BMCレーシングチームに移籍したアレッサンドロ・バッラン(イタリア)は、母国最大のクラシックレースであるミラノ〜サンレモでの勝利を熱望している。スプリンター向きのクラシックと呼ばれているレースだが、バッランにとってサンレモはシーズン最大の目標レースの一つだ。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)が勝利を収めた2009年のミラノ〜サンレモマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)が勝利を収めた2009年のミラノ〜サンレモ photo:Cor Vos「ミラノ〜サンレモは一般的に、マーク・カヴェンディッシュやアレッサンドロ・ペタッキ、ダニエーレ・ベンナーティのようなスプリンター向きのレースと思われている。だから決して僕向きではないんだ。勝利を狙うためには、スプリント勝負に先立ってアタックする必要がある、2006年にフィリッポ・ポッツァートがそうしたようにね」

内陸部のミラノをスタートし、300km近いロングコースを経てリグリア海沿いのサンレモにゴールするミラノ〜サンレモ。スプリント勝負に持ち込まれるのが通例だが、ラスト60kmに詰め込まれた海岸沿いの短い上りがバッランのようなアタッカーにチャンスを与えている。

バッランが移籍するBMCレーシングチームバッランが移籍するBMCレーシングチーム photo:BMC Racing team2010年大会は、ゴール地点が海沿いからコロンボ広場に変更される可能性がある。このコース変更はバッランにとっては有利に働くだろう。ゴール予定地のコロンボ広場は、最後に登場するポッジオの下りから1.8kmしか離れていない。

「(2009年のコースと比べて)ポッジオの下りからゴールまでの距離が1kmも短縮されるんだ。このコース変更が、アタック勝利の可能性を引き上げてくれる」

バッランはイタリア・ヴァレーゼで開催された2008年ロード世界選手権でソロアタックを成功させ、世界チャンピオンの称号を得た。長丁場のレースにおける最終局面でのスピードが彼の持ち味だ。世界選と同じ戦法で、バッランはロンド・ファン・フラーンデレンとヴァッテンフォール・サイクラシックスで勝利を手にした。

BMCレーシングチームに移籍したバッランは、北イタリアのカステルフランコ・ヴェネトにある自宅近くでトレーニングを続けている。1月15日から31日までアメリカ・カリフォルニアで開催されるチームトレーニングキャンプでチームメイトたちと顔を合わせる予定だ。

元世界チャンピオンのアレッサンドロ・バッラン(イタリア)元世界チャンピオンのアレッサンドロ・バッラン(イタリア) photo:Makoto Ayano「2010年シーズンに向けてトレーニングを開始したのは(2009年)12月1日。今は徐々にカラダを作っている段階だ。日曜日は5時間のトレーニングライドをこなしたけど、月曜日はあまりにも寒くて3時間半に留まってしまった」

温暖なカリフォルニアでのトレーニングキャンプの後、バッランは2月7日から12日まで開催されるツアー・オブ・カタールでシーズン初戦を迎える。その後はモンテパスキ・エロイカ、ティレーノ〜アドリアティコ、ミラノ〜サンレモと国内レースをこなし、4月には“北”に移動してロンド・ファン・フラーンデレンやパリ〜ルーベに出場する。

「パリ〜ルーベも勝ちたいレースの一つ。好成績を家に持ち帰りたい」

アメリカに本拠地を置くBMCレーシングチームに移籍するにあたり、バッランは英語の勉強にも余念がない。バッランは地元の英語スクールに通い、更に自宅に家庭教師を招く徹底ぶり。英語の習得に躍起だ。バッランはカリフォルニアでのトレーニングキャンプで英語の会話能力はある程度改善出来るだろうと期待している。




text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji



Gregor.Brown (グレゴー・ブラウン)

イタリア・レッコ在住のアメリカ人プロサイクリング・ジャーナリスト。2005、2006年ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランス、春のクラシック等で綾野 真(シクロワイアード編集長/フォトジャーナリスト)に帯同し、取材活動を行う。2007年よりサイクリングニュース(イギリス)の主筆ジャーナリストとして活躍後、フリーランスに。2009年12月よりシクロワイアード契約ジャーナリストとなる。今後、主にイタリア・英語圏プロサイクリングメディアに活動の舞台を移す。