2017/09/10(日) - 08:07
気迫の走りで超級山岳アングリルを駆け上がったアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が、待ち望まれたステージ優勝を達成。ライバルの攻撃を封じきったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が自身初のブエルタ制覇、そして前人未到のツール&ブエルタ連続制覇に王手を掛けた。
いよいよ第72回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は最後の総合争いの場、超級山岳アングリル峠に直面。ステージ中盤から連続して1級山岳コベルトリア峠(長さ8.1km/平均8.6%)と1級山岳コルダル峠(長さ5.7km/平均8.6%)をクリアして、残り12.5km地点からロードレースのオリンポス(神々が住む最高峰)とも、エル・インフェルノ(地獄)とも呼ばれるロードレース界屈指の最凶勾配にアタックする。
ステージ距離は117.5kmと極端に短いが、それは同時にスタートからハイスピードバトルとなることも意味している。雨に濡れたコルベラ・デ・アストゥリアス市街地から午後14時過ぎに、雨具を装備した160名の選手たちが旅立っていった。
ステージ争いは総合勢に委ねられるものと予想されていたが、ここ2日間はメイン集団が逃げに大きなリードを与えたため、もし総合系チーム同士が序盤から牽制すれば大金星の可能性もある。スタート直後の登坂区間を利用して、勝機を伺う18名が逃げグループを作った。
エスケープしたのは、2日連続のトライとなるニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)、アダム&サイモンのイェーツ兄弟(イギリス、オリカ・スコット)、3勝目を狙うトーマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・ソウダル)、元世界王者ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)とエンリク・マス(スペイン)のクイックステップフロアーズコンビ、2度目の勝利を見据えるステファン・デニフル(デンマーク、アクアブルースポート)など、非常にパワフルな選手たち。
粒ぞろいの逃げグループは、順調にチームスカイがコントロールするメイン集団からリードを稼いでいくかに見えた。しかしタイム差が1分に開くと、アルベルト・コンタドール(スペイン)のステージ優勝必勝体制を敷くトレック・セガフレードが、フルメンバーを揃えて逃げグループの勢いを堰き止めに掛かる。後にアスタナも牽引役2名を送り込んだため、この日は終日に渡ってタイム差が2分を超えることがなかった。
谷間の渓谷沿いにじわじわと標高を上げ、1級山岳コベルトリア峠に到達すると、早速逃げグループ内でシャッフルが掛かる。好調のマスが抜け出し、ここにヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が反応。ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)やマルチンスキー、イェーツ兄弟、マルク・ソレール(スペイン、スペイン)、バルデらも後に合流したが、アラフィリップやロッシュといった前日まで積極的に動いた選手や、大会序盤に体調を崩していたイゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)らは力なく遅れていく。
メイン集団では状況を沈静化したいチームスカイがコントロールを担うものの、ペースダウンを嫌ってバーレーン・メリダやカチューシャ・アルペシン、ボーラ・ハンスグローエらが次々と被せていく。最大勾配19%に達する区間でも大きな動きは現れず、ウェットコンディションのダウンヒルに入った。
マイヨロホのフルームが慎重に下る一方、チームメイトと共にペースアップを敢行したのが総合2位にしてダウンヒルの名手ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)。フルームを引き離すには至らなかったが、その後方では総合4位イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)と総合6位ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)が被害を食った。
過去にダウンヒルで大落車を経験しているザカリンは次なる1級山岳コルダル峠の麓で追いついたものの、「下りで一瞬コントロールを失ってしまい、その時点からものすごく恐怖心が出てきてしまった。登りに入った時点で集団は遙か先だった」と振り返るロペスは追走を試みたものの、やがて集団復帰を断念。続いて総合8位のファビオ・アル(イタリア)もペースに付いて行けずに失速し、この日最終的にロペスは総合6位→8位、アルは8位→13位に落ち、アスタナにとって悪夢の一日となってしまう。対象的にバーレーン・メリダのペースメイクからは総合トップ10返り咲きを狙うダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)が単独で抜け出し、逃げているマスと合流すべく先を急いだ。
1分先行する逃げグループでも更なる動きが起こった。コルダル峠KOMまで残り1000mを切った急勾配区間(平均12.5%)でこれまで脚を隠していたバルデがアタックするも、マルチンスキーが追従して決定打には繋がらない。追いつきざまにソレールが仕掛け、僅かなリードを得てKOMを通過。これによってダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)のマイヨモンターニャが確定している。
雨に濡れ、出口が深く曲がり込む危険なコーナーが多いコルダル峠の下りでは落車が頻発し、先行していたモーターバイクや、プッシュを続けていたソレール、メイン集団からアタックしていたデラクルス、そして集団内にいた総合2位ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がコース外に突っ込んだ。激しく身体を打ち付けたデラクルスはリタイアに追い込まれ、ソレールは再スタートを切ったものの、無勝利が続くモビスターへのステージ優勝献上の夢を絶たれてしまう。
このスリッピーな下りを味方につけたのがアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)だった。ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア)と共に抜け出し、デラクルスを待っていたマスも加えた3名が、単独先頭となっていたマルチンスキーから50秒遅れでいよいよアングリルに入っていく。
まだ一般的な勾配が続く残り10km地点で、レース状況は先頭マルチンスキーからコンタドールグループまでは50秒、そこからマイヨロホ集団までは30秒強。力を使い果たしたパンタノが遅れた後、コンタドールは逃げグループにいたS.イェーツやバルデ、ソレールらの力を借りてペースを維持し、残り8.3km地点でマルチンスキーをも吸収。40秒差で追いかけるメイン集団を、少しずつ、しかし着実に引き離していった。
強風吹きすさぶアングリル。ソレールとマスのペースメイクで一呼吸整えたコンタドールは、平均勾配15%前後の激坂区間が始まる残り6.5kmでペースアップを敢行する。軽やかなダンシングを続けるうちに最後まで粘ったソレールが脱落し、遂に"エル・ピストレロ"が独走体制に持ち込んだ。
メイン集団の先頭でフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、バーレーン・メリダ)が刻むペースは、僅かにコンタドールよりも遅かった。タイム差は1分を越え、コンタドールはバーチャルで総合4位ザカリンを追い抜き、やがて総合3位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)にも並ぶ。これを嫌ってザカリン&ケルデルマンコンビがペースアップを開始したことで、ここから総合表彰台を掛けた長い長いシーソーゲームが始まった。
攻め続けるコンタドールは、大観衆の熱狂に包まれた20%超の激坂区間でもペースを保ち続けたが、ペッリツォッティが任務を終えると、ザカリンが高速牽きを始めリードが徐々に削られていく。代わってマイヨロホのフルームはプールスと共にダメ押しのアタックを仕掛け、この動きに総合2位ニーバリとケルデルマンが脱落を喫した。
フルームが劇的に差を詰めてくるが、苦しくもダンシングでリズムを保ち続けたコンタドールが独走をキープ。残り1kmから始まる尾根上のアップダウン区間を飛ばし、フィニッシュライン上では2008年に続く2度目のアングリル制覇を射止める拳銃ポーズが決まった。
キャリア通算68勝となる待望のステージ優勝、そして今大会初のスペイン人選手による初勝利をここアングリルで決めたコンタドールは、ゴール後に「とても、本当にとても特別な一日になった」と振り返る。「このブエルタで、これより最良の方法でさよならを言うことなんて思いもつかない。プロとして引退する前に望んだことが実現した。今日は総合表彰台よりもステージ優勝を優先して走ったんだ。もし総合成績のために走っていたのであれば、もっとコンサバティブな作戦を取っていたし、ステージは取れなかった。本当に記憶に残る勝利だ」と現役最後の勝利を噛み締める。
コンタドールが優勝した17秒後、プールスに付き添われたフルームが第72回ブエルタ・ア・エスパーニャの総合優勝を手中に収めた。インタビュールームにいたコンタドールを祝福した後に「信じられないような気分だよ。最後はコンタドールを捕まえようと全力を尽くしたけれど、彼はあまりにも強かった。現役最後のレースであんな勝ち方をするなんて本当に素晴らしいことだ。そしてここまで尽くしてきてくれたチームメイトにも感謝を。このブエルタは間違いなく自分史上最高レベルにキツいグランツールだった」と語った。第3ステージからマイヨロホを堅守する完全勝利であり、フルームにとっては念願のブエルタ制覇。同年にツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャを共に制すのは史上初の快挙だ。
最後に苦しんだニーバリが何とか総合2位を守り抜いた一方、フルームのアタックで遅れたケルデルマンは苦しい戦いを強いられた。コンタドールから1分11秒遅れたため、ザカリンとコンタドールの逆転を許して総合5位に後退。大ブレーキが掛かったロペスとアルを尻目にプールスが総合6位に躍進し、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)は13位から10位にジャンプアップさせた。
マイヨコンビナーダとマイヨプントスもマイヨロホ同様にフルームがキープ。しかしマイヨプントスは粘りに粘るマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)が、明日の中間スプリントで2位以上、かつゴールスプリントで優勝すれば逆転という可能性を残している。
マドリードにフィニッシュする最終ステージで、フルームがマイヨロホ、ランキング2位のニーバリがマイヨプントス、ヴィレッラがマイヨモンターニャを、そしてランキング2位のコンタドールがマイヨコンビナーダを着用する。
いよいよ第72回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は最後の総合争いの場、超級山岳アングリル峠に直面。ステージ中盤から連続して1級山岳コベルトリア峠(長さ8.1km/平均8.6%)と1級山岳コルダル峠(長さ5.7km/平均8.6%)をクリアして、残り12.5km地点からロードレースのオリンポス(神々が住む最高峰)とも、エル・インフェルノ(地獄)とも呼ばれるロードレース界屈指の最凶勾配にアタックする。
ステージ距離は117.5kmと極端に短いが、それは同時にスタートからハイスピードバトルとなることも意味している。雨に濡れたコルベラ・デ・アストゥリアス市街地から午後14時過ぎに、雨具を装備した160名の選手たちが旅立っていった。
ステージ争いは総合勢に委ねられるものと予想されていたが、ここ2日間はメイン集団が逃げに大きなリードを与えたため、もし総合系チーム同士が序盤から牽制すれば大金星の可能性もある。スタート直後の登坂区間を利用して、勝機を伺う18名が逃げグループを作った。
エスケープしたのは、2日連続のトライとなるニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)、アダム&サイモンのイェーツ兄弟(イギリス、オリカ・スコット)、3勝目を狙うトーマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・ソウダル)、元世界王者ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)とエンリク・マス(スペイン)のクイックステップフロアーズコンビ、2度目の勝利を見据えるステファン・デニフル(デンマーク、アクアブルースポート)など、非常にパワフルな選手たち。
粒ぞろいの逃げグループは、順調にチームスカイがコントロールするメイン集団からリードを稼いでいくかに見えた。しかしタイム差が1分に開くと、アルベルト・コンタドール(スペイン)のステージ優勝必勝体制を敷くトレック・セガフレードが、フルメンバーを揃えて逃げグループの勢いを堰き止めに掛かる。後にアスタナも牽引役2名を送り込んだため、この日は終日に渡ってタイム差が2分を超えることがなかった。
谷間の渓谷沿いにじわじわと標高を上げ、1級山岳コベルトリア峠に到達すると、早速逃げグループ内でシャッフルが掛かる。好調のマスが抜け出し、ここにヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が反応。ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)やマルチンスキー、イェーツ兄弟、マルク・ソレール(スペイン、スペイン)、バルデらも後に合流したが、アラフィリップやロッシュといった前日まで積極的に動いた選手や、大会序盤に体調を崩していたイゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)らは力なく遅れていく。
メイン集団では状況を沈静化したいチームスカイがコントロールを担うものの、ペースダウンを嫌ってバーレーン・メリダやカチューシャ・アルペシン、ボーラ・ハンスグローエらが次々と被せていく。最大勾配19%に達する区間でも大きな動きは現れず、ウェットコンディションのダウンヒルに入った。
マイヨロホのフルームが慎重に下る一方、チームメイトと共にペースアップを敢行したのが総合2位にしてダウンヒルの名手ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)。フルームを引き離すには至らなかったが、その後方では総合4位イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)と総合6位ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)が被害を食った。
過去にダウンヒルで大落車を経験しているザカリンは次なる1級山岳コルダル峠の麓で追いついたものの、「下りで一瞬コントロールを失ってしまい、その時点からものすごく恐怖心が出てきてしまった。登りに入った時点で集団は遙か先だった」と振り返るロペスは追走を試みたものの、やがて集団復帰を断念。続いて総合8位のファビオ・アル(イタリア)もペースに付いて行けずに失速し、この日最終的にロペスは総合6位→8位、アルは8位→13位に落ち、アスタナにとって悪夢の一日となってしまう。対象的にバーレーン・メリダのペースメイクからは総合トップ10返り咲きを狙うダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)が単独で抜け出し、逃げているマスと合流すべく先を急いだ。
1分先行する逃げグループでも更なる動きが起こった。コルダル峠KOMまで残り1000mを切った急勾配区間(平均12.5%)でこれまで脚を隠していたバルデがアタックするも、マルチンスキーが追従して決定打には繋がらない。追いつきざまにソレールが仕掛け、僅かなリードを得てKOMを通過。これによってダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)のマイヨモンターニャが確定している。
雨に濡れ、出口が深く曲がり込む危険なコーナーが多いコルダル峠の下りでは落車が頻発し、先行していたモーターバイクや、プッシュを続けていたソレール、メイン集団からアタックしていたデラクルス、そして集団内にいた総合2位ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がコース外に突っ込んだ。激しく身体を打ち付けたデラクルスはリタイアに追い込まれ、ソレールは再スタートを切ったものの、無勝利が続くモビスターへのステージ優勝献上の夢を絶たれてしまう。
このスリッピーな下りを味方につけたのがアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)だった。ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア)と共に抜け出し、デラクルスを待っていたマスも加えた3名が、単独先頭となっていたマルチンスキーから50秒遅れでいよいよアングリルに入っていく。
まだ一般的な勾配が続く残り10km地点で、レース状況は先頭マルチンスキーからコンタドールグループまでは50秒、そこからマイヨロホ集団までは30秒強。力を使い果たしたパンタノが遅れた後、コンタドールは逃げグループにいたS.イェーツやバルデ、ソレールらの力を借りてペースを維持し、残り8.3km地点でマルチンスキーをも吸収。40秒差で追いかけるメイン集団を、少しずつ、しかし着実に引き離していった。
強風吹きすさぶアングリル。ソレールとマスのペースメイクで一呼吸整えたコンタドールは、平均勾配15%前後の激坂区間が始まる残り6.5kmでペースアップを敢行する。軽やかなダンシングを続けるうちに最後まで粘ったソレールが脱落し、遂に"エル・ピストレロ"が独走体制に持ち込んだ。
メイン集団の先頭でフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、バーレーン・メリダ)が刻むペースは、僅かにコンタドールよりも遅かった。タイム差は1分を越え、コンタドールはバーチャルで総合4位ザカリンを追い抜き、やがて総合3位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)にも並ぶ。これを嫌ってザカリン&ケルデルマンコンビがペースアップを開始したことで、ここから総合表彰台を掛けた長い長いシーソーゲームが始まった。
攻め続けるコンタドールは、大観衆の熱狂に包まれた20%超の激坂区間でもペースを保ち続けたが、ペッリツォッティが任務を終えると、ザカリンが高速牽きを始めリードが徐々に削られていく。代わってマイヨロホのフルームはプールスと共にダメ押しのアタックを仕掛け、この動きに総合2位ニーバリとケルデルマンが脱落を喫した。
フルームが劇的に差を詰めてくるが、苦しくもダンシングでリズムを保ち続けたコンタドールが独走をキープ。残り1kmから始まる尾根上のアップダウン区間を飛ばし、フィニッシュライン上では2008年に続く2度目のアングリル制覇を射止める拳銃ポーズが決まった。
キャリア通算68勝となる待望のステージ優勝、そして今大会初のスペイン人選手による初勝利をここアングリルで決めたコンタドールは、ゴール後に「とても、本当にとても特別な一日になった」と振り返る。「このブエルタで、これより最良の方法でさよならを言うことなんて思いもつかない。プロとして引退する前に望んだことが実現した。今日は総合表彰台よりもステージ優勝を優先して走ったんだ。もし総合成績のために走っていたのであれば、もっとコンサバティブな作戦を取っていたし、ステージは取れなかった。本当に記憶に残る勝利だ」と現役最後の勝利を噛み締める。
コンタドールが優勝した17秒後、プールスに付き添われたフルームが第72回ブエルタ・ア・エスパーニャの総合優勝を手中に収めた。インタビュールームにいたコンタドールを祝福した後に「信じられないような気分だよ。最後はコンタドールを捕まえようと全力を尽くしたけれど、彼はあまりにも強かった。現役最後のレースであんな勝ち方をするなんて本当に素晴らしいことだ。そしてここまで尽くしてきてくれたチームメイトにも感謝を。このブエルタは間違いなく自分史上最高レベルにキツいグランツールだった」と語った。第3ステージからマイヨロホを堅守する完全勝利であり、フルームにとっては念願のブエルタ制覇。同年にツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャを共に制すのは史上初の快挙だ。
最後に苦しんだニーバリが何とか総合2位を守り抜いた一方、フルームのアタックで遅れたケルデルマンは苦しい戦いを強いられた。コンタドールから1分11秒遅れたため、ザカリンとコンタドールの逆転を許して総合5位に後退。大ブレーキが掛かったロペスとアルを尻目にプールスが総合6位に躍進し、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)は13位から10位にジャンプアップさせた。
マイヨコンビナーダとマイヨプントスもマイヨロホ同様にフルームがキープ。しかしマイヨプントスは粘りに粘るマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)が、明日の中間スプリントで2位以上、かつゴールスプリントで優勝すれば逆転という可能性を残している。
マドリードにフィニッシュする最終ステージで、フルームがマイヨロホ、ランキング2位のニーバリがマイヨプントス、ヴィレッラがマイヨモンターニャを、そしてランキング2位のコンタドールがマイヨコンビナーダを着用する。
H3
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第20ステージ
ステージ結果
1位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | 3h31'33" |
2位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | +17" |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | |
4位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ) | +35" |
5位 | フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、バーレーン・メリダ) | +51" |
6位 | ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
7位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | |
8位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | +1'11" |
9位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル) | +1'25" |
10位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | +1'36" |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 79h23'37" |
2位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | +2'15" |
3位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | +2'51" |
4位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | +3'11" |
5位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | +3'15" |
6位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | +6'45" |
7位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | +8'16" |
8位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | +8'59" |
9位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | +11'04" |
10位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | +15'36" |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 153pts |
2位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 128pts |
3位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 127pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) | 67pts |
2位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 47pts |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 35pts |
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 5pts |
2位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | 17pts |
3位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 17pts |
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 237h56'27" |
2位 | モビスター | +6'32" |
3位 | チームスカイ | +8'23" |
txet:So Isobe
photo:Kei Tsuji / TDWsport.CorVos/Unipublic
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