激しいアタック合戦を経て残った13名のスプリントで、エドウィン・アヴィラ(コロンビア、イスラエルサイクリングアカデミー)が新城幸也(日本ナショナルチーム)を下して勝利。ジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)が総合首位に躍り出た。



バーレーン・メリダのチームメート、新城幸也(日本ナショナルチーム)とフェン・チュンカイ(台湾ナショナルチーム)バーレーン・メリダのチームメート、新城幸也(日本ナショナルチーム)とフェン・チュンカイ(台湾ナショナルチーム) photo:Sonoko.Tanaka今日が誕生日のレースリーダー、ロビー・ハッカー(オーストラリア)とチーム右京のチームメートたち今日が誕生日のレースリーダー、ロビー・ハッカー(オーストラリア)とチーム右京のチームメートたち photo:Sonoko.Tanaka

レース前にミーティングを行う日本ナショナルチームレース前にミーティングを行う日本ナショナルチーム photo:Sonoko.Tanakaポイント賞リーダーとしてスタートを迎えた岡本隼(日本ナショナルチーム)ポイント賞リーダーとしてスタートを迎えた岡本隼(日本ナショナルチーム) photo:Sonoko.Tanaka


HSR(台湾高速鉄道)新竹駅から石岡ビジターセンターまでの158kmで開催されたツアー・オブ・台湾第3ステージ。日差しはやや強いものの気温は20度と過ごしやすい天候下でのレースとなった。個人総合リーダージャージを着用するのはチーム右京のロビー・ハッカー(オーストラリア)。

39km地点の中間スプリント地点を前にセオ・ジョンヨン(韓国ナショナルチーム)ら4名の先頭集団が形成された。最大で5分強のリードを奪った4選手だったが、88km地点の1級山岳に向かう山岳部に入ると、リーダーチームであるチーム右京のオスカル・プジョル(スペイン)らが集団を強力に牽引。タイム差が一気に詰まり始めると同時にメイン集団は活性化し、山頂を前に集団は細分化された。

台湾の“新幹線”ことHSRの線路下から第3ステージがスタート台湾の“新幹線”ことHSRの線路下から第3ステージがスタート photo:Sonoko.Tanaka
新城幸也(日本ナショナルチーム)と中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)を含む13名の先頭集団新城幸也(日本ナショナルチーム)と中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)を含む13名の先頭集団 (c) Xinyuanレースリーダーのロビー・ハッカー(オーストラリア、チーム右京)はメイン集団に置いていかれる形となったレースリーダーのロビー・ハッカー(オーストラリア、チーム右京)はメイン集団に置いていかれる形となった (c) Xinyuan


3名となった先頭は1分弱のタイム差で山頂を通過。集団は50名ほどに絞られ、その下り区間にて、メイン集団はアタックを繰り返しながら先頭集団を吸収。山岳を終えてもメイン集団では激しいアタックの攻防が続き、雨澤毅明(日本ナショナルチーム/宇都宮ブリッツェン)や中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)も積極的な走りをみせる。

残り30kmを切り、先頭集団は13名ほどに人数を減らし、昨日のステージで悔しい思いをした新城幸也(日本ナショナルチーム/バーレーンメリダ)と中根英登はしっかりとそこに残った。先頭集団はフィニッシュに向けてアタックが頻発しハイスピードを維持。1分14秒のタイム差で先頭集団が逃げ切る展開となり、エドゥイン・アヴィラ(コロンビア、イスラエルサイクリングアカデミー)が伸びのあるスプリントで先行。2位に新城幸也、3位にジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)、4位に中根英登が続いた。

エドウィン・アヴィラ(コロンビア、イスラエルサイクリングアカデミー)が先行したゴールスプリントエドウィン・アヴィラ(コロンビア、イスラエルサイクリングアカデミー)が先行したゴールスプリント photo:Sonoko.Tanaka懸命に追い上げた新城幸也(日本ナショナルチーム)だが、勝者にあと一歩およばず、悔しさが滲む懸命に追い上げた新城幸也(日本ナショナルチーム)だが、勝者にあと一歩およばず、悔しさが滲む photo:Sonoko.Tanaka

ジロ・デ・イタリア出場が決まっているイスラエルサイクリングアカデミーに今季初勝利をもらたしたエドウィン・アヴィラ(コロンビア)ジロ・デ・イタリア出場が決まっているイスラエルサイクリングアカデミーに今季初勝利をもらたしたエドウィン・アヴィラ(コロンビア) photo:Sonoko.Tanaka
今日のボーナスタイムを受けて、昨日のステージでボーナスタイムを稼いでいるジョナサン・クラークが個人総合リーダーに浮上。そして2秒差の2位に新城幸也がジャンプアップ。新城幸也はアジアンリーダーを獲得、中根英登も7位まで個人総合成績を上げている。

チームに待ち望んだ今季初勝利をもたらしたエドウィン・アヴィラは今日のスプリントを「たくさんのアタックがかかって、とてもストレスを感じるものだった。けれど、自分がスプリントでは一番速いというのがわかっていたので、自分のタイミングでスプリントを仕掛けた」と話す。昨年のツール・ド・台湾で区間2勝挙げ、個人総合成績で2位に入った実力派スプリンターは最終ステージでも再び区間優勝を狙うだろう。

ゴール後にチームメートの懸命なアシストに感謝する中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)ゴール後にチームメートの懸命なアシストに感謝する中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) photo:Sonoko.Tanakaチームメートと喜びを分かち合うエドウィン・アヴィラ(コロンビア、イスラエルサイクリングアカデミー)チームメートと喜びを分かち合うエドウィン・アヴィラ(コロンビア、イスラエルサイクリングアカデミー) photo:Sonoko.Tanaka

第3ステージを終えて、各賞ジャージに袖を通した選手たち。山岳賞チェ・ヒョンミン(韓国ナショナルチーム)、ポイント賞エドウィン・アヴィラ(コロンビア、イスラエルサイクリングアカデミー)第3ステージを終えて、各賞ジャージに袖を通した選手たち。山岳賞チェ・ヒョンミン(韓国ナショナルチーム)、ポイント賞エドウィン・アヴィラ(コロンビア、イスラエルサイクリングアカデミー) photo:Sonoko.Tanaka
昨日に引き続き、今日も区間優勝にあと僅かに届かなかった新城幸也は「今日のステージで勝って、区間優勝も総合リーダーもどっちも取りたいと思っていた。今日の結果はアジアンリーダーを獲得したとはいえ悔しい。スプリントではマークされるのはわかっていたので、後ろから仕掛けて刺そうと思った。しかし、勝者が予想以上に強く、追いつけなかった」と振り返る。今回の日本ナショナルチームの目標を浅田監督は「ステージ成績よりもUCIポイントの配点が高い個人総合成績を狙う」と話している。今日のステージで体調不良により佐野淳哉(マトリックスパワータグ)がリタイアとなったが、日本ナショナルチームは今後のステージで新城幸也の個人総合成績、逆転優勝、さらには1分53秒差の総合23位につける雨澤毅明の順位アップを積極的に狙いに行く。

得意とはいえない下り基調のスプリントで、4位に食い込んだ中根英登は「(先頭集団に残ったフィリッポ・)ザッカンティのこれ以上ない素晴らしいアシストを受けて、三、四番手からスプリントを開始したが、優勝に届かなかった。チームメイトたちに懸命なアシストをしてもらえたのに、この順位は非常に悔しい。今日のゴールスプリントで僕の前でゴールした選手は、明日の山岳ステージでは、僕の後ろでゴールすることになると思う。簡単なことではないが、そうできるように集中していきたい」とコメントする。

個人総合成績2位、アジアンリーダーとなった新城幸也(日本ナショナルチーム)個人総合成績2位、アジアンリーダーとなった新城幸也(日本ナショナルチーム) photo:Sonoko.Tanaka
ステージ結果
1位 エドウィン・アヴィラ(コロンビア、イスラエルサイクリングアカデミー) 3:49:33
2位 新城幸也(日本ナショナルチーム)
3位 ジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)
4位 中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)
5位 エデル・フライレ(メキシコ、エレベート・KHSプロサイクリング)
6位 セルゲイ・ツヴェッコヴ(ルーマニア、ユナイテッドヘルスケア)
7位 セバスティアン・ショーンベルガー(オーストリア、チームヒリンコウ・アドヴァリクスサイクリーング)
8位 アレックス・トゥリン(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ)
9位 ジャンニ・マルシャン(ベルギー、チベル・セボン)
10位 ジェイソン・リー(オーストラリア、ベンネロング・スイスウェルネス)
21位 雨澤毅明(日本ナショナルチーム) +1’14”
38位 小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) +1’40”
61位 岡本隼(日本ナショナルチーム) +14’13”
74位 鈴木龍(日本ナショナルチーム)
82位 小野寺玲(日本ナショナルチーム)
87位 吉田隼人(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)
88位 小石祐馬(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)
DNF 佐野淳哉(日本ナショナルチーム)
個人総合成績
1位 ジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア) 8h32’06”
2位 新城幸也(日本ナショナルチーム) +0’02”
3位 ジミー・ヤンセン(ベルギー、チベル・セボン) +0’11”
4位 エドウィン・アヴィラ(コロンビア、イスラエルサイクリングアカデミー) +0’29”
5位 マルクス・フライベルガー(オーストリア、チームヒリンコウ・アドヴァリクスサイクリーング) +0’35”
6位 エデル・フライレ(メキシコ、エレベート・KHSプロサイクリング) +0’39”
7位 中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)
23位 雨澤毅明(日本ナショナルチーム) +1’53”
41位 小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) +3’11”
60位 小石祐馬(チーム右京) +14’52”
62位 小野寺玲(日本ナショナルチーム) +15’42”
68位 岡本隼(日本ナショナルチーム) +17’17”
76位 吉田隼人(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) +17’59”
90位 鈴木龍(日本ナショナルチーム) +21’18”
text&photo:Sonoko.Tanaka