ツール・ド・熊野の第1ステージは、レース中のアクシデントによりレースがキャンセルされることになった。個人総合順位、ポイント賞、U23賞などはプロローグ終了時のまま。山岳賞は設定されていた2回のうち1回のみ有効とされ、畑中勇介(チーム右京)が獲得した。



新宮市役所前のスタートラインに揃った3賞ジャージと田岡実千年新宮市長(写真左)仁坂吉伸和歌山県知事(写真右)新宮市役所前のスタートラインに揃った3賞ジャージと田岡実千年新宮市長(写真左)仁坂吉伸和歌山県知事(写真右) photo:Satoru Kato
周回コースまでの途中、断崖絶壁を流れる滝の前を通過する集団周回コースまでの途中、断崖絶壁を流れる滝の前を通過する集団 photo:Satoru Kato熊野川温泉さつき前から改めてスタート熊野川温泉さつき前から改めてスタート photo:Satoru Kato

ツール・ド・熊野の第1ステージは、新宮市役所前をパレードスタートし、赤木川沿いに設定された周回コースまで移動。周回コースで改めてスタートし、1周16.3kmを6周+15.4kmを走る113.2kmのステージだ。平坦基調のコースだが、3級山岳に指定される登りが1ヶ所あり、2周目と6周目通過時に山岳賞ポイントが与えられる。

前日の雨のプロローグから一転して朝から晴れて青空が広がった和歌山県新宮市周辺。パレードスタートが始まる午前10時40分頃に、この日の最高気温25.5℃を記録した。

リアルスタート直後からアタックが繰り返されるリアルスタート直後からアタックが繰り返される photo:Satoru Katoチャイニーズタイペイナショナルチームから出場しているバーレーン・メリダのフェン・チュンカイチャイニーズタイペイナショナルチームから出場しているバーレーン・メリダのフェン・チュンカイ photo:Satoru Kato

鮎釣りが解禁になった赤木川の橋の上を行く集団鮎釣りが解禁になった赤木川の橋の上を行く集団 photo:Satoru Kato
リアルスタート直後からアタック合戦が続く。畑中勇介(チーム右京)、山本元喜(キナンサイクリングチーム)、大久保陣(チームブリヂストンサイクリング )、新城雄大(キナンサイクリングチーム)、佐野淳哉(マトリックスパワータグ)らがアタックするが、いずれも集団が逃さずに吸収していく。

3周目 レースがストップ3周目 レースがストップ photo:Satoru Kato再スタートを協議するチームマネージャーと審判団再スタートを協議するチームマネージャーと審判団 photo:Satoru Kato

2周目のKOMを畑中が先頭通過し、レースは3周目へ。ここで、トンネル通過時に集団後方で落車が発生。トンネル内に設置されていたフェンスが倒れたため、レースがストップされた。

審判、主催者、各チーム監督が協議した結果、倒れたフェンスの修復が出来ず、安全が確保されないことから、レースはキャンセル。1回目のKOM通過は有効とし、集まった観客のために2周半をパレード走行して終了することが決定された。

この結果、個人総合順位、ポイント賞、U23賞、チーム総合はプロローグ終了時のまま変動なし。山岳賞は畑中が獲得した。

パレードはホストチームのキナンサイクリングチームが先導パレードはホストチームのキナンサイクリングチームが先導 photo:Satoru Kato
パレードとなってリラックスムードの畑中勇介(チーム右京)と阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)パレードとなってリラックスムードの畑中勇介(チーム右京)と阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru Kato3賞ジャージと畑中勇介(チーム右京)を先頭にパレードフィニッシュ3賞ジャージと畑中勇介(チーム右京)を先頭にパレードフィニッシュ photo:Satoru Kato

山岳賞 畑中勇介(チーム右京)山岳賞 畑中勇介(チーム右京) ©️Tour de KUMANO「アタック合戦の中でのKOM通過だったので、取りに行っても損はないと思って行きました。フェン・チュンカイ(チャイニーズタイペイナショナルチーム)も強く踏んでいたし、逃げが決まってもおかしくない状況でした。タイミングが良かったです。レースキャンセルは、20年やっていればこういうこともあると思ってネガティブには捉えていません」と畑中。

明日の第2ステージについては「チームにはツアー・オブ・ジャパンから引き続き調子の良い選手がいます。やはりキナン(サイクリングチーム)が強いので、勝負することになると思います。僕自身は全日本チャンピオンジャージに山岳賞ジャージを重ねて着るので、チームのために働くというのはあるけれど、ベストは尽くします」と語った。

個人総合首位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)個人総合首位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) ©️Tour de KUMANO一方、リーダージャージの阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)は、「正直に言いますと、労せずしてジャージを守れたのはラッキーでした。でも開催に尽力された方々にとっては残念なことだし、僕等はしっかりレースをして白黒つけられなかったことはちょっと煮え切らない感じはします」と、複雑なところを話す。

「明日はこのレースを決める大事な1日になるので、チームとしてはそういうところ(山岳)でしっかりレース出来るメンバーは限られているので、リーダージャージを着てようと全力でサポートしたいと思っています」

明日の第2ステージは2級山岳の丸山千枚田と、1級山岳の札立峠を登る。毎年このステージの結果が個人総合優勝を左右するが、第1ステージキャンセルの影響があるのか?注目のレースは午前10時スタートだ。
ツール・ド・熊野 個人総合時間順位(第1ステージ終了時)
ポイント賞(第1ステージ終了時)
1位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 10p
2位 ケイデン・グローヴス(セントジョージコンチネンタルサイクリングチーム) 9p
3位 黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム) 8p
山岳賞(第1ステージ終了時)
1位 畑中勇介(チーム右京) 2p
2位 フェン・チュンカイ(チャイニーズタイペイナショナルチーム) 1p
チーム総合時間順位(第1ステージ終了時)
1位 宇都宮ブリッツェン 2分34秒
2位 シマノレーシング +2秒
3位 愛三工業レーシングチーム +3秒
text&photo:Satoru Kato