マレーシアで開催されているUCI2.HCのツール・ド・ランカウイが最終ステージを迎えた。首都クアラルンプールでの集団スプリントを制したのは、今大会2勝目となるアンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF)。個人総合はアルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム)が首位に輝いた。



最終日のスタートはルンボウという街。アスタナが前方でスタートする最終日のスタートはルンボウという街。アスタナが前方でスタートする (c)www.ltdl.my
ツール・ド・ランカウイ2018第8ステージ コースプロフィールツール・ド・ランカウイ2018第8ステージ コースプロフィール (c)www.ltdl.my3月18日よりマレーシアを舞台に繰り広げられてきたツール・ド・ランカウイが最終ステージを迎えた。最終日はルンボウを出発し、首都クアラルンプールに至る141kmというルート。4級山岳が3つ設定されているが、終始フラットな道のりとなっているため、集団スプリントで勝負が決することは想像に難くなかった。

平坦基調なコースのセオリー通り、レース開始直後からスコット・デーヴィス(イギリス、ディメンションデータ)ら4名の逃げが決まる展開に。集団はタイム差を3分以内にコントロールしながらレースを進めていくが、エスケープグループからは1人また1人と後方集団に戻る動きがあり、タイム差はみるみるうちに縮小していく。

序盤から逃げ続けているシモーネ・ヴェラスコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)が単独になると、メイン集団から8名の選手が飛び出し、ヴェラスコに合流。再びエスケープグループとなり、集団とのタイム差を広げ始める。

マレーシアの首都クアラルンプールを集団が走るマレーシアの首都クアラルンプールを集団が走る (c)www.ltdl.my
大英帝国の植民地支配時代から建つ「スルタン・アブドゥル・サマド・ビル」の横を通過するプロトン大英帝国の植民地支配時代から建つ「スルタン・アブドゥル・サマド・ビル」の横を通過するプロトン Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU
この逃げには総合2位のウカシュ・オウシャン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)をはじめ、ハリソン・スウィーニー(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ)、アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ)ら、総合トップ10から4名が入ったため、キナンサイクリングチームは、総合9位のトマ・ルバ(フランス)の成績を守るため中西健児を集団前方に送り込み追走体制を整えた。

また、山岳賞3位のアルヴァロ・ドゥアルテ(コロンビア、フォルカ・アムスキンズ)もエスケープグループに入り山岳ポイントを稼いだため、リーダージャージの獲得を決定させた。全てのKOMを通過するとスプリンターチームの集団牽引が本格的にはじまり、クアラルンプールの市街地を走る周回サーキットの最終周に全ての逃げを吸収。

残り100mで先頭に躍り出たのは、第1ステージでスプリントを制したアンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF)。第7ステージで逃げ切り勝利を決めているマヌエル・ベレッティ(アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)、第6ステージでスプリントを制しているルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)、リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)のリードアウトマンとして2勝に貢献したエフゲニー・ギディッチ(カザフスタン)ら今大会を象徴する選手たちが追いすがるも、爆発的な加速をみせたグアルディーニはそのままトップでフィニッシュラインを駆け抜けた。

アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF)がスプリントを制すアンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF)がスプリントを制す (c)www.ltdl.my
「サーキットレースが好きだから、クアラルンプールにフィニッシュするこのステージは好きなんだ」というグアルディーニは、アスタナ所属時代にランカウイで勝利を量産しており、今大会での2勝を加え、通算24勝へと数字を積み上げた。

総合首位のアルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム)はメイン集団内でフィニッシュし、リーダージャージを決定させた。「今は勝利できて本当に嬉しいよ。毎日この成績を守るためプロトンでの位置を確保してくれたり、逃げを捕まえてくれたチームメイトの勝利でもある。今日は総合を守ることにフォーカスしていたので、山岳賞を維持する考えはなかったよ。」とコメントする。

キナンサイクリングチームのルバは総合5位につけていたスウィーニーが集団から遅れてフィニッシュしたため、1つ成績を上げた総合8位で、連日ルバのアシストとして活躍したサルバドール・グアルディオラ(スペイン)は総合23位でツール・ド・ランカウイを終え、チームは55点のUCIポイントを獲得している。

個人総合をはじめ各賞の首位がポディウムに集まる個人総合をはじめ各賞の首位がポディウムに集まる (c)www.ltdl.my
トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)のコメント

「結果についてはまずまずといったところ。予想のできない戦いだったなかで、コンディションを日ごとに上げていきながらフィニッシュできたことについては満足している。キャメロンハイランドの頂上フィニッシュ(第5ステージ)の5位も悪くはなかった。ただ、表彰台には立ちたかったし、一度はバーチャルリーダーとなった第7ステージでリーダージャージを逃したことも悔しかった。それでも何より、どんな結果が待っているか分からないハイレベルの戦いを走り切れたことはよかったと思う。

UCIワールドチームなどのビッグチームがそろっていた中で、チームはよく戦ったと思うし、(中西)健児にとっては素晴らしい経験になっただろう。とはいえ、この大会も(チームが並行出場した)ツール・ド・とちぎもレースには変わりない。コンチネンタルチームが勝つことだってもちろんあるし、レースバリューですべてが決まるわけではない。いまから次のレースが楽しみ。チームスピリットをしっかりと持って、みんなで喜び合える結果を残したい」
ステージ結果
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF) 3h10’25”
2位 マヌエル・ベレッティ(アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
3位 ルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)
4位 エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ)
5位 マルコ・クンプ(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)
6位 アーレイ・パーラ(コロンビア、マンサナ・ポストボン)
7位 ディラン・ペイジ(スイス、チームセプラサイクリング)
8位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)
9位 ジュゼッペ・フォンツィ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)
10位 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス)
個人総合成績
1位 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) 32h06’45”
2位 ウカシュ・オウシャン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) +27”
3位 ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +32”
4位 アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ) +54”
5位 ジュゼッペ・フォンツィ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) +57”
6位 エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) +1’02”
7位 ブレンドン・ダヴィッズ(南アフリカ、ベネロング・スイスウェルネス)
8位 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +1’08”
9位 アルヴァロ・ドゥアルテ(コロンビア、フォルカ・アムスキンズ) +1’10”
10位 ハリソン・スウィーニー(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ) +1’17”
ポイント賞
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF) 61pts
2位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ) 58pts
3位 ルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) 44pts
山岳賞
1位 アルヴァロ・ドゥアルテ(コロンビア、フォルカ・アムスキンズ) 43pts
2位 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) 40pts
3位 ベルナルド・スアサ(コロンビア、マンサナ・ポストボン) 38pts
チーム総合成績
1位 ウィリエール・トリエスティーナ 96h23’38”
2位 アスタナ +14”
3位 ディメンションデータ +33”
text:Gakuto Fujiwara