4月17日に開催されたツアー・オブ・アルプス第2ステージでアスタナが再び勝利。標高1,750mのアルペ・ディ・パンペアーゴの山頂フィニッシュでミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)がフルームやピノを下した。


美しい北イタリアの山岳地帯を進む美しい北イタリアの山岳地帯を進む photo:Tour of the Alps

ツアー・オブ・アルプス2018第2ステージツアー・オブ・アルプス2018第2ステージ photo:Tour of the Alpsツアー・オブ・アルプス第2ステージは、ラヴァローネからアルペ・ディ・パンペアーゴまでの144.5km。前半に標高1,455mの1級山岳レデブス峠(全長15.7km/平均6.2%)を越え、最後は標高1,750mのアルペ・ディ・パンペアーゴ(全長7.7km/平均9.8%)を駆け上がる。これまでジロ・デ・イタリアに5回登場しているアルペ・ディ・パンペアーゴは後半にかけて11%前後の急勾配(最大勾配15%)が続く難所だ。

カンタン・ジョレギ(フランス、アージェードゥーゼール)やマルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニ・シデルメク)、ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)を含む6名の逃げが、メイン集団に5分差をつけて1級山岳レデブス峠を越えていく。この峠を先頭通過したステファン・ラビッチュ(オーストリア、フェルバーマイヤー・シンプロン)は山岳賞ランキングの首位に立っている。

グルパマFDJとUAEチームエミレーツが積極的にペースを作るメイン集団は、逃げグループとの間合いを詰めながら最後のアルペ・ディ・パンペアーゴへと向かう。タイム差が1分45秒にまで縮まったところで急勾配の上りが始まった。

最高気温が25度を超える暖かさに包まれた北イタリア最高気温が25度を超える暖かさに包まれた北イタリア photo:Tour of the Alps
ワイン畑が広がる山岳地帯を走るワイン畑が広がる山岳地帯を走る photo:Tour of the Alps
リーダージャージを着るペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)リーダージャージを着るペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) photo:Tour of the Alps
先頭でジョレギが独走に持ち込んだ一方で、グルパマFDJがペースを作るメイン集団ではクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が一時的に後方に下がる。グルパマFDJによるペースメイクによって逃げていたジョレギは残り5km地点で吸収。そこからは、フルームを引き上げたチームスカイが集団先頭でペースメイクを開始した。

森の中を直線的に上る峠で、残り3kmを切るとヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ)やリカルド・ゾイドル(オーストリア、フェルバーマイヤー・シンプロン)が仕掛けたがチームスカイがこれを許さない。リーダージャージを着るペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)は徐々に集団から遅れていく。

ケニー・エリッソンド(フランス、チームスカイ)のペースアップによって10名に絞られた集団から、残り1kmアーチ通過と同時にクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)がハイケイデンス&シッティングでアタックする。フルームのこの加速とその後のティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)とドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)のアタックによって先頭は5名にまで絞られた。

誰も飛び出すことができないまま、フルーム、ポッツォヴィーヴォ、ピノ、ロペス、そしてヤングライダー賞ジャージのイバン・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク)が先頭でフィニッシュへ。残り100mから始まった上りスプリントでフルームと同時に加速したロペスがピノとソーサを振り切った。ステージ2位に入ったピノのSTRAVAログによると、平均勾配10%弱の上りをトップ選手たちは平均スピード17.3km/hで登坂。VAMは1,720mに達している。

残り1km地点からアタックを仕掛けたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)残り1km地点からアタックを仕掛けたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tour of the Alps
上りスプリントで先頭に立つミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)上りスプリントで先頭に立つミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) photo:Tour of the Alps
上りスプリントに勝利したミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)上りスプリントに勝利したミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) photo:Tour of the Alps
アスタナが開幕2連勝。ピノやフルームといったビッグレーサーを下した24歳のコロンビアンクライマーは「今日は終始チームメイトたちに守られながら走った。数々の歴史が刻まれたとてもハードな上りで勝利するのは名誉なこと。ライバルたちの動きを常にコントロールできていたし、上りスプリントに備えて力を溜めていたんだ」とコメントする。2016年のツール・ド・スイスで総合優勝を飾っているロペスはアスタナのエースとしてジロ・デ・イタリアに初出場する予定だ。

そしてリーダージャージは2日連続でステージ3位に入ったソーサの手に渡った。クイーンステージを終えて、アンドローニ・シデルメクに所属するプロ2年目の20歳がピノとロペスに6秒差、フルームに16秒差をつけて総合首位を走る。残り3つの山岳ステージでUCIワールドチームが巻き返しを図ってくるだろう。

総合首位に立った20歳のイバン・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク)総合首位に立った20歳のイバン・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク) photo:Tour of the Alps
ツアー・オブ・アルプス2018第2ステージ結果
1位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) 3:55:30
2位 ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)
3位 イバン・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク)
4位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 0:00:04
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) 0:00:07
6位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF) 0:00:14
7位 ヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ) 0:00:20
8位 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) 0:00:27
9位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエルサイクリングアカデミー) 0:00:31
10位 ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) 0:00:34
76位 中根英登(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) 0:07:45
84位 伊藤雅和(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) 0:08:53
個人総合成績
1位 イバン・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク) 7:22:09
2位 ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) 0:00:06
3位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)
4位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 0:00:16
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) 0:00:19
6位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF) 0:00:26
7位 ヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ) 0:00:36
8位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエルサイクリングアカデミー) 0:00:43
9位 ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) 0:00:50
10位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) 0:01:17
山岳賞
1位 ステファン・ラビッチュ(オーストリア、フェルバーマイヤー・シンプロン) 12pts
2位 マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニ・シデルメク) 11pts
3位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF) 6pts
ヤングライダー賞
1位 イバン・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク) 7:22:09
2位 マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・メリダ) 0:01:35
3位 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) 0:01:51
チーム総合成績
1位 アスタナ 22:08:16
2位 アンドローニ・シデルメク 0:06:14
3位 チームスカイ 0:06:50
text:Kei Tsuji
photo:Tour of the Alps

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