中東、アラブ首長国連邦で行われたステージレース、シャールジャ・ツアー(UCI2.1)。キナンサイクリングチーム、インタープロストラーダリーサイクリング、ジャパンナショナルチームの3つの日本チームが出場した4日間に渡るステージレースの模様をダイジェストでお伝えしよう。



第1ステージ日本勢最高位の27位となった佐野淳哉(ジャパンナショナルチーム)第1ステージ日本勢最高位の27位となった佐野淳哉(ジャパンナショナルチーム) (c)JCF第1ステージをスタートするトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)第1ステージをスタートするトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) photo:Syunsuke FUKUMITSU


アラブ首長国連邦で開催された4日間のシャールジャ・ツアー(UCI2.1)は、シーズンインの場として主にアジアを拠点とするチームが参加する中東ステージレース。今年はヨーロッパを主戦場とするプロコンチネンタルチームも4チームが出場し、日本からはキナンサイクリングチームとインタープロストラーダリーサイクリング、そしてジャパンナショナルチームの3チームがシーズン初戦に挑んだ。

第1ステージは10.2kmの個人タイムトライアル。風の影響を常に受ける湾岸のフラットコースで行われたレースはジュリアン・モーリス(フランス、ヴィタルコンセプト)が47.813km/hのスピードで駆け抜け勝利。日本勢は40秒遅れの27位の佐野淳哉(ジャパンナショナルチーム)が最高位となった。

第2ステージで集団の中で走る雨乞竜己(キナンサイクリングチーム)と山本元喜(キナンサイクリングチーム)第2ステージで集団の中で走る雨乞竜己(キナンサイクリングチーム)と山本元喜(キナンサイクリングチーム) photo:Syunsuke FUKUMITSU第2ステージ チームでまとまりながら走るキナンサイクリングチーム第2ステージ チームでまとまりながら走るキナンサイクリングチーム photo:Syunsuke FUKUMITSU


第2ステージはフラットな砂漠地帯を駆け抜ける151.5kmのスプリントステージ。残り1km地点からの完璧なリードアウトを受けた23歳のヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ・セッレイタリア)が圧勝。日本勢は雨乞竜己と中島康晴(共にキナンサイクリングチーム)がスプリントに加わり、それぞれ7位と9位に入っている。

続く第3ステージは今大会唯一となる116.7kmの山岳ステージ。3級、2級、2級、1級と4つの山岳をこなすレースは、キナンサイクリングチームが逃げに乗るなどして存在感を示した。最後は4名によるスプリントで決着しサリム・キップケンボイ(ケニヤ、バイクエイド)が先着。トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)も2位に入っており、総合成績を2位までジャンプアップさせた。なお日本人最高位は岡本隼(ジャパンナショナルチーム)の22位。

第3ステージ 日本人最高順位の22位でフィニッシュした岡本隼(ジャパンナショナルチーム)第3ステージ 日本人最高順位の22位でフィニッシュした岡本隼(ジャパンナショナルチーム) (c)JCFレースのスタートを待つ日本勢レースのスタートを待つ日本勢 (c)JCF

第4ステージ キナンサイクリングチームはスプリントを託す雨乞竜己を守りながら走る第4ステージ キナンサイクリングチームはスプリントを託す雨乞竜己を守りながら走る photo:Syunsuke FUKUMITSU圧倒的なスプリント力で今大会2勝目を上げたヤコブ・マレチコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ・セッレイタリア)圧倒的なスプリント力で今大会2勝目を上げたヤコブ・マレチコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ・セッレイタリア) (c)Wilier Triestina


最終ステージは9.9kmのフラットコースを10周回する99.1km。ジャパンナショナルチームの佐野淳哉と松田祥位が逃げるが吸収され、アジアレースとの相性が良いマレツコが圧倒的なスピードを披露し今大会2勝目を達成。日本勢最高位は11位の岡本隼(ジャパンナショナルチーム)という結果になった。

総合優勝したのは第3ステージで躍進したハビエル・モレノ(スペイン、デルコ・マルセイユプロヴァンスKTM)。昨年までモビスターやバーレーン・メリダなどのワールドチームに所属した山岳スペシャリストだが、昨年のジロ・デ・イタリアで他選手を手で押し出し落車させ失格処分に。今シーズンはフランスのプロコンチネンタルチームに所属していたが、初戦にして総合優勝を達成。ワールドツアークラスの実力をコンスタントに見せた結果と言えるだろう。

若手選手を中心としたメンバーで臨んだジャパンナショナルチーム若手選手を中心としたメンバーで臨んだジャパンナショナルチーム (c)JCFシーズン初戦を総合2位で終えたトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)シーズン初戦を総合2位で終えたトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) photo:Syunsuke FUKUMITSU


総合2位に入ったトマ・ルバは「シーズン開幕戦で素晴らしいリザルトを残せたのは、チームとしての意識の高さが関係していると思う。昨シーズンはツール・ド・フィリピン(ジャイ・クロフォードが個人総合優勝)で、そして今年はシャールジャ・ツアーで絶好のスタートを切ることができて嬉しい。」とコメント。キナンサイクリングチームにとっては収穫の多い大会となったようだ。

ジャパンナショナルチームの浅田彰監督は「4日間を通じて、2日目には小野寺の残念な落車もあったが、各選手は毎ステージの課題に取り組んだ結果、尻上がり調子にレースを終えた。続くアジア選手権、またはシーズンインに向けての準備が整った。」と総括。2月8日から開催されるアジア選手権にも期待が持てそうだ。
第1ステージ結果
1位 ジュリアン・モーリス(フランス、ヴィタルコンセプト) 12'48"
2位 ガエタン・ビール(ドイツ、ソバック・ナチュラ4エヴァー) +2"
3位 クリス・ボックマンス(ベルギー、ヴィタルコンセプト) +4"
4位 エリアス・ファンブリュッセム(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)
5位 マルコ・コレダーン(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ・セッレイタリア) +5"
第2ステージ結果
1位 ヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ・セッレイタリア) 3h32'33"
2位 ブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)
3位 モハメドハリフ・サレー(マレーシア、トレガンヌサイクリングチーム)
4位 ルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ・セッレイタリア)
5位 ロビン・ステヌイユ(ベルギー、ソバック・ナチュラ4エヴァー)
第3ステージ結果
1位 サリム・キップケンボイ(ケニヤ、バイクエイド) 2h59'52"
2位 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)
3位 ハビエル・モレノ(スペイン、デルコ・マルセイユプロヴァンスKTM)
4位 ダヴィデ・レベリン(イタリア、ソバック・ナチュラ4エヴァー)
5位 エディ・ファンヘーデン(南アフリカナショナルチーム) +25"
第4ステージ結果
1位 ヤコブ・マレツコ(ポーランド、ウィリエール・トリエスティーナ・セッレイタリア) 2h06'45"
2位 ブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)
3位 アイディス・クルオピス(リトアニア、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)
4位 モハメドハリフ・サレー(マレーシア、トレガンヌサイクリングチーム)
5位 マイケル・グーラーツ(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)
個人総合成績
1位 ハビエル・モレノ(スペイン、デルコ・マルセイユプロヴァンスKTM) 8h52'32"
2位 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +3"
3位 ニコライ・ミハイロフ(ブルガリア、デルコ・マルセイユプロヴァンスKTM) +15"
4位 サリム・キップケンボイ(ケニヤ、バイクエイド) +17"
5位 クエンティン・パシェ(フランス、ヴィタルコンセプト) +33"
9位 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +53"
28位 岡本隼(ジャパンナショナルチーム) +2'51"
37位 石上優大(ジャパンナショナルチーム) +3'14"
40位 佐野淳哉(ジャパンナショナルチーム) +3'36"
41位 松田祥位(ジャパンナショナルチーム) +3'49"
42位 フロリアン・ウドリ(フランス、インタープロストラーダリーサイクリング) +3'50"
63位 草場啓吾(ジャパンナショナルチーム) +7'42"
64位 ケンレヴィ・アイケランド(ノルウェー、インタープロストラーダリーサイクリング) +7'59"
69位 菱沼由季典(インタープロストラーダリーサイクリング) +10'26"
83位 中島康晴(キナンサイクリングチーム) +13'53"
83位 篠田幸希(インタープロストラーダリーサイクリング) +13'55"
86位 雨乞竜己(キナンサイクリングチーム) +13'57"
87位 椿大志(キナンサイクリングチーム) +13'59"
101位 山本元喜(キナンサイクリングチーム) +16'12"
text:Kosuke.Kamata