バスクレース3日目に逃げ切り発生。アミー・ピータース(オランダ、ブールス・ドルマンス)が先着し、アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)は3秒差で総合リーダージャージを守った。



スタートを待つ総合首位のアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)スタートを待つ総合首位のアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) (c)CorVosUCIウィメンズワールドツアーランキング首位のアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンス)UCIウィメンズワールドツアーランキング首位のアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンス) (c)CorVos


歴史あるバスク地方の街アレチャバレタを発着する114.5kmが用意されたエマクメーン・ビラ(UCIウィメンズワールドツアー)の第3ステージ。平坦基調な前半を終えると2級、3級、2級とカテゴリー山岳が連続するアップダウンコースとなり、最後はダウンヒルがあるため逃げが決まりやすい。

雨が降る中アタック合戦が長くが、どれも決定的な抜け出しには繋がらない。集団ひとかたまりのまま最初の2級山岳(登坂距離3.9km/平均勾配6.1%)に入ると集団は20名程度に減り、アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)やアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンス)ら総合上位勢が抜け出す形となった。

メイン集団で走るアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)メイン集団で走るアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) (c)CorVos
しかし後続が次々と追いついたことでレースは振り出しに戻る。するとアップダウンコースでアミー・ピータース(オランダ、ブールス・ドルマンス)ら11名が飛び出し、一気に4分ものリードを稼ぎ出したことで逃げ切りへのチャンスを見出した。

残り30km地点の3級山岳では先頭グループからポーリエナ・ローイヤッケル(オランダ、ワオディールス)が単独アタックし、1分のリードを稼ぎ出す。しかし1対10では部が悪く、最終的にフィニッシュ4km手前で吸収に。フィニッシュ地点になだれこんだ頭をピータースが抑えてステージ優勝を飾った。

逃げ集団のスプリントを制したアミー・ピータース(オランダ、ブールス・ドルマンス)逃げ集団のスプリントを制したアミー・ピータース(オランダ、ブールス・ドルマンス) (c)CorVos
総合上位陣を含んだメイン集団は2分1秒遅れでフィニッシュしたため、逃げ切ったメンバーの多くが総合トップ10に割って入ることに。ファンフルーテンはステージ9位に入ったジョルジア・ウィリアムス(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット)から3秒差と辛くも総合リーダージャージを守った。

以下は苦しい一日を過ごした與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)のコメント。

「ステージ3日め。久しぶりに身体が全く動かない日。コースは登りと下りしかない、遅れると戻れないコース。昨日の個人TTを終え、色々があり、とても寝付きが悪く。普段の精神状態を保つのが難しい状況。体調は当然良くないです。無事でいるだけで充分な日もあります。

チームの作戦は後手に回らず逃げには誰かが乗ること。激しい雨嵐の後、レースはスタート。出入りもあり、私も積極的に動きました。逃げを作り自分も逃げて前待ち展開を作ろうと。

不調に苦しんだ與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)不調に苦しんだ與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) (c)Wiggle High5/Vélofocus
しかし40km過ぎから急激に身体が重くなり、エリサとリサを多少フォローするものの登りがどうにも登れず。60km過ぎの山岳ポイントでメイン集団からドロップ。何も出来ずにただ走るだけの日。

濡れた路面。苦手な下り。怖い。登り、身体がとても重い。はぁ、何しにここに来てるんだろう。こんなはずじゃない。いろいろ考えてしまいます。

チームはスウェーデンのエミリアが最後までメイン集団で展開し2位を獲得!私はとにかく無事これ名馬。転ばないように。明日のために安全にゴールをすることが出来ました。

ゴール後、皆でハグしておめでとう!チームメイトは笑い合える最高の仲間です。レース後は武井コーチから色々とご指導が。体調が悪い日は絶対に最後まで動かないこと。ステージレースは狙う日以外、とにかく無事に翌日に繋げること。それがプロとしての仕事と再度キツく言われました。今日が最終ステージ。エリサとリサのフォローを楽しみます!」

ステージ結果
1位 アミー・ピータース(オランダ、ブールス・ドルマンス) 3h02’00”
2位 エミリア・ファアリン(スウェーデン、ウィグル・ハイファイブ)
3位 クララ・コッペンベルグ(ドイツ、サーヴェロ・ビグラ)
4位 アン・サンテステバン(スペイン、アレ・チポッリーニ)
5位 マリア・ノヴォロドスカヤ(ロシア、コゲアス・メットラー)
6位 アリシア・ゴンザレス(スペイン、モビスター)
7位 デミ・デヨンフ(オランダ、ロット・スーダル)
8位 ポーリエナ・ローイヤッケル(オランダ、ワオディールス) +04”
9位 ジョルジア・ウィリアムス(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット)
10位 アノウスカ・コスター(オランダ、ワオディールス)
80位 萩原麻由子(アレ・チポッリーニ) +3’12”
86位 與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) +5’18”
個人総合成績
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) 6h29’38”
2位 ジョルジア・ウィリアムス(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット) +03”
3位 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンス) +12”
4位 クララ・コッペンベルグ(ドイツ、サーヴェロ・ビグラ) +27”
5位 アミー・ターテルス(オランダ、ブールス・ドルマンス) +42”
6位 リサ・ブレナウアー(ドイツ、ウィグル・ハイファイブ)
7位 ポーリエナ・ローイヤッケル(オランダ、ワオディールス) +48”
8位 アシュリー・モールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ) +53”
9位 エレナ・チェキーニ(イタリア、キャニオン・スラム) +1’32”
10位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +1’37”
ポイント賞
1位 リサ・ブレナウアー(ドイツ、ウィグル・ハイファイブ) 41pts
2位 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンス) 40pts
3位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) 37pts
山岳賞
1位 アシャ・パラディン(イタリア、ヴァルカーPBM) 13pts
2位 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンス) 7pts
3位 ポーリエナ・ローイヤッケル(オランダ、ワオディールス) 6pts
ヤングライダー賞
1位 マリア・ノヴォロドスカヤ(ロシア、コゲアス・メットラー) 6h32’08”
2位 アーフケ・ソエト(オランダ、WNT・ローター) +23”
3位 アレクサンドラ・マンリー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +30”
チーム総合成績
1位 ミッチェルトン・スコット 19h30’26”
2位 ウィグル・ハイファイブ +34”
3位 サーベロ・ビグラ +1’04”
text:So.Isobe
photo:CorVos