転車があるのにも驚きです。パン屋さんやレストラン、コスメショップに電気屋さん、それに普通のお家も飾りつけに参加しています。日本でクリスマス時期になると自宅をデコレーションするお家がありますが、そんな感じに似ているのかもしれません。「ツール・ド・フランスが自分の街に来てくれる」大歓迎ぶりを感じました。
この日も、プレスアヴォンで選手がスタートする前にコースに出ました。10kmほど行ったところで車を停めて選手が通過するのを写真に収めます。ちょうど前にあったのが広いお庭があるお宅。何やら木陰にテーブルを出して、大勢でピクニックをしています。ワイワイと楽しそうだったので近づいて声をかけてみました。
「ボンジュール!写真を撮ってもいいですか?」「ビアンスー(もちろん)」。みんな明るい!写真を撮り終えると、グラスを差し出され、「シャンパンやチーズをどうぞ。ガトーショコラも食べて。私が作ったの。」「このおじいちゃんとおばあちゃんは90歳になるのよ。今日はツールが来るのでみんなで集まってピクニック。ツールが来るのはお祭りだからね。」
第19ステージは、ルルドがスタート。洞窟の湧き水によって病気が治癒する奇跡が何度も起きたと言われている、ルルドの泉。その奇跡を信じて世界中から巡礼者が集まるカトリック最大の巡礼地で、サンミッシェル門からロザリオ大聖堂までは「聖域」となりますが、その聖域一体がチームパドックであり、ロザリオ大聖堂前はヴィラージュになっていました。ツール・ド・フランスは国をあげての一大イベントなのだと実感しました。
コースは4級山岳を二つ抜けて1級山岳であるアスパン峠へ。沿道やコースの脇道にずら~っと並ぶキャンピングカー。キャンピングカーでの観戦は山岳でも平坦でも本当にどこにでもいます。キャンピングカーの前にテーブルと椅子を出して、飲んだり食べたりしながら、時々は中のテレビを見て、時にはまるで競馬や競輪のように新聞をくまなく見ながら楽しんでいます。
たいていはリタイア後のご年配の方が多いですが、ここで出会ったのはマイヨジョーヌ色のアフロファミリー。ツール観戦のために、トゥールーズから来たそう。ツールとジロはよく比較されますが、夏休みに入った子供連れのファミリーが多い、ということが一つの大きな違いだと言われます。
第20ステージ、個人タイムトライアルの舞台となったのはサンぺシュルニベル→エスプレットのフランス側のバスク地方。沿道にたくさんの観客!コースに入れるステッカーをもらった私たちは、バウケ・モレマの後にコースに出ました。ジャパンカップでモレマが優勝したことを思い出します。
あ、あそこがいいかも、と探して停めたのが、個人のお宅だったのですが、牛舎の中に、これまたテーブルを出して宴会をするファミリー。「ツールだし、交通規制だし、どこにも行かないでみんなで集まってランチしてるのー」。
交通規制で不便を感じるどころか逆に楽しんでいる…100年以上続く歴史があってのものかもしれませんが、もはや、「生活の一部にツールあり」を感じました。
筆者プロフィール:目黒 誠子(めぐろせいこ)
宮城県丸森町生まれ。2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年より3年間、ツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。現在は宮城県丸森町に拠点を置きつつ、海外の自転車事情やライフスタイルを取材しながら、ライター、プロデューサー、コーディネーターとして活動。自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、「自転車と旅の日~MARUVÉLO(マルベロ)」主宰。(https://www.facebook.com/maruvelo/)
第18ステージのスタート地、トリシュルバイズ。街中の普通の商店街がスタート会場となりましたが、街中が自転車でデコレーションされていました。おそらくもう使われなくなったものだろうと思うのですが、黄色やオレンジ、青、緑、白など色とりどりにペンキを塗られた自転車がショーウィンドウやテラスに飾られています。
花が飾られプランターになっているのもあれば、国旗が飾られているものも。ロードバイクが主ですが、三輪車のほか、タンデム自転車があるのにも驚きです。パン屋さんやレストラン、コスメショップに電気屋さん、それに普通のお家も飾りつけに参加しています。日本でクリスマス時期になると自宅をデコレーションするお家がありますが、そんな感じに似ているのかもしれません。「ツール・ド・フランスが自分の街に来てくれる」大歓迎ぶりを感じました。
この日も、プレスアヴォンで選手がスタートする前にコースに出ました。10kmほど行ったところで車を停めて選手が通過するのを写真に収めます。ちょうど前にあったのが広いお庭があるお宅。何やら木陰にテーブルを出して、大勢でピクニックをしています。ワイワイと楽しそうだったので近づいて声をかけてみました。
「ボンジュール!写真を撮ってもいいですか?」「ビアンスー(もちろん)」。みんな明るい!写真を撮り終えると、グラスを差し出され、「シャンパンやチーズをどうぞ。ガトーショコラも食べて。私が作ったの。」「このおじいちゃんとおばあちゃんは90歳になるのよ。今日はツールが来るのでみんなで集まってピクニック。ツールが来るのはお祭りだからね。」
第19ステージは、ルルドがスタート。洞窟の湧き水によって病気が治癒する奇跡が何度も起きたと言われている、ルルドの泉。その奇跡を信じて世界中から巡礼者が集まるカトリック最大の巡礼地で、サンミッシェル門からロザリオ大聖堂までは「聖域」となりますが、その聖域一体がチームパドックであり、ロザリオ大聖堂前はヴィラージュになっていました。ツール・ド・フランスは国をあげての一大イベントなのだと実感しました。
コースは4級山岳を二つ抜けて1級山岳であるアスパン峠へ。沿道やコースの脇道にずら~っと並ぶキャンピングカー。キャンピングカーでの観戦は山岳でも平坦でも本当にどこにでもいます。キャンピングカーの前にテーブルと椅子を出して、飲んだり食べたりしながら、時々は中のテレビを見て、時にはまるで競馬や競輪のように新聞をくまなく見ながら楽しんでいます。
たいていはリタイア後のご年配の方が多いですが、ここで出会ったのはマイヨジョーヌ色のアフロファミリー。ツール観戦のために、トゥールーズから来たそう。ツールとジロはよく比較されますが、夏休みに入った子供連れのファミリーが多い、ということが一つの大きな違いだと言われます。
第20ステージ、個人タイムトライアルの舞台となったのはサンぺシュルニベル→エスプレットのフランス側のバスク地方。沿道にたくさんの観客!コースに入れるステッカーをもらった私たちは、バウケ・モレマの後にコースに出ました。ジャパンカップでモレマが優勝したことを思い出します。
あ、あそこがいいかも、と探して停めたのが、個人のお宅だったのですが、牛舎の中に、これまたテーブルを出して宴会をするファミリー。「ツールだし、交通規制だし、どこにも行かないでみんなで集まってランチしてるのー」。
交通規制で不便を感じるどころか逆に楽しんでいる…100年以上続く歴史があってのものかもしれませんが、もはや、「生活の一部にツールあり」を感じました。
筆者プロフィール:目黒 誠子(めぐろせいこ)
宮城県丸森町生まれ。2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年より3年間、ツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。現在は宮城県丸森町に拠点を置きつつ、海外の自転車事情やライフスタイルを取材しながら、ライター、プロデューサー、コーディネーターとして活動。自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、「自転車と旅の日~MARUVÉLO(マルベロ)」主宰。(https://www.facebook.com/maruvelo/)
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