2018/06/13(水) - 09:11
今年で開催10年目を迎えたアルプスあづみのセンチュリーライド。4月22日に開催された「桜のAACR」で、大会プロデューサーの鈴木雷太さんが150kmコースをアンカーRL8で走ったインプレッションをお届け。日本ブランドが考える最新ミドルグレードロングライドモデルを、元五輪選手の鈴木さんはどう感じたのだろう。
AACRのプロデューサーである、元シドニー五輪MTBクロスカントリー代表選手の鈴木雷太さんは、安曇野地域周辺のサイクリング普及活動の先駆者であり、今もなおそのリーダーだ。
選手時代はブリヂストンアンカーのチーム員として活躍し、2000年のシドニー五輪にはクロモリフレーム「ネオコット」のMTBに乗って出場したAACRプロデューサーの鈴木雷太さん。ブリヂストンサイクルと鈴木さんとの関係は、そんな歴史と『大人のつながり』のなかで今も続き、その勢いで今回「RL8 ELITE」をイベント中に実走インプレッションすることになったのだ。 ロングライドをターゲットに開発された日本のアンカーのバイクを、日本を代表するロングライドイベントでその性能を試してみようというのが企画意図だ。
ここ数年、ブリヂストンアンカーはフレーム製作技術として「PROFORMAT」(プロフォーマット)という解析技術を推している。PROFORMATとは、「前に進む力を、最大にするための、解析技術」という英語を縮めたもの。車のタイヤでおなじみブリヂストングループの科学本部、ブリヂストン中央研究所とブリヂストンサイクルが組んだ、物事を読み解いて、再現するための技術だ。
例えばダウンチューブのカーボン素材を少し厚くするとライダーはどう感じるか、というのを具体的な数字にできる。しかも数値から結果を想定することもできる、という。
その「身体に感じて欲しいこと」と、理想である「無駄なき推進力」を一つ一つフレーム各部の数字で落とし込んでいった結果、PROFORMATを用いて開発された初のレーシングフレームである「RS9」は、その市場デビュー初年度(2016年)に、12年ぶりのロード全日本チャンプをチームブリヂストンアンカーにもたらした。
その思想をロングライド向けに、速さではなく『疲れにくさ』に焦点をあてて2017年モデルとして発表されたのが、ロングライドモデルの最高峰「RL9」が。そして1シーズンを経て、下位モデルとなった「RL8」をリニューアル(登場時の記事はこちら)。上位モデルRL9の設計と思想を、輪行などにも強い優れた耐久性のカーボン素材を用いて、より手頃な価格で再現したのがRL8というわけだ。
フルカーボンであるという軽さとシンプルさはもちろん、日本特有の輪行事情にも配慮した、日本のブランドによる日本のロングライドバイク。手頃な価格で丈夫なロングライドモデルRL8を、鈴木雷太さんは150kmを走ってどう感じたのか?
― 鈴木雷太さんのインプレッション in 桜のアルプスあづみのセンチュリーライド150km
鈴木雷太 例えば、プロが乗っているバイクって、すごくいいモノです。でも、それが製品となって実際にコンシュマーの手に渡るときには、品質や誤差が出てくるものなんですよね。特にサイクルショップをやっているとそれを感じる。でもアンカーのバイクはその誤差がほとんどない。これが日本ブランドの一番の魅力ということになるんですよね。製品として出すときのQC=クオリティ・コントロールが徹底してできている。
このRL8にも、そのアンカーらしさ、乗りやすさがありますね。例えば具体的に言うと、僕、ここのところ忙しくて全然乗れてないんですよね(笑)。だから体力としては、普通の人と同じぐらい。脚力の貯金もないし。
だからギュンギュンとペダルを漕げないし、グイグイとトルクあふれる走りなんてできなくて、なんていうか、「感性を活かした走り」になるんだけど、そんな中でもRL8は「ヒュンッ」って進んで行くんですよね。
それと、全体のブレのなさが気に入りましたね。スピードが出ているときでも、段差が続くような、路面が荒れているところでもブレにくい。振動はくるんだけれども、その収束が早いという。進行方向へのブレがほとんどないから、シャープな走りに感じられるんですよね。
ちょっとした登り返しのときも、ちょっとグイって踏んでいけば、全然ブレないからシャープに感じる。そういう意味でアンカーらしさ、全体的な乗りやすさが出ていますね。
その走りからは、丈夫なカーボンで、理想の形状を実現するというネオコットの考え方に近いものを感じますね。振動吸収を技術的なギミックで解決するんじゃなく、あくまで素材としてのしなりを活かして、軽く、優しく、壊れないものを目指すという。
フレーム全体の乗りやすさ、振動吸収性がうまく出ているので、誰が乗ってもその良さがわかりやすいと思うし、逆に全くわからないかもしれない(笑)。クセ無くナチュラルに乗れてしまうから、それが逆に普通に感じてしまうかもしれない。万人に優しい、日本ならではのつくり方。まさに日本のロードバイクですね。丸一日をRL8と一緒に走って、ロングライドバイクならではの走りを愉しみました。
素材を活かしきる形状を設計して、乗りやすさを追求する。実直な調査の積み重ねを得意とする日本ブランドならではの設計思想を、手頃な価格の素材で体現したRL8。鈴木さんの言う通り、ブリヂストンサイクルが考える2018年ロードバイクのスタンダードであるようだ。
アンカー RL8
フレーム:PROFORMAT 3ピース カーボン
サイズ:390、420、450、480、510、540mm
シートポスト径:27.2mm
BB規格:JIS
価格:
RL8 ELITE(シマノULTEGRA完成車) 335,000円(税抜)
RL8 EQUIPE(シマノ105完成車) 255,000円(税抜)
RL8フレームセット 180,000円(税抜)
鈴木雷太さんプロフィール
アルプスあづみのセンチュリーライド総合プロデューサー、プロショップBIKE RANCH(バイクランチ)代表。シドニー2000オリンピックMTB-XC競技出場。選手時代はチームブリヂストンアンカーにて幾度も全日本タイトルを獲得。多くの媒体でバイクのインプレを担当。現MTBナショナルチーム監督、安曇野地域のサイクリング文化振興にも余念がないサイクルマルチタレント。
BIKE RANCH http://www.bikeranch.jp/
text:Koichiro Nakamura
photo:Makoto.AYANO、Koichiro Nakamura、シクロワイアード編集部
AACRのプロデューサーである、元シドニー五輪MTBクロスカントリー代表選手の鈴木雷太さんは、安曇野地域周辺のサイクリング普及活動の先駆者であり、今もなおそのリーダーだ。
選手時代はブリヂストンアンカーのチーム員として活躍し、2000年のシドニー五輪にはクロモリフレーム「ネオコット」のMTBに乗って出場したAACRプロデューサーの鈴木雷太さん。ブリヂストンサイクルと鈴木さんとの関係は、そんな歴史と『大人のつながり』のなかで今も続き、その勢いで今回「RL8 ELITE」をイベント中に実走インプレッションすることになったのだ。 ロングライドをターゲットに開発された日本のアンカーのバイクを、日本を代表するロングライドイベントでその性能を試してみようというのが企画意図だ。
ここ数年、ブリヂストンアンカーはフレーム製作技術として「PROFORMAT」(プロフォーマット)という解析技術を推している。PROFORMATとは、「前に進む力を、最大にするための、解析技術」という英語を縮めたもの。車のタイヤでおなじみブリヂストングループの科学本部、ブリヂストン中央研究所とブリヂストンサイクルが組んだ、物事を読み解いて、再現するための技術だ。
例えばダウンチューブのカーボン素材を少し厚くするとライダーはどう感じるか、というのを具体的な数字にできる。しかも数値から結果を想定することもできる、という。
その「身体に感じて欲しいこと」と、理想である「無駄なき推進力」を一つ一つフレーム各部の数字で落とし込んでいった結果、PROFORMATを用いて開発された初のレーシングフレームである「RS9」は、その市場デビュー初年度(2016年)に、12年ぶりのロード全日本チャンプをチームブリヂストンアンカーにもたらした。
その思想をロングライド向けに、速さではなく『疲れにくさ』に焦点をあてて2017年モデルとして発表されたのが、ロングライドモデルの最高峰「RL9」が。そして1シーズンを経て、下位モデルとなった「RL8」をリニューアル(登場時の記事はこちら)。上位モデルRL9の設計と思想を、輪行などにも強い優れた耐久性のカーボン素材を用いて、より手頃な価格で再現したのがRL8というわけだ。
フルカーボンであるという軽さとシンプルさはもちろん、日本特有の輪行事情にも配慮した、日本のブランドによる日本のロングライドバイク。手頃な価格で丈夫なロングライドモデルRL8を、鈴木雷太さんは150kmを走ってどう感じたのか?
― 鈴木雷太さんのインプレッション in 桜のアルプスあづみのセンチュリーライド150km
鈴木雷太 例えば、プロが乗っているバイクって、すごくいいモノです。でも、それが製品となって実際にコンシュマーの手に渡るときには、品質や誤差が出てくるものなんですよね。特にサイクルショップをやっているとそれを感じる。でもアンカーのバイクはその誤差がほとんどない。これが日本ブランドの一番の魅力ということになるんですよね。製品として出すときのQC=クオリティ・コントロールが徹底してできている。
このRL8にも、そのアンカーらしさ、乗りやすさがありますね。例えば具体的に言うと、僕、ここのところ忙しくて全然乗れてないんですよね(笑)。だから体力としては、普通の人と同じぐらい。脚力の貯金もないし。
だからギュンギュンとペダルを漕げないし、グイグイとトルクあふれる走りなんてできなくて、なんていうか、「感性を活かした走り」になるんだけど、そんな中でもRL8は「ヒュンッ」って進んで行くんですよね。
それと、全体のブレのなさが気に入りましたね。スピードが出ているときでも、段差が続くような、路面が荒れているところでもブレにくい。振動はくるんだけれども、その収束が早いという。進行方向へのブレがほとんどないから、シャープな走りに感じられるんですよね。
ちょっとした登り返しのときも、ちょっとグイって踏んでいけば、全然ブレないからシャープに感じる。そういう意味でアンカーらしさ、全体的な乗りやすさが出ていますね。
その走りからは、丈夫なカーボンで、理想の形状を実現するというネオコットの考え方に近いものを感じますね。振動吸収を技術的なギミックで解決するんじゃなく、あくまで素材としてのしなりを活かして、軽く、優しく、壊れないものを目指すという。
フレーム全体の乗りやすさ、振動吸収性がうまく出ているので、誰が乗ってもその良さがわかりやすいと思うし、逆に全くわからないかもしれない(笑)。クセ無くナチュラルに乗れてしまうから、それが逆に普通に感じてしまうかもしれない。万人に優しい、日本ならではのつくり方。まさに日本のロードバイクですね。丸一日をRL8と一緒に走って、ロングライドバイクならではの走りを愉しみました。
素材を活かしきる形状を設計して、乗りやすさを追求する。実直な調査の積み重ねを得意とする日本ブランドならではの設計思想を、手頃な価格の素材で体現したRL8。鈴木さんの言う通り、ブリヂストンサイクルが考える2018年ロードバイクのスタンダードであるようだ。
アンカー RL8
フレーム:PROFORMAT 3ピース カーボン
サイズ:390、420、450、480、510、540mm
シートポスト径:27.2mm
BB規格:JIS
価格:
RL8 ELITE(シマノULTEGRA完成車) 335,000円(税抜)
RL8 EQUIPE(シマノ105完成車) 255,000円(税抜)
RL8フレームセット 180,000円(税抜)
鈴木雷太さんプロフィール
アルプスあづみのセンチュリーライド総合プロデューサー、プロショップBIKE RANCH(バイクランチ)代表。シドニー2000オリンピックMTB-XC競技出場。選手時代はチームブリヂストンアンカーにて幾度も全日本タイトルを獲得。多くの媒体でバイクのインプレを担当。現MTBナショナルチーム監督、安曇野地域のサイクリング文化振興にも余念がないサイクルマルチタレント。
BIKE RANCH http://www.bikeranch.jp/
text:Koichiro Nakamura
photo:Makoto.AYANO、Koichiro Nakamura、シクロワイアード編集部
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