雨降るイモラサーキットでフィナーレを迎えたジロ12日目の選手コメント集。集団スプリントで2勝目を挙げたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)や、集団分裂について語る総合勢の言葉で1日を振り返ります。



ステージ2勝目を挙げたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)

スプリント賞1位の座も視界にとらえたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)スプリント賞1位の座も視界にとらえたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji
今日は下りの落車リスクを避けるため、そしてポジションを下げたくなかったので登りで前に出ていた。集団スプリント向きとは言えないようなタフなフィナーレで、サーキットに入った段階でまだ2人(モホリッチとベタンクール)が逃げたまま。逃げる彼らがどれだけ力を残しているのかわからなかったので、早めにスプリントを仕掛ける必要があった。でもあんなにもゴールが遠いところにあるとも思わなかった。幸いライバルよりも脚があったので逃げ切ることができたよ。

ステージ1勝目よりもこの2勝目のほうがエモーショナルだ。今の段階で僕の狙いはマリアチクラミーノではなく、ステージ優勝すること。もし中間スプリントで力を使えばゴール勝負でチャンスは減ってしまう。でもこの後状況が変わってくればポイント賞リーダーを狙うことも起こりうるよ。

ステージ2位のダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)

ステージ2位のダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)ステージ2位のダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ) (c)CorVos
あまりに早いベネットのアタックに驚かされた。”早すぎるだろ”と思ったけれど急加速していく彼を追いきれなかったよ。飛びつこうとしたけれど、彼は一瞬でリードを作りあげてしまった。最終盤はとてもトリッキーでひどく苦しんだけれど勝機があると思ったんだ。残念だけど調子は上向きだし、少しずつ勝ちに近づいているので次のチャンスを狙いたい。

終盤に逃げたマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)

終盤に逃げたマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)終盤に逃げたマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) (c)CorVos
雨とアップダウンで厳しい1日だった。高速で最後の登りに突入するとアタックが連発して、その流れに乗ってベタンクールと共に逃げた。濡れたダウンヒルで飛ばした後は協調体制が取れなくなってしまったけれど、彼はスプリントがあるし僕は2日前に勝っているのでまぁ当然のこと。あれ以上ペースを上げることはできなかったし、集団に飲み込まれる他なかった。

モホリッチと逃げたカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、モビスター)

残り300mで捕まってしまったけれど、これがロードレース。モホリッチと逃げたとき、ダウンヒルのスペシャリストである彼の後ろで下りをこなしてスプリントに持ち込めば勝てるかもしれないと思っていた。結局は逃げきれなかったものの、タフな状況で動けるだけのコンディションを披露できてよかった。

ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)

トレモンティで良い位置取りができ、脚も回っていたのでチャンスを見いだしてアタックした。頂上を通過した後もアタックを続けたものの、ゴールまで逃げ切るには集団とのリードが小さすぎた。

マリアローザをキープしているサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)

マリアローザを守ったサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)マリアローザを守ったサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
集団分裂が起きた時はチームメイトと一緒に集団前方に位置していた。無線で後ろが離れたとは聞いたけれど、誰が遅れたが、どんなに離れたかもわからなかったし、ポッツォヴィーヴォが遅れた情報が入ってきた時すでに彼は集団に戻ってきていたんだ。誰も雨の中でレースなんてしたくないけれど、僕は自分の機材、特にタイヤを信頼している。イモラサーキットは思ったよりもずっと難しいコースレイアウトだった。

総合2位につけるトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)

スタートを待つトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)スタートを待つトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) (c)CorVos
今日もまた生き残ることができた。前が見えないほど雨が降っていたので危険だったよ。平穏な集団スプリントステージになってほしかったけれど天候がレースを厳しいものにした。ここからスイッチを切り替えて、山岳ステージに向けて研ぎ澄ましていきたい。

総合5位、マリアビアンカのリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)

トレモンティ前の集団分裂で遅れかけた僕をチームが引き戻してくれた。分断が起こった瞬間にチームメイトが反応して、他の総合上位陣が遅れたチームと協力して事なきを得た。マリアビアンカをまた1日守る事ができたし、危ない状況を上手く切り抜けられたのでとても良かったよ。ベタンクールがステージを狙えたことも喜ばしいし、彼は残りのステージでまたチャンスを狙っていってくれるはず。

総合7位のローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)

横風で集団分裂が起きた時には驚いたし、集団前方に位置していた僕らにとってポッツォヴィーヴォや他の総合勢が40秒遅れたと聞いてエキサイトしたよ。遅れたメンバーからタイムを奪えると思ったんだ。残り10kmあたりでは(EFエデュケーションファーストの)ウッズの後ろにいたんだけど、彼は先にアタックしていた(セルジオ)エナオに加わろうと加速。疲れているように見えたので自分の脚とライバル勢の脚を試すためにこの動きに乗ってみたんだ。結局ウッズとエナオの協力が得られなかったのが痛手だったけれど、たとえ逃げたところでダウンヒルで捕まっていたと思う。とりあえず好調を確認できたので良かった。

text:So.Isobe