9日間にわたって開催されたツール・ド・スイスを締めくくる34.1kmの個人タイムトライアルでシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)が勝利し、チームメイトのリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)が初総合優勝を達成した。


トップタイムで優勝したシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)トップタイムで優勝したシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) photo:CorVos

ツール・ド・スイス最終日はイタリア語圏のベッリンツォーナを舞台にした34.1kmの個人タイムトライアル。コースは前日の第8ステージの周回を延長したもので、合計270mほどの登りをこなして街中に戻ってくる。

昨年ツール・ド・フランスの最終個人TTを制したマチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)に続いて、今大会第6ステージで逃げ切り勝利を飾ったソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)が好走して暫定トップに。しかし初日のチームTT勝利の立役者であるBMCレーシングのシュテファン・キュング(スイス)とティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)が中間計測の時点でアンデルセンのタイムを更新していった。

ヴァンガーデレンはアンデルセンに4秒届かなかったが、キュングは唯一40分台を切る39分44秒の暫定トップタイムをマーク。登りを含むコースを平均スピード51.342km/hで駆け抜けたキュングがアンデルセンのタイムを19秒も更新し、他の追随を許さない走りでステージ優勝に輝いた。

ステージ2位に入ったソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)ステージ2位に入ったソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) photo:CorVos
ヤングライダー賞ジャージを着るエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)ヤングライダー賞ジャージを着るエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) photo:CorVos
ステージ8位に入ったヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)が総合2位に浮上ステージ8位に入ったヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)が総合2位に浮上 photo:CorVos
タイムを伸ばせず総合5位にダウンしたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)タイムを伸ばせず総合5位にダウンしたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) photo:CorVos
ステージ38位に終わり、総合3位にダウンしたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ステージ38位に終わり、総合3位にダウンしたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:CorVos
総合1位と総合2位のタイム差17秒で迎えた最終総合争いで優位に立ったのはイエロージャージを着るリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)だった。総合2位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)に中間計測の時点で14秒リードしたポートは、後半にかけてさらにペースを上げてステージ14位でフィニッシュ。ライバルたちに総合逆転の隙を与えなかった。

ステージ38位に沈んだキンタナは総合3位にダウンし、総合上位陣の中で最高位となるステージ8位に入ったヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)が総合2位までジャンプアップ。精彩を欠いたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)は総合3位から総合5位まで順位を下げ、エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)が総合4位とヤングライダー賞首位を守っている。

「シーズンの大きな目標であったスイスで勝てて本当に良かった」。初出場のスイスで初総合優勝を飾ったポートは語る。メインスポンサー撤退によって存続が危ぶまれている中で、アメリカ登録ながらほぼ地元スイスチームであるBMCレーシングに国内最大のタイトルをもたらしたポートは「ツール・ド・スイスは重要なレースであり、(ツールの)前哨戦と呼ぶのは敬意が足りない。ビッグネームがそろう中での総合優勝はツールに向けて良いサイン。4月に亡くなったチームオーナーのアンディ・リースの地元スイスで勝ったという意味も大きく、この勝利を彼に捧げたい。パリ〜ニースやカタルーニャ、ロマンディに並ぶかそれ以上の大きな勝利だと思う」と、7月の大一番に向けて好調ぶりを確認した。

初日にイエロージャージを着用し、その後のステージでポートをアシストし続けたキュングは「暑い9日間の戦いで誰もが疲れている中、タイム差がつく終盤に力を残した走りが勝利につながった。チームTTで勝利し、最終日に自分がステージ優勝して、リッチーが総合優勝。この成功を待ち望んでいたアンディ・リースがいないのが残念だけど、とにかく自分たちの成績を誇りに思う」と語っている。

イエロージャージのリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)はステージ14位イエロージャージのリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)はステージ14位 photo:CorVos
スイスTTチャンピオンのシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)がステージ優勝スイスTTチャンピオンのシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)がステージ優勝 photo:CorVos
総合2位ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)、総合1位リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)、総合3位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)総合2位ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)、総合1位リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)、総合3位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:CorVos

ツール・ド・スイス2018第9ステージ
順位名前タイム平均スピード
1位シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)0:39:4451.342
2位ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)0:00:1950.936
3位ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)0:00:2350.852
4位マチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)0:00:2650.788
5位マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)50.788
6位パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームスカイ)0:00:3750.558
7位キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)50.558
8位ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)0:00:3850.537
9位ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)0:00:4450.412
10位ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)0:00:4650.370
11位ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)0:00:4950.308
13位シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン)0:01:0350.020
14位リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)0:01:0450.000
17位アルテュール・ヴィショ(フランス、グルパマFDJ)0:01:1349.817
22位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)0:01:2649.555
24位エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)0:01:3149.455
27位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)0:01:3349.415
31位サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)0:01:4349.216
34位バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)0:01:5448.999
38位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)0:01:5948.901
86位ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)0:03:3347.131
個人総合成績
1位リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)29:28:05
2位ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)0:01:02
3位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)0:01:12
4位エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)0:01:20
5位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)0:01:21
6位シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン)0:01:47
7位サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)0:01:52
8位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)0:01:59
9位ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)0:02:27
10位アルテュール・ヴィショ(フランス、グルパマFDJ)0:02:41
ポイント賞
1位ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)26pts
2位マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)26pts
3位ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)21pts
山岳賞
1位マーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート)36pts
2位ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン)32pts
3位ロメン・シカール(フランス、ディレクトエネルジー)24pts
ヤングライダー賞
1位エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)29:29:25
2位サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)0:00:32
3位パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームスカイ)0:02:27
チーム総合成績
1位アスタナ87:51:34
2位モビスター0:04:45
3位アージェードゥーゼール0:04:54
text:Kei Tsuji
photo:CorVos