ツアー・オブ・スロベニア最終TTで、総合リーダーのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)が最速タイムをマークして総合優勝。最大の目標に据えるツール・ド・フランスへ弾みをつけた。



長くホットシートを守り続けたヤン・トラトニク(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)長くホットシートを守り続けたヤン・トラトニク(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) (c)Vid Ponikvar/Sportida
記念すべき25回大会のツアー・オブ・スロベニアを締めくくるのは、MTBワールドカップの舞台ともなる美しい古都ノヴォ・メスト。緩いアップダウンを含む21.5kmのコースが勝負を分けた。

まずはスロベニアのTT王者に輝いたばかりのヤン・トラトニク(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)が平均スピード51.157km/hで暫定トップタイムに。「普段と比べてあまり上手くはいかなかったけれど、自分を信じて、全ての苦しみを忘れて踏み続けたよ」と言う28歳のTTスペシャリストは最終盤まで長くホットシートを守ることとなる。

プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)が大声援を受けてスタートプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)が大声援を受けてスタート (c)Vid Ponikvar/Sportida
ジャック・バウアー(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット)やルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)のタイムはスロベニア王者に届かず、いよいよ総合勢がスタート。総合2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)はトラトニクから50秒遅れでまとめたものの、スロベニアファンの大声援に後押しされた総合リーダー、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)の走りは群を抜いていた。

これまでのTTキャリアで6勝を飾っている元スキージャンパーは、あらゆる場面でウランや、暫定リーダーであるトラトニクの走りを圧倒した。「完璧な走りができた」と語るログリッチェは最終的にトラトニクを27秒上回るトップタイムでステージ優勝を飾り、史上初めてのツアー・オブ・スロベニア複数回優勝(2回目)を成し遂げた。ログリッチェの平均スピードは唯一52km/h台に乗せる52.086km/hだった。

トップ10に食い込めなかった総合2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)トップ10に食い込めなかった総合2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) (c)Vid Ponikvar/Sportida
トップタイムでゴールに飛び込むプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)トップタイムでゴールに飛び込むプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) (c)Vid Ponikvar/Sportida
「完璧なリザルトだよ。このレースで、そして母国のファンの前で総合優勝できて本当に嬉しい。この結果はチームとファンのサポート無くしてはあり得なかったから、この勝利は彼ら全員のものだよ。一生忘れることのできない1週間になった」と語るログリッチェ。自身最大の目標として掲げるツール・ド・フランスに関しても「3週間後にいよいよグランデパールを迎えるので、このレースは予行演習としてもパーフェクトなんだ。これからの期間は休養とトレーニングに充てるつもり。でもその前に、今は総合優勝の余韻に浸りたいね」と語っている。

ログリッチェにとってはイツリア・バスクカントリーとツール・ド・ロマンディに続く今シーズン3度目の総合優勝。ウランやラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)を下したロットNLユンボの総合エースはツールに向けて準備万端だ。

プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)ら、総合トップスリーが並ぶプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)ら、総合トップスリーが並ぶ (c)Vid Ponikvar/Sportida
ステージ結果
1位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) 24’46”
2位 ヤン・トラトニク(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) +27”
3位 ヨセフ・チェルニー(チェコ、エルコフ・アーサー) +36”
4位 ジャック・バウアー(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット) +38”
5位 トーマス・スカリー(ニュージーランド、EEFエデュケーションファースト・ドラパック) +44”
6位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +47”
7位 ロジャー・クルーゲ(ドイツ、ミッチェルトン・スコット)
8位 アレックス・ダウセット(イギリス、カチューシャ・アルペシン) +52”
9位 ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) +53”
10位 ニールス・ポリット(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) +56”
個人総合成績
1位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) 15h18’13”
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +1’50”
3位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) +2’14”
4位 タデイ・ポガカール(スロベニア、リュブリャナ・グスト) +2’16”
5位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、サンウェブ) +2’18”
6位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +2’21”
7位 ヨセフ・チェルニー(チェコ、エルコフ・アーサー) +3’09”
8位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アドリアモービル) +3’15”
9位 イルダール・アルスラノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)
10位 ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) +3’16”
ポイント賞
1位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 52pts
2位 マッテーオ・ペルッキ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) 44pts
3位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) 41pts
山岳賞
1位 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 18pts
2位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) 12pts
3位 ドメン・ノヴァク(スロベニア、バーレーン・メリダ) 8pts
ヤングライダー賞
1位 タデイ・ポガカール(スロベニア、リュブリャナ・グスト) 15h20’29”
2位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、サンウェブ) +02”
3位 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) +1’44”
チーム総合成績
1位 サンウェブ 46h04’36”
2位 ガスプロム・ルスヴェロ +6’01”
3位 ボーラ・ハンスグローエ +6’19”
text:So.Isobe
photo:Vid Ponikvar/Sportida