パリ〜ルーベを走った各チームのバイクを紹介する第1弾。優勝したペテル・サガンの特別バイク、アレクサンドル・クリストフやワウト・ヴァンアールトの特別塗装を始め、百花繚乱の石畳対策各種にフォーカス。



ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
スペシャライズド S-Works Roubaix


ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)のスペシャライズド S-Works Roubaixペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)のスペシャライズド S-Works Roubaix photo:Makoto.Ayano
ボーネンが2012年にアタックした場所でライバルを置き去りにし、初のパリ〜ルーベ制覇を果たした世界王者のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)。ロンド・ファン・フラーンデレンに続いてゴールドカラーの特別バイクをルーベでも使った。

バイクはもちろん、スペシャライズドがパリ〜ルーベのために生み出したS-Works Roubaix。ただしホイール交換時のリスクを踏まえ、昨年に引き続き一般発売されていない特別なリムブレーキモデルをメインバイクに使用した。これはホリゾンタルに近い市販品とは異なるフォルムを採用したフランドルクラシック専用モデルだ。

ゴールドに輝くサガンのネームゴールドに輝くサガンのネーム photo:Makoto.Ayanoステム上部にフューチャーショックのロックアウトと思われるダイヤルが確認できるステム上部にフューチャーショックのロックアウトと思われるダイヤルが確認できる photo:Makoto.Ayano

ロヴァールのCLX50ホイールに28mmのHell of the Northタイヤを組み合わせるロヴァールのCLX50ホイールに28mmのHell of the Northタイヤを組み合わせる photo:Makoto.Ayano一部アシスト選手はS-Works Venge Viasを選択した一部アシスト選手はS-Works Venge Viasを選択した photo:Makoto.Ayano


Roubaix独自のフューチャーショックもアップデートが加えられ、ロックアウト、もしくはダンパーと思われるダイヤルがステム上に確認できる。機械式のR9100系デュラエースはサガンのフランドル用定番カスタムで、ロンド用のS-Works Tarmacにも使われていたワンオフ品と思われるダイレクトマウントタイプのディレイラーハンガーを引き続き使用した。ホイールはロヴァールのCLX50で、28mmのHell of the Northタイヤを組み合わせた。

ボーラ・ハンスグローエは今年からPROのハンドル類を使っているが、相変わらずサガンはジップのSL SPRINTステムを愛用中。wahooのコンピュータを固定するK-Edgeのマウントは、コンピュータのエアロフォルムとツライチになる専用の未発表モデル。K-Edgeによれば来週中に新製品アナウンスが行われるという。

スペアバイクはディスクブレーキ仕様。FMBの30mmタイヤを組み合わせたスペアバイクはディスクブレーキ仕様。FMBの30mmタイヤを組み合わせた photo:Makoto.Ayano
また、チームカーのルーフ上に搭載されていたサブバイクは、メインバイクと同じゴールドカラーにペイントされたディスクブレーキモデル。ただしホリゾンタル寄りのジオメトリーを持つ特別タイプと思われ、スペシャライズドのパリ〜ルーベに対する意気込みが垣間見える。なおセットされていたタイヤはFMBの30mm幅であり、両バイクのセッティングの違いが興味深い。

平坦基調の高速レースであることから、アシスト勢の中にはS-Works Venge Viasを選択した選手も。ただし現在ラインアップから消えたリムブレーキモデルであり、メカ作業の複雑さからVenge専用のAerofly ViASコクピットではなくノーマルハンドル+ステムが用いられている。



アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
コルナゴ V2-R


アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)のコルナゴ V2-Rアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)のコルナゴ V2-R photo:Makoto.Ayano
重量級スプリンターのアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)は、ヨーロッパチャンピオンカラーにペイントされたコルナゴの軽量モデルV2-Rでパリ〜ルーベに挑んだ。発表されたばかりのハイエンドモデル、C64を駆る選手も存在し、その割合は半々程度。

UAEチームエミレーツは数少ないカンパニョーロサポートチームであり、メンバー全員がスーパーレコードEPSを使う。ただしルーベ用のカスタムとして、リアホイール脱着の利便性を踏まえてシマノのクイックレリーズ式ケーブルアジャスターをシマノロゴを塗り潰した上で数台のバイクに搭載していた。また、レコードグレードのブレーキキャリパーを搭載するバイクも。

石畳用に強化したヴィットリアのCORSA CONTROL。クリストフはスキンサイドを使う石畳用に強化したヴィットリアのCORSA CONTROL。クリストフはスキンサイドを使う photo:Makoto.Ayano高速レースを見据えてチェーンリングは53-46T高速レースを見据えてチェーンリングは53-46T photo:Makoto.Ayano

通常レースで使うC64を選択した選手も半数程度存在した通常レースで使うC64を選択した選手も半数程度存在した photo:Makoto.Ayano
コンポーネントはスーパーレコードEPSだが、レコードのブレーキキャリパーを使うバイクもコンポーネントはスーパーレコードEPSだが、レコードのブレーキキャリパーを使うバイクも photo:Makoto.Ayanoリアホイール脱着の利便性を図るべく、シマノのクイックレリーズ式ケーブルアジャスターを利用リアホイール脱着の利便性を図るべく、シマノのクイックレリーズ式ケーブルアジャスターを利用 photo:Makoto.Ayano


ホイールは多くの選手がBORA ULTRA 35を使用し、タイヤは石畳用に強化したCORSA CONTROLでスキンサイドと通常タイプの2種類が使い分けられていた。高速レースを想定してクリストフのチェーンリング歯数は53-46Tで、ボトルケージは定番のCiussi GELに換装されていた。



イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・スーダル)
リドレー NOAH SL


イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・スーダル)のリドレー NOAH SLイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・スーダル)のリドレー NOAH SL photo:Makoto.Ayano
ニコラス・マース(ベルギー)のバイクのトップチューブに貼られていた空気圧のメモニコラス・マース(ベルギー)のバイクのトップチューブに貼られていた空気圧のメモ photo:Makoto.AyanoホイールはBORA ULTRA 50、タイヤは25mmと細めのCORSAホイールはBORA ULTRA 50、タイヤは25mmと細めのCORSA photo:Makoto.Ayano


10位フィニッシュを果たしたイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・スーダル)が駆ったのは、リドレーのエアロロードであるNOAH SL。他に軽量オールラウンダーのHELIUM SLXを選択した選手もいた。

ロット・スーダルはUAEと同じくカンパニョーロのサポートチームでスーパーレコードEPSを使用するが、BORA ULTRA 50をメインで使用するなど選択の違いが興味深い。タイヤはヴィットリアのCORSAで、デブシェールはルーベ用としては細身の25mmをチョイス。ニコラス・マース(ベルギー)のバイクのトップチューブには「4.9/5.2」と空気圧を示すメモ書きが貼られていた。

ボトムブラケットはチームと同じベルギーブランドのC-BEARで、アウターケーブルはジャグワイヤーの分割式でそれぞれチューニング済みで、ペダルの踏面にリザードスキンズのバーテープを貼るのはチーム定番の音鳴りとスリップ防止対策。サドルはセライタリアで、デブシェールはショートノーズのFlite TTを使用する。



ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスヴィレムス・クレラン)
スティーヴンス Xenon


ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスヴィレムス・クレラン)のスティーヴンス Xenonワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスヴィレムス・クレラン)のスティーヴンス Xenon photo:Makoto.Ayano
初のパリ〜ルーベ挑戦で13位に食い込んだシクロクロス世界王者、ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスヴィレムス・クレラン)が駆ったのはロンドに引き続きスティーヴンスのオールラウンドモデル、Xenon。スティーヴンスがレース直前の記者会見でお披露目させた特別ペイントが目を引く。

ヘッドチューブにはヴァンアールトのイラストが、フレーム各所に石畳のグラフィックが入るフレームは、パリ〜ルーベのために作られたもの。トップチューブには石畳セクター表があらかじめ表記され、シートステーには「Go hard or go gome」のスローガンも加えられている。

サブブレーキとRed eTapの変速スイッチ「Blips」を搭載したハンドル周りサブブレーキとRed eTapの変速スイッチ「Blips」を搭載したハンドル周り photo:Makoto.Ayanoヘッドチューブにはヴァンアールト自身の似顔絵が入るヘッドチューブにはヴァンアールト自身の似顔絵が入る photo:Makoto.Ayano

ジップの303ホイールとシュワルベのG-ONE SPEED HTタイヤジップの303ホイールとシュワルベのG-ONE SPEED HTタイヤ photo:Makoto.Ayanoバーテープは二重巻きバーテープは二重巻き photo:Makoto.Ayano


目立つ石畳対策はハンドル周りに集中している。テクトロ製のサブブレーキを取り付け、上ハンドルのステム寄りにRed eTapの変速スイッチ「Blips」を搭載、さらにバーテープを二重巻きにして衝撃を和らげつつコントロール性の確保を狙っている。ジップの303ホイールとシュワルベのG-ONE SPEED HTタイヤという組み合わせはロンドと変わらない。



ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
ピナレロ DOGMA K10-S


ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)のピナレロ DOGMA K10-Sゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)のピナレロ DOGMA K10-S photo:Makoto.Ayano
最初のパヴェ、セクター29トロワヴィルで起きた落車に巻き込まれ、リタイアに終わってしまったゲラント・トーマス(イギリス)を始め、チームスカイは全選手が電子制御のeDSSサスペンションを搭載したピナレロの石畳用モデル、DOGMA K10-Sを使用した。

目立つ石畳対策としては、サポートを受けるコンチネンタルではなく、スペアも含めた全ホイールにFMBの「PARIS ROUBAIX」タイヤ(27mmで統一)を装着したことが挙げられる。なおスペアバイクにはサスペンションを搭載しないDOGMA K10も用いられ、旧型のデュラエースホイールも多数充てがわれていた。ボトルケージは定番のCiussi GEL。

リアステーに搭載された電子制御のeDSSサスペンションリアステーに搭載された電子制御のeDSSサスペンション photo:Makoto.Ayanoタイヤはスペアも含め全てFMBのPARIS ROUBAIX(27mm)で統一したタイヤはスペアも含め全てFMBのPARIS ROUBAIX(27mm)で統一した photo:Makoto.Ayano

チームスカイはステージスのパワーメーターを運用中チームスカイはステージスのパワーメーターを運用中 photo:Makoto.Ayanoパリ〜ルーベ定番のボトルケージ、Ciussi GELを全員が使用したパリ〜ルーベ定番のボトルケージ、Ciussi GELを全員が使用した photo:Makoto.Ayano

スペアバイクとしてサスペンションを搭載しないDOGMA K10も用意されたスペアバイクとしてサスペンションを搭載しないDOGMA K10も用意された photo:Makoto.Ayano
また、トーマスは2013年のツール・ド・フランスで骨盤骨折を負ってからパッド量を増やしたカスタムモデルのフィジーク・ARIONEを使用していた(後のトライアスロン用モデル ARIONE K1 TRI発売に繋がっている)が、現在はノーマルモデルに落ち着いている様子。一方ディラン・ファンバーレ(オランダ)はK1 TRIを使用していた。



ジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、ディメンションデータ)
サーヴェロ R3


ジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、ディメンションデータ)のサーヴェロ R3ジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、ディメンションデータ)のサーヴェロ R3 photo:Makoto.Ayano
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)やジュリアン・ヴェルモート(ベルギー)などディメンションデータの選手達は、トップモデルのR5ではなく、セカンドグレードのR3をフランドルクラシックで使用した。重量増よりも衝撃吸収性を重視しての選択だと思われる。

石畳用カスタムはボトルケージの変更(エリートのCiussi GEL)や、ワイドタイヤ(コンチネンタルのCOMPETITION PRO LTD RBX 28mm)の装着、インナーチェーンリングの大型化とやや控えめ。オークリーがスポンサードするチームだけに、新型のflightjacketを多くの選手が着用し注目を集めた。

オークリーの新型アイウェア、flightjacketを使用オークリーの新型アイウェア、flightjacketを使用 photo:Makoto.Ayanoステム上にはセクターを示すシールが(雑に)貼られるステム上にはセクターを示すシールが(雑に)貼られる photo:Makoto.Ayano

チェーンリングはローター。真円リングの使用率が高めだチェーンリングはローター。真円リングの使用率が高めだ photo:Makoto.AyanoコンチネンタルのCOMPETITION PRO LTD RBX(28mm)を装着コンチネンタルのCOMPETITION PRO LTD RBX(28mm)を装着 photo:Makoto.Ayano


text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano