イタリア北部のレンティーノ=アルト・アディジェ州からオーストリアにかけての山岳地帯を舞台に開催されるツアー・オブ・アルプスが開幕。フルームやアル、ピノが出場するジロ前哨戦の初日にペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)が勝利を飾った。
トレンティーノ=アルト・アディジェ州の渓谷を進む photo:Tour of the Alps
ツアー・オブ・アルプス2018第1ステージ photo:Tour of the Alps1962年の初開催以降ジロ・デル・トレンティーノ(UCI2.HC)として開催されてきたジロ・デ・イタリア前哨戦が2017年にツアー・オブ・アルプスへと名称を変更。開催地をイタリアのトレンティーノ=アルト・アディジェ州からオーストリアまで拡大するとともに、開催期間を4日間から5日間に延長した。
「アルプス」の名前を冠してるだけに山岳の比率が極めて高く、毎年クライマーたちが総合争いを繰り広げる。第42回に出場するのはチームスカイ、アージェードゥーゼール、UAEチームエミレーツ、アスタナ、ボーラ・ハンスグローエ、ディメンションデータ、グルパマFDJ、ロットNLユンボ、バーレーン・メリダを含む20チーム。NIPPOヴィーニファンティーニからは、歴代最多の大会3勝を誇るダミアーノ・クネゴ(イタリア)の他、中根英登と伊藤雅和が顔を揃えた。
中でも注目を集めているのが、ジロへの出場を予定しているクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)の存在だ。チームスカイは2015年リッチー・ポート(オーストラリア)、2016年ミケル・ランダ(スペイン)、2017年ゲラント・トーマス(イギリス)と大会3連覇中であり、ジロに向けて最終調整に入ったフルームによる4連覇に期待がかかる。
大会初日はトレンティーノ=アルト・アディジェ州のアルコからフォルガリアまでの134.6km。終盤にかけて2級山岳セラーダ(全長19.2km/平均5.5%)を駆け上がる。残り6.6km地点で2級山岳セラーダのピークを越えてから下りと平坦路をこなし、フォルガリアの街中を駆け上がる10%坂をこなしてフィニッシュ。獲得標高差2,400mの山岳ステージが早速選手たちの仕上がり具合を試した。
北イタリアの山岳地帯へと入っていく photo:Tour of the Alps
ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)にマークされながら走るクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tour of the Alps
ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、ディメンションデータ)やアレクセイ・サラモティンス(ラトビア、ボーラ・ハンスグローエ)、パスカル・エーンクホーン(オランダ、ロットNLユンボ)を含む9名が序盤から逃げたものの、タイム差は3〜4分に押さえ込まれる。2級山岳セラーダに差し掛かった時点でタイム差は2分台にまで縮まり、グルパマFDJが指揮するメイン集団は残り13km地点で逃げを吸収した。
逃げ吸収とともにセバスティアン・ライヘンバッハ(スイス、グルパマFDJ)がカウンターアタックを仕掛け、これに反応したジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF)が軽快に先頭を奪って独走開始。2016年のジロ・デ・イタリアでステージ優勝を飾っているクライマーがそのまま2級山岳セラーダを単独登頂した。
後方ではライヘンバッハの吸収とともに動いたティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)がチームスカイ勢によって捉えられ、ケニー・エリッソンド(フランス、チームスカイ)がペースを作る集団から続いてファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)がアタック。集団先頭では矢継ぎ早にアタックがかかり、アルの吸収とともに今度はフルームが急加速した。
フルームの加速に食らいつくことができたのはピノとドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)だけ。先頭チッコーネを視界にとらえながらフルームら4名は2級山岳セラーダを越えていく。フルームが公開しているSTRAVAのGPSログによると、選手たちは平均勾配5.5%の2級山岳セラーダを平均スピード26.8km/hで駆け上がっている(VAMは1,466m)。
4名の精鋭グループ(フルーム、ピノ、ポッツォヴィーヴォ、ベネット)はすぐさま先頭チッコーネを吸収して先を急いだが、下り区間で続々と後続が追いついて15名にまで人数を増やす。この精鋭グループ内に5名(ロペス、サンチェス、ツェイツ、ヒルト、ビルバオ)を送り込んだアスタナが数の利を生かして攻撃を続行。テクニカルなワインディングロードで抜け出したペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)が独走を開始した。
フィニッシュ手前のフォルガリアの上りを耐え抜いたビルバオがそのままフィニッシュラインまで独走し、追いすがるイバン・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク)のチェックに入ったルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)がステージ2位。アスタナがワンツー勝利で大会をスタートさせた。
集団前方で上りをこなすクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tour of the Alps
独走フィニッシュしたペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) photo:Tour of the Alps
「先頭グループ内にアスタナは5人が入る有利な展開だった。アタックがかかった2級山岳で一旦遅れたものの、チームメイトたちと一緖に先頭に復帰。下りでチャンスがあると判断してアタックしたんだ。残り500mから上りだと知っていたので逃げ切れるか分からなかったけど、下りでしっかりと脚を休めることができたので何とか逃げ切った。チームとして強力でスマートなレースを展開できてよかったよ」と、2011年にエウスカルテル・エウスカディでプロ入りし、2014年からカハルーラル、2017年からアスタナで走る28歳は喜ぶ。「ちょうど1年前のこのアルプス初日にアスタナのミケーレ・スカルポーニがステージ優勝してこのリーダージャージを着た。今もチームは彼を想いながら走っている。この勝利をミケーレに捧げたいし、今日はチームとして成績を残したかった」とビルバオは語っている。
初日から積極的な走りを見せたフルームやピノは10秒遅れでフィニッシュ。アルやミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)は14秒遅れで初日をスタートさせている。フルームは「距離が短く、予想通り爆発力が必要なステージだった。ジロに向けて正しい方向を向いていること、そして調子の良さを確認できたよ。今日のような短いステージでライバルたちの調子を読み解くのは難しい。総合で20秒遅れなので、これからはボーナスタイムが重要になると思う。明日の山岳ステージは今週最も危険かもしれない」とコメントしている。
リーダージャージを手にしたペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) photo:Tour of the Alps


「アルプス」の名前を冠してるだけに山岳の比率が極めて高く、毎年クライマーたちが総合争いを繰り広げる。第42回に出場するのはチームスカイ、アージェードゥーゼール、UAEチームエミレーツ、アスタナ、ボーラ・ハンスグローエ、ディメンションデータ、グルパマFDJ、ロットNLユンボ、バーレーン・メリダを含む20チーム。NIPPOヴィーニファンティーニからは、歴代最多の大会3勝を誇るダミアーノ・クネゴ(イタリア)の他、中根英登と伊藤雅和が顔を揃えた。
中でも注目を集めているのが、ジロへの出場を予定しているクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)の存在だ。チームスカイは2015年リッチー・ポート(オーストラリア)、2016年ミケル・ランダ(スペイン)、2017年ゲラント・トーマス(イギリス)と大会3連覇中であり、ジロに向けて最終調整に入ったフルームによる4連覇に期待がかかる。
大会初日はトレンティーノ=アルト・アディジェ州のアルコからフォルガリアまでの134.6km。終盤にかけて2級山岳セラーダ(全長19.2km/平均5.5%)を駆け上がる。残り6.6km地点で2級山岳セラーダのピークを越えてから下りと平坦路をこなし、フォルガリアの街中を駆け上がる10%坂をこなしてフィニッシュ。獲得標高差2,400mの山岳ステージが早速選手たちの仕上がり具合を試した。


ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、ディメンションデータ)やアレクセイ・サラモティンス(ラトビア、ボーラ・ハンスグローエ)、パスカル・エーンクホーン(オランダ、ロットNLユンボ)を含む9名が序盤から逃げたものの、タイム差は3〜4分に押さえ込まれる。2級山岳セラーダに差し掛かった時点でタイム差は2分台にまで縮まり、グルパマFDJが指揮するメイン集団は残り13km地点で逃げを吸収した。
逃げ吸収とともにセバスティアン・ライヘンバッハ(スイス、グルパマFDJ)がカウンターアタックを仕掛け、これに反応したジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF)が軽快に先頭を奪って独走開始。2016年のジロ・デ・イタリアでステージ優勝を飾っているクライマーがそのまま2級山岳セラーダを単独登頂した。
後方ではライヘンバッハの吸収とともに動いたティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)がチームスカイ勢によって捉えられ、ケニー・エリッソンド(フランス、チームスカイ)がペースを作る集団から続いてファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)がアタック。集団先頭では矢継ぎ早にアタックがかかり、アルの吸収とともに今度はフルームが急加速した。
フルームの加速に食らいつくことができたのはピノとドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)だけ。先頭チッコーネを視界にとらえながらフルームら4名は2級山岳セラーダを越えていく。フルームが公開しているSTRAVAのGPSログによると、選手たちは平均勾配5.5%の2級山岳セラーダを平均スピード26.8km/hで駆け上がっている(VAMは1,466m)。
4名の精鋭グループ(フルーム、ピノ、ポッツォヴィーヴォ、ベネット)はすぐさま先頭チッコーネを吸収して先を急いだが、下り区間で続々と後続が追いついて15名にまで人数を増やす。この精鋭グループ内に5名(ロペス、サンチェス、ツェイツ、ヒルト、ビルバオ)を送り込んだアスタナが数の利を生かして攻撃を続行。テクニカルなワインディングロードで抜け出したペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)が独走を開始した。
フィニッシュ手前のフォルガリアの上りを耐え抜いたビルバオがそのままフィニッシュラインまで独走し、追いすがるイバン・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク)のチェックに入ったルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)がステージ2位。アスタナがワンツー勝利で大会をスタートさせた。


「先頭グループ内にアスタナは5人が入る有利な展開だった。アタックがかかった2級山岳で一旦遅れたものの、チームメイトたちと一緖に先頭に復帰。下りでチャンスがあると判断してアタックしたんだ。残り500mから上りだと知っていたので逃げ切れるか分からなかったけど、下りでしっかりと脚を休めることができたので何とか逃げ切った。チームとして強力でスマートなレースを展開できてよかったよ」と、2011年にエウスカルテル・エウスカディでプロ入りし、2014年からカハルーラル、2017年からアスタナで走る28歳は喜ぶ。「ちょうど1年前のこのアルプス初日にアスタナのミケーレ・スカルポーニがステージ優勝してこのリーダージャージを着た。今もチームは彼を想いながら走っている。この勝利をミケーレに捧げたいし、今日はチームとして成績を残したかった」とビルバオは語っている。
初日から積極的な走りを見せたフルームやピノは10秒遅れでフィニッシュ。アルやミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)は14秒遅れで初日をスタートさせている。フルームは「距離が短く、予想通り爆発力が必要なステージだった。ジロに向けて正しい方向を向いていること、そして調子の良さを確認できたよ。今日のような短いステージでライバルたちの調子を読み解くのは難しい。総合で20秒遅れなので、これからはボーナスタイムが重要になると思う。明日の山岳ステージは今週最も危険かもしれない」とコメントしている。

ツアー・オブ・アルプス2018第1ステージ結果
1位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 3:26:41 |
2位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 0:00:06 |
3位 | イバン・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク) | |
4位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:10 |
5位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | |
6位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
7位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | |
8位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF) | |
9位 | ベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエルサイクリングアカデミー) | |
10位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:14 |
75位 | 中根英登(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) | 0:09:27 |
115位 | 伊藤雅和(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) | 0:13:00 |
個人総合成績
1位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 3:26:31 |
2位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 0:00:10 |
3位 | イバン・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク) | 0:00:12 |
4位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:20 |
5位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | |
6位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
7位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | |
8位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF) | |
9位 | ベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエルサイクリングアカデミー) | |
10位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:24 |
山岳賞
1位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF) | 6pts |
2位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 4pts |
3位 | ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、ディメンションデータ) | 3pts |
ヤングライダー賞
1位 | イバン・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク) | 3:26:43 |
2位 | マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・メリダ) | 0:00:12 |
3位 | ニコラ・コンチ(イタリア、イタリアナショナルチーム) | 0:01:02 |
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 10:20:23 |
2位 | バーレーン・メリダ | 0:01:17 |
3位 | UAEチームエミレーツ | 0:02:05 |
text:Kei Tsuji
photo:Tour of the Alps
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