2日連続の登りスプリントに持ち込まれたジロ5日目の選手コメント集。前日のリベンジを果たしたエンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ)や、明日の山頂フィニッシュに向け意気込む総合勢らの言葉で1日を振り返ります。



ステージ優勝を飾ったエンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ)

4年ぶりのスプマンテを開けるエンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ)4年ぶりのスプマンテを開けるエンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ) photo:Kei Tsuji
本当の本当に今回の勝利が嬉しいよ。2014年の最後の勝利以降、ずっと勝利から見放されていた。落車もあり、安定感を欠いていた。自分の最高のレベルまで復調することができて嬉しく思う。一言で言えばジロのステージ優勝だけど、僕にとってはずっと大きな意味があるし、だからこそ美しい勝利になった。昨日はスプリント開始が早すぎてチャンスを失ったけど、好調の手応えを感じていたので自信を持って勝負した。昨日のミスを修正することができたんだ。今日は全てが作戦通りに運んだ。今の気持ちを上手く説明できないよ。

ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)の後ろからエンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ)が飛び出すジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)の後ろからエンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ)が飛び出す photo:Kei Tsuji
2位のジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)

2位は悪くないしチームのモチベーションにもなるけれど、当然手放しでは喜べない。生まれ故郷のシチリアで勝つのは僕の夢だったけれど、(終盤に遅れた)ドメニコ(ポッツォヴィーヴォ)を引き上げたことで脚が残っていなかったんだ。実際に残り14kmで彼が落車の影響で遅れた時にはパニックになったけど、チーム一丸となって彼を引き上げ、加速して人数が減っていく集団に戻すことができた。

3位のジョセ・ゴンサルベス(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)

結果には満足している。1位、2位という順位も不可能ではないと思えたし、今日のところは3位に入れてよかったと思う。

ステージ4位、マリアビアンカのマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ)

落車の足止めから復帰し4位に入ったマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ)落車の足止めから復帰し4位に入ったマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ) (c)CorVos
今日も混沌とした1日だったけど、チームメイトの助けで難しい状況を脱することができて良かったよ。落車で足止めを食らった後、クイックステップのジャージが僕を待っていたのを見て「何としても最後の丘の前に集団復帰する」と気持ちに火がついたんだ。最終コーナーではベストポジションじゃなかったものの、今日はたくさんのことを学んだ。将来的な糧になってくれると思うよ。

ジロ初日にマリアビアンカを着用できたけど、自分はまだたくさんのことを学んでいる最中。まだ大それた目標を言える段階にも達していないと自覚している。エトナ山で戦う用意も苦しむ用意もできた。ジャージを守りたいけれど、難しい課題であることも理解しているよ。とにかくここまでの僕のジロは完璧に運ぶことができた。ここからローマまでは貴重な経験を積むボーナスステージだと思って走りたい。

ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)らが競り合うドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)らが競り合う (c)CorVos
ステージ2連勝を狙ったティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・フィックスオール)

今日もチームは僕のために素晴らしい働きをしてくれ、特にサンデル・アルメは強力だった。前方に位置取っていたからこそトラブルに巻き込まれなかったし、もし僕らがメイン集団を牽かなければエスケープが逃げ切っていたと思う。向かい風で最初の3時間は超スローペースだったけど、終盤のペーシングはとても速かった。作戦としてはトッシュ・ヴァンデルサンドとアダム・ハンセンを最後の丘で発進させることだったが、かなりのハイペースで不可能だった。

逃げに乗ったライアン・ミューレン(アイルランド、トレック・セガフレード)

事前の打ち合わせをしていたわけじゃないけど、右側から自分が行って、左側からローランが行った。向かい風が強かったのでマイペースで進め、最初の補給所を過ぎてからペースを上げたんだ。

マリアローザを守ったローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)

マリアローザを着てエトナに挑むことになったローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)マリアローザを着てエトナに挑むことになったローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji
向かい風がスローペースを作り出したので、ストレスを感じながらも昨日と比べればずっとリラックスして過ごせた1日だった。ラスト2km区間は登りに備える動きが活発化して緊張感が高かったけれど、僕は集団の流れに乗って登りをこなした。残り500mでは良い位置取りができたので無駄な力を使わずフィニッシュできたよ。苦しんでいる選手たちを眺めつつ走れたので本当に調子が良かったんだと思う。

このジロでは日々経験を積んでいる。そう言うと退屈に聞こえるかもしれないけれど、これが僕のグランツールでの経験値の上げ方。明日はグランツールレーサーを目指す4年計画の中で大きな戦いになる。トレーニングの変更が吉と出るか凶と出るかが明日判明するんだ。これまでの小さな登りでは問題なかったけれど、エトナのような長距離ヒルクライムは根本的に全てが違ってくる。明日マリアローザを守ることは僕にとっての大きな目標だ。総合勢の中でのポジションが明確に分かるし、僕には可能だと思っている。なんとか食らいついて、マリアローザを守りたい。

総合2位のトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)

ゴール後に囲まれるトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)ゴール後に囲まれるトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) (c)CorVos
総合タイムを失うことなくフィニッシュできて良かった。今日のようなステージでは勝利よりも無難にまとめるのが最優先なので満足しているよ。明日はとても厳しい1日になるだろうけど、昨年の総合争いからどのような展開になるのかは学んだ。明日は総合順位が動くので翌日からは展開が少し落ち着くことを願っているよ。2日間ストレスフルなステージが続いた。脚の調子は良くも悪くもないけれど、明日の好調に繋がるサインだと信じているよ。

エトナ山を見据えるクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)

無難にステージをこなしたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)無難にステージをこなしたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) (c)CorVos
昨日よりは簡単なステージだったけれど、それでもトリッキーだった。残り20〜30kmあたりで何度か落車があって、少し集団の気が動転していた。チームメイトたちはあまり力を使わずポジション取りをしてくれたので、明日への力も残していると思う。

明日はTTでデュムランに勝てないピュアクライマーたちがここぞとばかりに攻めてくるはずだし、状況をよく見て走りたい。グランツール最初の山岳フィニッシュなので非常にアグレッシブな展開となるだろう。去年は向かい風であまり動きがなかったけれど、今年は状況が違いそうだ。

落車で遅れたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)について語るドミトリ・セドゥン監督

残り5kmの落車で43秒を失ったミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)残り5kmの落車で43秒を失ったミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) photo:Kei Tsuji
高速ダウンヒル中の落車だったものの、怪我は免れた。1日を通してチームメイトが彼を守っていたけれど、あの落車は単にバッドラックだった。そこから全力で彼を引き上げたものの集団復帰は不可能だった。もちろん悪いニュースではなかったが、幸い大きな負傷がなかったのが幸い。明日の第1山岳決戦に挑みたい。

text:So.Isobe