53名の精鋭集団スプリントでコルブレッリやコスタを下したオマール・フライレ(スペイン、アスタナ)がツール・ド・ロマンディ第1ステージ勝利。マシューズの脱落に伴い、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)がイエロージャージを手にした。



緑がまぶしいスイス西部の丘を走る緑がまぶしいスイス西部の丘を走る photo:Tour de Romandie

ツール・ド・ロマンディ2018第1ステージツール・ド・ロマンディ2018第1ステージ photo:Tour de Romandieツール・ド・ロマンディ第1ステージは、開幕地フリブールからフランス国境に近いジュラ州のドレモンまで北上する166.6km。4つのカテゴリー山岳(2級、3級、2級、2級)が設定されており、その獲得標高差は2,232m。合計2回通過する2級山岳ル・ソメ(全長6km/平均7%)とその後のアップダウンでアタックが繰り返された。

午後1時のスタートを前に、BMCレーシングの選手たちがスタートラインの最前列に並び、4月18日に白血病で亡くなったチームオーナーで実業家のアンディ・リース氏へ1分間の黙祷が捧げられた。BMCレーシングの選手たちは「アンディ」と書かれた黒い袖口のジャージを着てレースを走っている。

総合7位のウィリアム・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)やアレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)、アントワーヌ・デュシェーヌ(カナダ、グルパマFDJ)、レミー・メルツ(ベルギー、ロット・スーダル)、マルコ・ミナールト(オランダ、ワンティ・グループゴベール)の5名で形成された逃げグループは、メイン集団から最大6分のアドバンテージを築くことに成功。UCIワールドチーム所属選手を差し置いて、ワンティ・グループゴベールのミナールトが山岳ポイントを量産した。

BMCレーシングの選手たちとダヴィ・ラパルティアンUCI会長を先頭にアンディ・リース死に黙祷が捧げられたBMCレーシングの選手たちとダヴィ・ラパルティアンUCI会長を先頭にアンディ・リース死に黙祷が捧げられた photo:Tour de Romandie
逃げグループを形成するアントワーヌ・デュシェーヌ(カナダ、グルパマFDJ)ら逃げグループを形成するアントワーヌ・デュシェーヌ(カナダ、グルパマFDJ)ら photo:Tour de Romandie
サンウェブ率いるメイン集団が菜の花畑を走るサンウェブ率いるメイン集団が菜の花畑を走る photo:Tour de Romandie
総合リーダーチームのサンウェブがタイム差を詰めながら、後半のドレモン周回コースがスタートする。1回目の2級山岳ル・ソメでサンウェブがペースを刻むと、クイックステップフロアーズのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)とフェルナンド・ガビリア(コロンビア)を始め、ビッグスプリンターたちが脱落。総合2位のトム・ボーリ(スイス、BMCレーシング)も遅れていく。

2周目に入ると先頭はミナールトとグジャールの2人に絞られ、メイン集団に対して2分差で残り25km。メイン集団からはトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)らがカウンターアタックを仕掛けたが決まらず、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)がペースを作ると総合首位マシューズは脱落した。

バーレーン・メリダも集団先頭に上がってペースを上げると、残り11kmでダリオ・カタルド(イタリア)に発射される形でオマール・フライレ(スペイン、アスタナ)がアタック。これに反応したダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)がそのまま単独追走体勢に入り、頂上通過までに先頭のグジャールとミナールトに追いついた。エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)のSTRAVAログによると、集団はこの2級山岳ル・ソメ(全長6km/平均7%)を平均24.3km/hで上っている。ベルナルの登坂タイムは14分50秒で、平均出力351W、平均心拍176bpmだった。

先頭に追いついたマーティンだったが、その後の下り区間で脱落して先頭はグジャール単独に。そのグジャールも残り2kmで吸収され、平坦区間でゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)らが仕掛けるシーンも見られたがこれも決まらない。ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)のロングスパートを封じた50名強の集団によるスプリントが始まった。

勾配4%ほどの最終ストレートを50km/h近いスピードで駆け上がった選手たち。ライバルスプリンターたちの脱落によりチャンスが回ってきたソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)とルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)、そしてフライレが先頭でスプリントを繰り広げる。上りスプリントで最後までスピードが落ちないフライレに軍配が上がった。

上りスプリントを制したオマール・フライレ(スペイン、アスタナ)上りスプリントを制したオマール・フライレ(スペイン、アスタナ) photo:Tour de Romandie
シーズン2勝目を飾ったオマール・フライレ(スペイン、アスタナ)シーズン2勝目を飾ったオマール・フライレ(スペイン、アスタナ) photo:Tour de Romandie
パリ〜ニース最終ステージ2位、イツリア・バスクカントリー第5ステージ優勝、そしてアルデンヌクラシック3連戦をいずれも40位台で終えた27歳のフライレがシーズン2勝目。チームにシーズン13勝目をもたらしたフライレは「集団スプリントに向けて、終盤はダリオ・カタルドとヤコブ・フルサングがアタックを全て封じ込めてくれた。スピードのあるソニー・コルブレッリが最大のライバルになると分かっていたので、彼の番手につけて、残り300mから加速したんだ。残り100mから勾配が増したけど、良い判断だったと思う。残りのステージに向けてチームのモチベーションに繋がるし、調子の良いヤコブの総合成績のため明日から精一杯働きたい」とコメントしている。

総合1位マシューズと総合2位ボーリが脱落したため、総合3位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)がイエロージャージを獲得。ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)がタイム差なしの総合2位につけている。

総合首位に立ったプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)総合首位に立ったプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) photo:Tour de Romandie

ツール・ド・ロマンディ2018第1ステージ結果
1位 オマール・フライレ(スペイン、アスタナ) 4:03:42
2位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
4位 ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)
5位 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
6位 エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)
7位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)
8位 シャンドロ・ムーリセ(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)
9位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)
10位 エロス・カペッキ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
79位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) 0:05:14
90位 別府史之(日本、トレック・セガフレード) 0:09:34
個人総合成績
1位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) 4:09:16
2位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 0:00:04
4位 ディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ) 0:00:05
5位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)
6位 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) 0:00:08
7位 エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) 0:00:10
8位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チームスカイ)
9位 ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
10位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) 0:00:13
ポイント賞
1位 オマール・フライレ(スペイン、アスタナ) 50pts
2位 ウィリアム・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) 43pts
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) 30pts
山岳賞
1位 マルコ・ミナールト(オランダ、ワンティ・グループゴベール) 29pts
2位 アントワーヌ・デュシェーヌ(カナダ、グルパマFDJ) 17pts
3位 アレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール) 13pts
ヤングライダー賞
1位 エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) 4:09:26
2位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) 0:00:05
3位 ニコラ・コンチ(イタリア、トレック・セガフレード)
チーム総合成績
1位 BMCレーシング 12:28:01
2位 チームスカイ 0:00:06
3位 EFエデュケーションファースト・ドラパック 0:00:17
text:Kei.Tsuji

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