厳しい寒さに見舞われたクールネ〜ブリュッセル〜クールネは大集団による勝負に持ち込まれ、タイトな逃げ吸収後のスプリントでディラン・フルーネウェーヘンが勝利した。


フランドルの急坂を越えていくフランドルの急坂を越えていく photo:CorVos
クールネ〜ブリュッセル〜クールネ2018クールネ〜ブリュッセル〜クールネ2018 photo:Kuurne-Brussel-Kuurne

ベルギー・フランドル地方を舞台にしたクールネ〜ブリュッセル〜クールネは、今年で開催70回目を迎えるワンデークラシックレース。初開催された1946年からしばらくはレース名の通りクールネと首都ブリュッセルの往復レースだったが、交通事情を考慮して1960年代からブリュッセルではなく「ミュール」で有名なヘラールツベルヘン付近でUターンしてクールネに戻るコースに変更されている。

「オウデクワレモント」や「クルイスベルグ」など合計12ヶ所の急坂が組み込まれているものの、最後の「ノケレベルグ」はフィニッシュから50km離れており、最後は平坦な15.3kmの周回コースを2周。数あるフランドルクラシックの中でもスプリンター向きのコースとして知られ、過去の優勝者リストにはクラシックライダーに混ざってマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)らの名前も並んでいる。

2013年に積雪によってレースがキャンセルされるほど、まだまだ寒さの残る2月下旬のフランドル地方。最低気温マイナス3度、最高気温2度という寒さの中、前日のオンループ・ヘットニュースブラッドでも逃げていたケニース・ファンビルセン(ベルギー、コフィディス)やマッテーオ・ボーノ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、ゲディミナス・バグドナス(リトアニア、アージェードゥーゼール)、トルルス・コルシャイス(ノルウェー、アスタナ)ら9名が逃げグループを形成した。

急坂に加えて石畳区間もコースに組み込まれる急坂に加えて石畳区間もコースに組み込まれる photo:CorVos
「オウデクワレモント」で形成された精鋭集団を率いるマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)「オウデクワレモント」で形成された精鋭集団を率いるマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット) photo:CorVos

2分に抑え込まれたタイム差が徐々に縮小したレース中盤、残り85km地点の「オウデクワレモント」でメイン集団は活性化した。全長2,200m/平均勾配4%/最大勾配11.6%の石畳坂で加速したイヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップフロアーズ)に反応したのは、グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)やセップ・ヴァンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)といったスペシャリストたち。逃げ続けていたバグドナスとコルシャイスを吸収しながら先を急ぐ精鋭3名には、遅れてアルノー・デマール(フランス、FDJ)やジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)も合流する。こうして21名に膨れ上がった精鋭集団は、ロットNLユンボやアスタナ率いるメイン集団から30秒のリードを得た。

残り50km地点の最後の急坂「ノケレベルグ」通過時点で精鋭集団とメイン集団のタイム差は40秒。この「ノケレベルグ」でアタックした2016年大会の優勝者ストゥイヴェンとダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)が先行した一方で、他の精鋭集団のメンバーはアスタナ率いるメイン集団に飲み込まれる。45秒前後のリードで逃げ続けたストゥイヴェンとオスの2名。オスがパンクで後退したため(ニュートラルサポートを受けたが追いつけず)、ストゥイヴェンが独走でクールネの周回コースに入った。

単独で1分のリードを築いたストゥイヴェンだったが、バーレーン・メリダやロット・スーダル率いる集団に残り19km地点で引き戻される。街中を走る周回コースでは落車が多発し、サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)やマグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)が落車によって脱落している。

中切れが起こるほどペースが上がった集団からは、最終周回に入ってニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)らがアタック。抜け出すことに成功したのは、元クイックステップフロアーズのジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、ディメンションデータ)とジュリアン・デュヴァル(フランス、アージェードゥーゼール)、ロイック・ヴリーヘン(ベルギー、BMCレーシング)の3名だった。

オスの脱落によって独走状態となったジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)オスの脱落によって独走状態となったジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) photo:CorVos
最終周回で逃げたロイック・ヴリーヘン(ベルギー、BMCレーシング)ら最終周回で逃げたロイック・ヴリーヘン(ベルギー、BMCレーシング)ら photo:CorVos

残り5km地点で15秒ほどのリードを得たヴェルモート、デュヴァル、ヴリーヘン。逃げ切りも現実味を帯びたが、残り1kmアーチ通過とともにロット・スーダルとロットNLユンボ、FDJがリードするメイン集団が迫る。最終ストレートに入ってなお踏み続けるヴェルモートに向かって、デマールを先頭に集団スプリントが始まった。

残り100mでヴェルモートを追い抜いたデマールだったが、一枚上手の加速を見せたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)がすぐさま先頭を奪う。ライバルたちを置き去りにする走りでフルーネウェーヘンが先着した。

ドバイツアーでステージ1勝、ヴォルタ・アン・アルガルヴェでステージ2勝している24歳が今シーズン4勝目。このクールネでは初出場の2016年に4位、2017年に18位という成績を残している。フランドルのセミクラシックで初勝利を飾ったフルーネウェーヘンは「寒くて、風が強く、ハイペースな1日だった。オウデクワレモントで第3集団に取り残されたものの、チームが完璧な動きで先頭まで引き戻してくれたんだ。逃げが生まれてからもチームは状況をコントロールしてくれたし、最後はマールテン・ワイナンツにリードアウトされてスプリント。加速し始めた段階で今日は勝ったと思った。厳しいクラシックレースでも戦えることを証明できたと思う」とコメント。フルーネウェーヘンは3月4日開幕のパリ〜ニースでスプリント勝利量産を狙う。

集団スプリントで圧勝したディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)集団スプリントで圧勝したディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:CorVos
表彰台で花束とビールを受け取ったディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)ら表彰台で花束とビールを受け取ったディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)ら photo:CorVos
クールネ〜ブリュッセル〜クールネ2018結果
1位ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)4:51:41
2位アルノー・デマール(フランス、FDJ)
3位ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
4位ピム・リヒハルト(オランダ、ルームポット)
5位ジャスティン・ユール(フランス、WBアクアプロテクト)
6位ジャンピエール・ドリュケール(ルクセンブルク、BMCレーシング)
7位ギヨーム・ボワヴァン(カナダ、イスラエルサイクリングアカデミー)
8位ルーカス・ヴィシニオウスキー(ポーランド、チームスカイ)
9位ジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、ディメンションデータ)
10位ティモシー・デュポン(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)
text:Kei Tsuji
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