2月28日、強風吹きすさぶ過酷なコンディションで開催されたクールネ〜ブリュッセル〜クールネ(UCI1.1)。レース序盤に集団から飛び出したボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ)が、遅れて合流した逃げメンバーを振り切り、キャリア最高の勝利を飾った。

ベルギーのセミクラシック2戦でデビューした別府史之(日本、レディオシャック)ベルギーのセミクラシック2戦でデビューした別府史之(日本、レディオシャック) photo:Cor Vos今年で開催63回目を迎えるクールネ〜ブリュッセル〜クールネは、オンループ・ヘットニュースブラットの翌日に開催されるセミクラシックレース。その名の通りベルギーのクールネをスタートし、首都ブリュッセル手前で引き返してクールネにゴールする。

194kmのコースは前日のオンループと同様過酷で、クルイスベルグやオウデ・クワレモント、ノケレベルグなど、ベルギーのワンディクラシックで名を馳せる8つの急坂が登場する。

雨の中を逃げ続けるボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ)雨の中を逃げ続けるボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ) photo:Cor Vosこの日、選手たちを苦しめたのは悪天候だ。折しもヨーロッパには「シンティア」と呼ばれる嵐が襲来しており、ベルギー・フランドル地方も例外ではなく強風と雨の過酷なコンディション。強風による倒木で、コースが変更を余儀なくされるほどだった。

レースは序盤からアタック合戦が繰り返され、オンループと連戦出場の別府史之(日本、レディオシャック)もこれに参加。しかしアタックが決まらないまま、選手たちは追い風に乗ってハイスピードで進行して行く。

3名での勝負を制したボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ)3名での勝負を制したボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ) photo:Cor Vosやがて集団は二つに大きく分裂し、ディフェンディングチャンピオンのトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)や、前日のオンループ優勝者フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)、ヘルト・ステーグマン(ベルギー、レディオシャック)は後退。これらの選手たちはリタイアを喫した。

集団からアタックを成功させたのはボビー・トラクセル(オランダ)とアルノー・ファンフルーン(オランダ)のヴァカンソレイユコンビ。この2人は協力して連続する急坂をクリアして行く。

逃げ切った3名が表彰台に 優勝はボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ)逃げ切った3名が表彰台に 優勝はボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ) photo:Cor Vos後方集団では、102km地点のクルイスベルグでレイフ・ホステ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)やトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)、グレゴリー・ラスト(スイス、レディオシャック)ら13名が飛び出し、追走グループを形成した。

やがてコースが180度向きを変え、追い風が向かい風に変わると、先頭はトラクセルの独走状態に。追走グループからはオウデ・クワレモントでイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)とリック・フレンス(オランダ、ラボバンク)が飛び出し、2人で先頭トラクセルに合流した。

追走グループはサーヴェロ・テストチーム勢が懸命にペースを上げたが、先頭3名とのタイム差が縮まらない。やがて追走グループからフースホフト、ジェレミー・ハント(イギリス、サーヴェロ・テストチーム)、ヘイデン・ロールストン(ニュージーランド、チームHTC・コロンビア)の3名が飛び出し、1分遅れで先頭3名を追う展開に。

ゴールまで36kmを残して、先頭3名と追走グループのタイム差は40秒。しかしハントとフースホフトが力尽きたため、追走はロールストンの単独走行に。結局ロールストンの追走は届かず、先頭3名による牽制とアタックが始まった。

ラスト9kmで最初に仕掛けたフレンスやスタナードのアタックはどれも成功せず、ゴール手前で抜け出したトラクセルが勝利。フレンスが2位、チームとして連勝を狙ったスタナードは3位に入った。

キャリア最高の勝利を飾ったトラクセルは「これは本当に特別な勝利。クールネは2002年にプロとして初めて走ったレースなんだ。ツアー・オブ・カタールもツール・メディテラネアンも良いレースだったけど、クールネのようなワンディクラシックこそ真のレースだと思っている」とコメント。2008年大会では7位に入っており、今後のクラシックレースでもダークホースとして活躍が期待される。

アタック合戦に加わったフミや新城幸也(Bboxブイグテレコム)は途中リタイア。レディオシャックのディルク・デモル監督はチーム公式サイトの中で「集団が分裂したとき、レディオシャックは3名(フミ、ロセレル、ラスト)しか第1集団に残っていなかった。そこで別府はよく働いた」とフミを高く評価している。

フミの次戦は3月5日に開幕する西フランドル3日間レース(UCI2.1)、ユキヤの次戦は3月3日に開催されるル・サミン(UCI1.1)の予定だ。

展開はレース映像、ならびに各チームウェブサイトより。

クールネ〜ブリュッセル〜クールネ2010結果
1位 ボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ)           4h43'16"
2位 リック・フレンス(オランダ、ラボバンク)
3位 イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)                +02"
4位 ヘイデン・ロールストン(ニュージーランド、チームHTC・コロンビア)    +1'00"
5位 ドミニク・ロラン(カナダ、サーヴェロ・テストチーム)           +2'59"
6位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)
7位 セバスティアン・テュルゴー(フランス、Bboxブイグ テレコム)       +5'40"
8位 ダフィ・コンメイネ(ベルギー、ランドバウクレジット)           +5'41"
9位 グレゴリー・ラスト(スイス、レディオシャック)              +5'54"
10位 セバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ラボバンク)         +5'55"

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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