ツアー・オブ・カリフォルニアの開幕スプリントで、完璧なリードアウトを得たフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)が圧勝。総合リーダーに浮上した。



個人TTで注目を集めるテイラー・フィニー(EFエデュケーションファースト・ドラパック)個人TTで注目を集めるテイラー・フィニー(EFエデュケーションファースト・ドラパック) (c)Amgen Tour of California/Greg Mionskeファンに囲まれるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)ファンに囲まれるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) (c)Amgen Tour of California//Brian Hodes

カリフォルニアらしい眩しい太陽の下でスタート。静態保存されているクイーン・メリー号が背後に見えるカリフォルニアらしい眩しい太陽の下でスタート。静態保存されているクイーン・メリー号が背後に見える (c)CorVos
カリフォルニアを南から北へ。7日間1039.2kmで争われるアムジェン・ツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)が開幕した。

開幕ステージは、その名の通り人口1600万人を超える太平洋に面した港湾都市、ロングビーチ。砂浜に面した海岸道路を含む1周11kmほどのド平坦周回コースを12周する134.5kmコースで、カリフォルニアにずらり集結した強豪スプリンターが火花を散らすこととなった(見どころ記事はこちら)。

リアルスタートが切られるとすぐ、アンドレイ・クラシルニカウ(ベラルーシ、ホロウェスコ・シタデル)とタナー・プット(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)が逃げを開始する。メイン集団は誰も追撃することなくあっさりエスケープが決まり、マイペースで進む2名を集団が2分以内のタイム差で追う展開が長く続いた。

途中2ヶ所の中間スプリントポイントはいずれもプットが先着し、合計6秒のボーナスタイムを獲得。その後方では第1中間スプリントでマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)が、第2中間スプリントではカヴェンディッシュの動きを牽制したアルバロ・ホッジ(コロンビア、クイックステップフロアーズ)がそれぞれ3位通過し1秒を確保している。

1929年に建設されたロングビーチのランドマーク、ヴィラ・リビエラの隣を通過1929年に建設されたロングビーチのランドマーク、ヴィラ・リビエラの隣を通過 (c)CorVos
アンドレイ・クラシルニカウ(ベラルーシ、ホロウェスコ・シタデル)とタナー・プット(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)が逃げるアンドレイ・クラシルニカウ(ベラルーシ、ホロウェスコ・シタデル)とタナー・プット(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)が逃げる (c)Amgen Tour of California/Greg Mionskeクイックステップフロアーズやカチューシャ・アルペシンが主導権を握るクイックステップフロアーズやカチューシャ・アルペシンが主導権を握る (c)CorVos


逃げ続ける2名の後ろではスプリンターチームが主導権を握り続けた。クイックステップフロアーズとミッチェルトン・スコット、カチューシャ・アルペシンが先頭付近を固め、終盤にかけて徐々にプットとクラシルニカウのリードを削り取っていく。

最終周回の鐘を聞いた直後に2名が吸収されると、これまで集団内に息を潜めていたチームが代わる代わる先頭を奪いに現れる。地元チームの威信を見せたいホロウェスコ・シタデル、アージェードゥーゼル、ボーラ・ハンスグローエなどがハイペースを作ったが、ラスト1kmを前にクイックステップトレインを率いる6日間レースの名手、イーリョ・ケイセ(ベルギー)が猛然と加速し有利な状況を作った。

ミッチェルトン・スコットやハーゲンスベルマン・アクセオンの割り込みで隊列が乱れたものの、ホッジとマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)が連携の取れない他チームを置き去りにし、エースのフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)を発射する。

好位置から発進したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)好位置から発進したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) (c)CorVos
カリフォルニア初勝利を飾ったフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)カリフォルニア初勝利を飾ったフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) (c)CorVos
リケーゼの番手を奪おうとしたジャスパー・フィリプセン(ベルギー、ハーゲンスベルマン・アクセオン)を軽々と置き去りにし、追い上げるカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)やペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を抑えたガビリアが先着。最強トレインに導かれた23歳が、リーダージャージを射止めるカリフォルニア初勝利、そして今期チーム通算30勝目となるスプリントを見せつけた。

ジロ・デ・イタリアをスキップし、カリフォルニアを経て初のツール・ド・フランス出場とステージ優勝を目指すガビリアは、「イーリョが最高のポジションを奪い、アルバロがスピードを上げ、マックスが最高のリードアウト。完璧なチームワークを見せたクイックステップを誇りに思う」とチームに感謝する。「終盤はカオスだったけれど、スプリントはいつだって危険をはらんでいる。怪我明けでモチベーションも高く、今日は何としても勝ちたかったんだ。沿道に集まってくれた素晴らしいファンにも感謝したい」。

ステージトップスリーが表彰台に上がるステージトップスリーが表彰台に上がる (c)CorVosリーダージャージを手に入れたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)	リーダージャージを手に入れたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) (c)CorVos


またこの日、マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)は連携が取れずにそれぞれ4位と5位。後方に埋もれたカヴェンディッシュは10位に沈んだ。

翌第2ステージは、3級山岳を4つ越えた先にある超級山岳ジブラルタルロード(登坂距離12km/平均勾配8%)を登る山頂フィニッシュ。大会2日目にして大きく総合争いが動くこととなる。
ステージ結果
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 3h02’23”
2位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
3位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)
5位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
6位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、ハーゲンスベルマン・アクセオン)
7位 キール・レイネン(アメリカ、トレック・セガフレード)
8位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、サンウェブ)
9位 タイ・マグナー(アメリカ、ラリーサイクリング)
10位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)
個人総合成績
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 3h02’13”
2位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +04”
3位 タナー・プット(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
4位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) +06”
5位 アンドレイ・クラシルニカウ(ベラルーシ、ホロウェスコ・シタデル)
6位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) +09”
7位 アルバロ・ホッジ(コロンビア、クイックステップフロアーズ)
8位 マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) +10”
9位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
10位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、ハーゲンスベルマン・アクセオン)
ポイント賞
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 15pts
2位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 12pts
3位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 9pts
ヤングライダー賞
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 3h02’13”
2位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +04”
3位 アルバロ・ホッジ(コロンビア、クイックステップフロアーズ) +09”
チーム総合成績
1位 ミッチェルトン・スコット 9h07’09”
2位 ハーゲンスベルマン・アクセオン
3位 チームスカイ
text:So.Isobe
photo:CorVos/Amgen Tour of California

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