初山翔が逃げに乗ったブエルタ・ア・アンダルシア「ルタ・デル・ソル」第2ステージで三強チームが激突。登りでアタックを繰り返したチームスカイのワウト・プールスが勝利した。



逃げグループに入った初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)逃げグループに入った初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) photo:CorVos

グラナダ近郊のオトゥーラからラ・グアルディア・デ・ハエンを目指す「ルタ・デル・ソル」第2ステージ。ステージ全長は140kmと短いが、標高1,000m級のカテゴリー山岳を5つ含むため獲得標高差は2,600mほどある。

最後はラ・グアルディア・デ・ハエンの街を見下ろす標高1,003mの1級山岳ラス・アリャナダス峠(全長5.2km/平均9%)を駆け上がってフィニッシュ。この登りは下り区間を含むため実質的な勾配は10%オーバー。ラスト3kmの平均勾配が12.8%に達する急坂だ。

最高気温20度の陽気の中スタートが切られると、9名が逃げグループを形成して選考を開始する。初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)を含むこの逃げは最大7分リードを得ることに成功。ステージ前半はリーダーチームのディレクトエネルジーが集団コントロールを担ったが、後半にかけてこの日もアスタナが先頭に立って風を受けた。

逃げグループを淡々と追いかけるメイン集団逃げグループを淡々と追いかけるメイン集団 photo:Vuelta a Andalucia
ステージ前半はディレクトエネルジーがメイン集団をコントロールするステージ前半はディレクトエネルジーがメイン集団をコントロールする photo:Vuelta a Andalucia

連続するカテゴリー山岳をこなすうちに逃げグループは人数とリードを減らしていく。やがて先頭はアレクシー・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)とパスカル・エーンクホーン(オランダ、ロットNLユンボ)、ディエゴ・ルビオ(スペイン、ブルゴスBH)の3名に絞られ、3分リードで残り20km地点を通過。アスタナの牽引位より一列棒状になったメイン集団が勢い良く追い上げた。

アスタナ、モビスター、チームスカイといういずれも水色系の3チームが集団先頭を固め、先頭ではルビオが独走で最後の1級山岳ラス・アリャナダス峠登坂を開始する。5kmかけて標高差460mを駆け上がるこの難所でメイン集団から最初に動いたのはヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)だった。

ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)とティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)、ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)がフルサングに合流。後続も追いついて人数を増やす精鋭グループは残り1.8kmで先頭のルビオを追い抜いていく。遅れてクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)もこの精鋭グループに追いついた。

続いて、ステージ優勝とリーダージャージをかけて飛び出したウェレンスがライバルたちに10秒差をつけることに成功。しかしアスタナ2名(フルサングとサンチェス)、モビスター2名(ランダとソレル)、チームスカイ2名(プールスとフルーム)の合計6名で構成された精鋭グループが淡々と追いかける。残り600mでプールスがアタックすると、精鋭グループが崩壊するとともにウェレンスは吸収。再度アタックしたプールスがライバルたちを完全に引き離した。

登りでペースを上げるルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)登りでペースを上げるルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) photo:Vuelta a Andalucia
山頂フィニッシュを制したワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)山頂フィニッシュを制したワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) photo:Vuelta a Andalucia

フィニッシュラインまでダンシングで踏み続けたプールスが勝利し、2秒差でサンチェスとウェレンス、4秒差でランダとフルサングがフィニッシュ。フルームは27秒遅れでフィニッシュラインを切った。

Velonの公開データによると、ラスト1.5kmをプールスは5分12秒にわたって平均426W、10秒間最大750Wを出力。ウェレンスは5分21秒間466W、フルームは5分35秒間485Wというデータを残している。ステージ8位に入ったミケル・ビズカラ(スペイン、エウスカディ・ムリアス)のSTRAVAログによると、急勾配のラスト3kmの平均スピードは15km/h前後。ビズカラは12分30秒にわたって平均342Wで踏んでいる。

「勾配が緩んだので、残り300mでスピードをつけてアタックする必要があった。バレンシアでは結果を残せなかったものの、その後のトレーニング期間が充実したものだったので、今のコンディションはとても良い。明日と明後日の平坦ステージを無事に乗り切って、日曜日の個人タイムトライアルに備えたい」と、ステージ優勝とリーダージャージを手にしたプールスは語る。総合7位につけるフルームは「ワウト(プールス)がリーダージャージを獲得したので、明日からは全力で彼をサポートしたい」とアシスト宣言している。

27秒遅れでフィニッシュに向かうクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)27秒遅れでフィニッシュに向かうクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Vuelta a Andalucia
リーダージャージを手にしたワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)リーダージャージを手にしたワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) photo:Vuelta a Andalucia
ブエルタ・ア・アンダルシア2018第2ステージ結果
個人総合成績
ポイント賞
1位 ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) 25pts
2位 トマ・ボダ(フランス、ディレクトエネルジー) 25pts
3位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) 20pts
山岳賞
1位 ルイス・マス(スペイン、カハルーラル) 29pts
2位 シルヴァン・ディリエ(スイス、アージェードゥーゼール) 15pts
3位 アルバロ・クアドロス(スペイン、カハルーラル) 15pts
text:Kei Tsuji

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