レース名に反してワンデーレースとなったブルージュ〜デパンヌ3日間レース(UCI1.HC)が3月21日に開催。集団スプリントでエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が好調ぶりを勝利につなげた。


太陽に照らされながら、気温7度のフランドル地方を走る太陽に照らされながら、気温7度のフランドル地方を走る photo:CorVos
ブルージュ〜デパンヌ3日間レース2018ブルージュ〜デパンヌ3日間レース2018 photo:Driedaagse Brugge - De Panne

ブルージュ〜デパンヌ3日間レース2018ブルージュ〜デパンヌ3日間レース2018 photo:Driedaagse Brugge - De Panne例年ヘント〜ウェヴェルヘムとロンド・ファン・フラーンデレンに挟まれた3月最終週の平日に開催されてきたデパンヌ・コクサイデ3日間レースが開催時期をずらすとともに開催期間を1日間に短縮。レコードバンク・E3ハーレルベーケとヘント〜ウェヴェルヘムが控えた3月21日にワンデーレースとして開催された。UCIカテゴリーは変わらずHC(超級)。翌日には同じレース名の女子レース(UCI女子ワールドツアー)も開催される。

レース名をブルージュ〜デパンヌ3日間レース(ドリダーフス・ブルージュ〜デパンヌ)に変更した通り、コースはベルギー・フランドル地方のブルージュからデパンヌに至る202.4km。中盤にかけてモンテベルグ、ケンメルベルグ、ロデベルグ、ヴィダイネベルグ、スルフェルベルグという5つの急坂をクリアするが、後半100kmはほぼフラット。3つの石畳区間を経て、最後はデパンヌの25.7km周回コースを2.5周してフィニッシュを迎える。ミラノ〜サンレモで逃げた初山翔のほか、NIPPOヴィーニファンティーニからは内間康平と西村大輝も出場した。

1998年から2016年までロンド・ファン・フラーンデレンのスタート地点であったブルージュのマルクト広場をスタートすると、プロトンきっての高身長(204cm)を誇るコノール・デューン(アイルランド、アクアブルースポート)ら6名がエスケープを開始。最大9分のアドバンテージを得た逃げグループを、地元ベルギーのクイックステップフロアーズやロット・スーダルが追撃した。

石畳坂ケンメルベルグでルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)とニコラス・マース(ベルギー、ロット・スーダル)が動いたもののメイン集団から抜け出すことはできず。フィニッシュまで70kmを切るとクイックステップフロアーズやロット・スーダルが横風区間でペースアップ開始。エシュロンを形成しながら分裂したが、決定的なタイム差は生まれずにしばらくして集団は一つに戻る。デパンヌの周回コースに入ってもなお横風によるナーバスな状態が続いた。

急坂ケンメルベルグでアタックするルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)とニコラス・マース(ベルギー、ロット・スーダル)急坂ケンメルベルグでアタックするルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)とニコラス・マース(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
横風区間で第2集団を率いるシクロクロス世界王者ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスウィレムス・クレラン)横風区間で第2集団を率いるシクロクロス世界王者ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスウィレムス・クレラン) photo:CorVos
逃げるブライアン・ファンフーテム(オランダ、ルームポット)ら6名逃げるブライアン・ファンフーテム(オランダ、ルームポット)ら6名 photo:CorVos

最終周回に入り、ボーラ・ハンスグローエも加わった集団牽引によって逃げグループはタイム差20〜30秒で泳がされた状態に。横風区間でクイックステップフロアーズやロット・スーダル、ボーラ・ハンスグローエがペースアップすると集団は縦一列棒状に伸びて再び分裂。約20名で構成された第1集団が後続を突き放しにかかったが、約30名が追いついて集団は再び大きな塊に戻った。

先頭で粘り強く逃げていたショーン・ベネット(アメリカ、ハーゲンスベルマン・アクセオン)とブライアン・ファンフーテム(オランダ、ルームポット)は残り4km地点で吸収。引き続きボーラ・ハンスグローエがメンバー5名でハイペースを作り、後方の選手にポジションアップの余地を与えない集団を伸ばした状態でフィニッシュに向かう。スプリントに向けて順調に駒を進めたボーラ・ハンスグローエだったが、残り1kmを切るとそれぞれメンバー3名を揃えるベランダスウィレムス・クレランとクイックステップフロアーズが主導権を奪った。

シクロクロス世界王者ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスウィレムス・クレラン)のリードアウトが終わると、マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)が後方を確認しながら先頭へ。リケーゼのスリップストリームを脱したパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が先頭でスプリント体制に入る。

2016年ロード世界選手権U23ロード銀メダリストで、今年ハンザムクラシックで3位に入っている24歳のアッカーマンが初のクラシックレース勝利に向けて邁進したが、その後ろから明らかに空気抵抗の少ない低いポジションのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が飛んできた。

トラック出身者らしいハイケイデンスのスプリントでアッカーマンを抜き去ったヴィヴィアーニが、最後は余裕を持ってジャージ胸元のスポンサーロゴをアピールしながらフィニッシュ。リオ五輪オムニアム金メダリストがシーズン6勝目(バルベルデと並んで最多)、チームのシーズン17勝目をつかんだ。

石畳区間でメイン集団を率いるフロリアン・セネシャル(フランス、クイックステップフロアーズ)石畳区間でメイン集団を率いるフロリアン・セネシャル(フランス、クイックステップフロアーズ) photo:CorVos
アッカーマンを抜き去ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が勝利アッカーマンを抜き去ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が勝利 photo:CorVos

「ミラノ〜サンレモが残念な結果(19位)に終わってしまったこともあり、今季ヨーロッパレース初勝利を嬉しく思う。有力選手として大きなプレッシャーを受けながらのレースで勝てて本当に良かった。チームメイトのファンタスティックな走りのおかげで、初めてベルギーチームの一員としてベルギーレースで勝てたんだ。オーストラリアと中東のレースで感じた好調さを再確認したよ」とヴィヴィアーニは語る。ヴィヴィアーニは4日後に開催されるヘント〜ウェヴェルヘム(最高位は2013年の15位)にも出場予定だ。

今シーズン6勝目を飾ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)今シーズン6勝目を飾ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:CorVos
レース結果
1位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 4:41:08
2位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、ハーゲンスベルマン・アクセオン)
4位 バティスト・プランカールト(ベルギー、カチューシャ・アルペシン)
5位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・スーダル)
6位 アモリー・カピオ(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)
7位 ローイ・ヤンス(ベルギー、シベル・セボン)
8位 ウーゴ・オフステッテル(フランス、コフィディス)
9位 アダム・ブライス(イギリス、アクアブルースポート)
10位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
127位 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) 0:10:34
DNF 内間康平(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
DNF 西村大輝(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)

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