過去4回イタリアのナショナルTTチャンピオンに輝いているマルコ・ピノッティ(チームコロンビア・HTC)は、寒さの厳しいイタリアでトレーニングに勤しんでいる。2010年、プロ選手として12シーズン目を迎えるTTスペシャリストに、イタリア在住のジャーナリスト、グレゴー・ブラウンがインタビューを行なった。

マルコ・ピノッティ(イタリア、チームコロンビア・HTC)マルコ・ピノッティ(イタリア、チームコロンビア・HTC) (c)CorVosピノッティにはイタリアでトレーニングをこなす理由がある。「イタリアはここしばらく悪天候が続いている。確かにトレーニング向きではないね。でも自宅には生まれたばかりの息子がいるんだ。だからイタリアに残っている」

「この数日は充実したトレーニングが出来たよ。最近は1日4時間バイクトレーニングに出かけている。僕はシーズン序盤からスタートダッシュする必要が無いから、今の時期は1日4時間がちょうどいいんだ」

12月上旬、ピノッティは雪にブロックされた北イタリアを抜け出し、スペインのカナリア諸島で行なわれたチームキャンプに参加した。そこでピノッティはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)らとトレーニングをこなし、2010年のレーススケジュールを練った。

ピノッティのシーズンデビュー戦は、2月7日から11日まで開催されるボルタ・ア・マヨルカ。その後はアジアに脚を伸ばし、初開催されるツアー・オブ・オマーンに出場する。ツアー・オブ・オマーンに関してピノッティは「最終日の個人タイムトライアルが僕向きなんだ。それに、オマーンという国にも興味があるんだ」と意気揚々だ。

シーズン前半の出場レースはほぼ確定しており、オマーンから帰国後は、クラシカ・デ・アルメリア、モンテ・パスキ・エロイカ、ティレーノ~アドリアティコ、パイスバスコ、アムステル・ゴールドレース、フレーシュ・ワロンヌ、ツール・ド・ロマンディ、ジロ・デ・イタリア、そしてツールド・スイスに出場する。

「ジロのモンタルチーノにゴールするステージ(第7ステージ、参照:ジロ2010コース発表)に向けて、エロイカはいい準備レースになるだろうね。同じ未舗装路を通るから」

「パイスバスコからツール・ド・スイスまで、勝利のチャンスはいくつもあると思う。パイスバスコでは再び勝利を狙いたい。でも特に照準を合わせているのは5月のジロ・デ・イタリアだ」。ピノッティは2009年のパイスバスコの第5ステージで優勝。その後、イタリア選手権の個人タイムトライアルでシーズン2勝目を飾った。

ジロで再びマリアローザを着るチャンスがある

イタリアナショナルチャンピオンジャージに身を包み、TTを走るマルコ・ピノッティ(イタリア、チームコロンビア)イタリアナショナルチャンピオンジャージに身を包み、TTを走るマルコ・ピノッティ(イタリア、チームコロンビア) photo:Kei Tsujiジロ・デ・イタリアにはピノッティ向きの個人タイムトライアルが2つ設定されている。1つは初日の8.4kmTT、そしてもう一つが最終日ヴェローナでの15.4kmTT。この2つの“時間との闘い”がピノッティを魅了して止まないのだ。

「どちらも距離は比較的短いけど、いい走りが出来れると思う。5km以上の個人TTでは、いつでもチャンスがあると思っている」

ジロの第1週には32.5kmのチームタイムトライアルも設定されている。仮に初日の個人TTで好タイムをマーク出来れば、クーネオでのチームタイムトライアルでピノッティがマリアローザを獲得する可能性は高い。

ピノッティは2007年にもマリアローザを着用している。スポレートにゴールするステージで2位に入って総合首位に立ったピノッティは、マリアローザを4日間着続けた。2008年にはミラノでの28.5km最終個人TTで優勝を飾っている。

ピノッティの2009年シーズンを振り返ってみると、GPストレーザでの個人TT優勝、イタリア選手権個人TT優勝、そしてパイスバスコでのステージ優勝。更にツール・ド・ロマンディとジロ・デ・イタリアで、チームコロンビアのチームTT優勝に大きく貢献した。2010年も得意のTTを中心に、熟練した走りを見せてくれるはずだ。


text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji



Gregor.Brown (グレゴー・ブラウン)

イタリア・レッコ在住のアメリカ人プロサイクリング・ジャーナリスト。2005、2006年ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランス、春のクラシック等で綾野 真(シクロワイアード編集長/フォトジャーナリスト)に帯同し、取材活動を行う。2007年よりサイクリングニュース(イギリス)の主筆ジャーナリストとして活躍後、フリーランスに。2009年12月よりシクロワイアード契約ジャーナリストとなる。今後、主にイタリア・英語圏プロサイクリングメディアに活動の舞台を移す。