南シナ海沿いを南下する完全フラットコースで逃げ切りが発生。残り2kmから独走したアダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング)が勝利し、総合首位に浮上。チームにプロコンチネンタルチーム昇格後初勝利を届けた。
南シナ海沿いを南下するツール・ド・ランカウイ第3ステージ (c)CorVos
連日40度近い酷暑の中開催されている、ツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)も3日目。この日は前日のフィニッシュ地点となったコタバルから南シナ海沿いを南下し、東岸の主要都市クアラトレンガヌへとフィニッシュする166kmコースで争われた。
一切のアップダウンが無いフラットステージだが、この日は大方の予想を裏切る逃げ切りが生まれる。アダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング)やトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)、キム・デヨン(韓国、KSPOビアンキアジアプロサイクリング)ら9名の逃げが形成されたのは、スタートから15kmを過ぎてからのことだった。
順調にタイムを稼いだエスケープグループの中では、ルバが2ヶ所の中間スプリントポイントで2位と3位通過し、ボーナスタイムを3秒獲得。ルバはこの先を見据えてメイン集団へと戻ることを選び、この日終了時点で総合10位につけることに成功している。
一方メイン集団は総合リーダーのリカルド・ミナーリ(イタリア)擁するアスタナがコントロールを担ったが、1チームあたりの参加人数が少ない(6名)ため差を詰めきるに至らない。他チームが牽引に協力しなかったことも働いて逃げ切りが確定的となっていった。
独走でフィニッシュに飛び込むアダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング) (c)CorVos
フィニッシュ後に放水で身体を冷やすエフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) (c)CorVos
リーダージャージを獲得したアダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング) (c)CorVos
逃げグループがゴール勝負を見据える中、「韓国選手(デヨン)とスプリント勝負をしたくなかったので、独走に持ち込もうと考えていた」と言うデヴォスが残り2km地点からアタック。狙い通り後続を突き放し、13秒のリードを保ったままフィニッシュ地点へと到達。メイン集団を1分19秒引き離したことで総合首位へと浮上した。
「これまで惜しいところまで近づいたことはあっても、ビッグレースでの勝利は初めて。更にリーダージャージまで獲れただなんて最高の気分だよ。今日は大きな逃げグループをチェックして、メイン集団で追走役に回らないことがチームの作戦だった。中間地点で7分を稼いで、残り30km地点でも5分差だったので逃げ切るには十分と感じていたよ」と、初々しい笑顔でインタビューに応えたデヴォス。第1ステージでは落車に巻き込まれ、大きな擦過傷を抱えた中でのプロ通算2勝目だった。
また、ツール・ド・ランカウイでのカナダ人選手のステージ優勝は、監督としてチームカーからデヴォスに声援を送り続けたエリック・ウォールバーグ以来14年ぶり。ラリーサイクリングにとっては今年のプロコンチネンタルチーム昇格以降初勝利となった。
また、メイン集団のスプリントではアヌアル・マナン(マレーシア、フォルカ・アムスキンズ)が先着。キナン勢はルバと共にサルバドール・グアルディオラ、マルコス・ガルシア(共にスペイン)もメイン集団内でフィニッシュしている。
山本元喜(キナンサイクリングチーム)のコメント
ボトル運び役に徹した山本元喜(キナンサイクリングチーム) (c)CorVos30度台後半の気温でも多少涼しく感じられるようになっていて、暑さに慣れてきていることを実感している。ただ暑いことには変わりないので、レース後半の集中力が課題となりそうだ。
大会前はベストアジアンライダーや、総合上位に入ってのUCIポイント獲得を狙っていたが、第2ステージで暑さとレース展開に対応できず、諦めざるを得ない形になった。ねらいをステージ優勝に切り替えて、ターゲットとするステージを定めて走りたい。あとはアシストとしてもチームに貢献したい。
一度トマが入っていた逃げグループがそのままステージ優勝争いとなったが、いまからリーダージャージを手にして、残るステージでそれを守り切れるかどうかは分からない。暑さやレースバリューを考えると、決して簡単ではないと思う。(他チームと比較して)1人少ない状況も含めて、自分たちはもう少し追う立場であってもよいかなと感じている。

連日40度近い酷暑の中開催されている、ツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)も3日目。この日は前日のフィニッシュ地点となったコタバルから南シナ海沿いを南下し、東岸の主要都市クアラトレンガヌへとフィニッシュする166kmコースで争われた。
一切のアップダウンが無いフラットステージだが、この日は大方の予想を裏切る逃げ切りが生まれる。アダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング)やトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)、キム・デヨン(韓国、KSPOビアンキアジアプロサイクリング)ら9名の逃げが形成されたのは、スタートから15kmを過ぎてからのことだった。
順調にタイムを稼いだエスケープグループの中では、ルバが2ヶ所の中間スプリントポイントで2位と3位通過し、ボーナスタイムを3秒獲得。ルバはこの先を見据えてメイン集団へと戻ることを選び、この日終了時点で総合10位につけることに成功している。
一方メイン集団は総合リーダーのリカルド・ミナーリ(イタリア)擁するアスタナがコントロールを担ったが、1チームあたりの参加人数が少ない(6名)ため差を詰めきるに至らない。他チームが牽引に協力しなかったことも働いて逃げ切りが確定的となっていった。



逃げグループがゴール勝負を見据える中、「韓国選手(デヨン)とスプリント勝負をしたくなかったので、独走に持ち込もうと考えていた」と言うデヴォスが残り2km地点からアタック。狙い通り後続を突き放し、13秒のリードを保ったままフィニッシュ地点へと到達。メイン集団を1分19秒引き離したことで総合首位へと浮上した。
「これまで惜しいところまで近づいたことはあっても、ビッグレースでの勝利は初めて。更にリーダージャージまで獲れただなんて最高の気分だよ。今日は大きな逃げグループをチェックして、メイン集団で追走役に回らないことがチームの作戦だった。中間地点で7分を稼いで、残り30km地点でも5分差だったので逃げ切るには十分と感じていたよ」と、初々しい笑顔でインタビューに応えたデヴォス。第1ステージでは落車に巻き込まれ、大きな擦過傷を抱えた中でのプロ通算2勝目だった。
また、ツール・ド・ランカウイでのカナダ人選手のステージ優勝は、監督としてチームカーからデヴォスに声援を送り続けたエリック・ウォールバーグ以来14年ぶり。ラリーサイクリングにとっては今年のプロコンチネンタルチーム昇格以降初勝利となった。
また、メイン集団のスプリントではアヌアル・マナン(マレーシア、フォルカ・アムスキンズ)が先着。キナン勢はルバと共にサルバドール・グアルディオラ、マルコス・ガルシア(共にスペイン)もメイン集団内でフィニッシュしている。
山本元喜(キナンサイクリングチーム)のコメント

大会前はベストアジアンライダーや、総合上位に入ってのUCIポイント獲得を狙っていたが、第2ステージで暑さとレース展開に対応できず、諦めざるを得ない形になった。ねらいをステージ優勝に切り替えて、ターゲットとするステージを定めて走りたい。あとはアシストとしてもチームに貢献したい。
一度トマが入っていた逃げグループがそのままステージ優勝争いとなったが、いまからリーダージャージを手にして、残るステージでそれを守り切れるかどうかは分からない。暑さやレースバリューを考えると、決して簡単ではないと思う。(他チームと比較して)1人少ない状況も含めて、自分たちはもう少し追う立場であってもよいかなと感じている。
ステージ成績
1位 | アダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング) | 3h58’18” |
2位 | キム・デヨン(韓国、KSPOビアンキアジアプロサイクリング) | +13” |
3位 | ニクモハドアズワン・ズルキフリー(マレーシア、フォルカ。アムスキンズ) | |
4位 | ハリソン・スウィーニー(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ) | |
5位 | アヌアル・マナン(マレーシア、フォルカ・アムスキンズ) | +1’19” |
6位 | エリック・ヤング(アメリカ、ラリーサイクリング) | |
7位 | モハメドハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム) | |
8位 | ルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) | |
9位 | ディラン・ペイジ(スイス、チームセプラサイクリング) | |
10位 | マルコ・クンプ(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) |
個人総合成績
1位 | アダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング) | 12h45’31” |
2位 | ニクモハド・アズワン・ズルキフリ(マレーシア、フォルカ・アムスキンズ) | +14” |
3位 | ハリソン・スウィーニー(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ) | +22” |
4位 | リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ) | +1’19” |
5位 | マッテーオ・マルチェッリ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | +1’24” |
6位 | ソー・ジョンヨン(韓国、KSPOビアンキアジアプロサイクリング) | |
7位 | メクセブ・ドゥバサイ(エリトリア、ディメンションデータ) | +1’26” |
8位 | パオロ・シモン(イタリア、バルディアーニCSF) | |
9位 | エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) | |
10位 | トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) | +1’29” |
ポイント賞
1位 | キム・デヨン(韓国、KSPOビアンキアジアプロサイクリング) | 27pts |
2位 | リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ) | 23pts |
3位 | アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF) | 19pts |
山岳賞
1位 | ベルナルド・スアサ(コロンビア、マンサナ・ポストボン) | 19pts |
2位 | フェリペ・マルセロ(フィリピン、セブンイレブンロードバイクフィリピン) | 18pts |
3位 | ムハンマド・アブドゥッラフマーン(インドネシア、KFCサイクリング) | 11pts |
チーム総合成績
1位 | ラリーサイクリング | 38h19’44” |
2位 | フォルカ・アムスキンズ | +13” |
3位 | ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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