75km/hにも達する超高速スプリントバトルを制したのはサーシャ・モードロ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)。ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)がペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)からリーダージャージを奪った。



華やかなタルノフスキェ・グルィの街をスタートしていく華やかなタルノフスキェ・グルィの街をスタートしていく photo:CorVos
ツール・ド・ポローニュ第2ステージの舞台は、ポーランド南部の街タルノフスキェ・グルィから南下し、142km先のカトヴィツェへと至るコース。毎年下り基調のフィニッシュが設定されるスプリントステージであり、毎年75km/hオーバーの超高速ゴール勝負が繰り広げられている。今年も例に漏れずスプリンターたちが火花を散らした。

真っ先にアタック合戦から抜け出したのは、山岳賞リードを広げたいマルティン・ケイゼル(オランダ、ロットNLユンボ)。ここに自国ポーランドチャンピオンのアドリアン・クレク(CCCスプランディ・ポルコウィチェ)ら3名が加わり、合計4名がボーラ・ハンスグローエがコントロールするメイン集団から逃げ出した。

しかしこの日も比較的短距離、かつスプリントの可能性が高いことで大きなリードは許されない。狙い通りケイゼルはポイントを加算して山岳賞リーダーを守ったものの、クレクを残して3名は逃げグループから脱落。独走に持ち込んだポーランド王者も残り23km地点でスプリント勝負に向かう集団に飲み込まれた。

子供たちの応援を受けて走るエスケープグループ子供たちの応援を受けて走るエスケープグループ photo:CorVos
集団先頭ではマルコ・コールダン(イタリア)らと共に別府史之がペースメイクを担い、ペテル・サガン(スロバキア)のステージ2連勝に意気込むボーラ・ハンスグローエも牽引力を増強して先頭をキープしていく。

この状況に抗ったのがダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)。追従した選手を千切って15秒程度のリードを稼いだものの、残り10kmで吸収。続いてルクセンブルク王者で、先のジロ・デ・イタリアでマリアビアンカを獲得したボブ・ユンゲルス(クイックステップフロアーズ)が、更にネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)がカウンターアタックを敢行するも、単独では分が悪すぎた。

オリカ・スコットやアスタナなどが70km/hオーバーの超ハイペースで激しいポジション争いを繰り広げる中、残り2kmからクイックステップトレインから発射されたペトル・ヴァコッチ(チェコ)が独走に持ち込むも、残り800mで吸収。チームスカイを先頭にゴール勝負になだれ込んでいく。

スプリントを制したサーシャ・モードロ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)スプリントを制したサーシャ・モードロ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
大柄なマックス・ヴァルシャイド(ドイツ、サンウェブ)がシッティングのまま加速。ボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレック・セガフレード)とダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)の兄弟対決が繰り広げる中、一際伸びたのはサーシャ・モードロ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)。追い上げるDファンポッペルを抑えて先着し、今季4勝目、UCIワールドツアーでは今季初勝利を挙げた。

リーダージャージのサガンはポジションを失ってボーナスタイム獲得県外の8位に沈んだ。2位のDファンポッペルと総合成績ではタイム差無しに並び、1位→8位となったサガンに対し3位→2位と安定した成績を出したDファンポッペルに総合首位が移った。

総合首位に立ったダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)総合首位に立ったダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ) photo:CorVos
勝利したモードロは「強い向かい風が吹いていたので、タイミングをじっと待ったんだ。チームメイトの(ロベルト)フェラーリに連れられて前に上がり、勝つことができた」と勝利を喜ぶコメントを残している。

翌第3ステージは、4つの1級山岳を越えてから最大勾配20%の激坂を登ってフィニッシュする、今大会最初の総合ステージ。2日間息を潜めてきた総合勢による勝負が繰り広げられるだろう。
H3
ツール・ド・ポローニュ2017第2ステージ
結果
1位 サーシャ・モードロ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 3h15'21"
2位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)
3位 マックス・ヴァルシャイド(ドイツ、サンウェブ)
4位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレック・セガフレード)
5位 ユーセフ・レグイグイ(アルジェリア、ディメンションデータ)
6位 トム・ヴァンアスブロック(ベルギー、キャノンデール・ドラパック)
7位 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)
8位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
9位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)
10位 ネイサン・ハース(オーストア、ディメンションデータ)
個人総合成績
1位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ) 6h11'27"
2位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 サーシャ・モードロ(スロベニア、UAEアブダビ)
4位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) +04"
5位 マックス・ヴァルシャイド(ドイツ、サンウェブ) +06"
6位 カミル・グリデク(ポーランド、ポーランドナショナルチーム) +07"
7位 ネイサン・ハース(オーストア、ディメンションデータ) +09"
8位 ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)
9位 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ) +10"
10位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレック・セガフレード)
ポイント賞
1位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ) 37pts
2位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 33pts
3位 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ) 30pts
山岳賞
1位 マルティン・ケイゼル(オランダ、ロットNLユンボ) 2pts
2位 パウェル・ベルナス(ポーランド、ポーランドナショナルチーム) 2pts
チーム総合成績
1位 ディメンションデータ 18h34'51
2位 ガスプロム・ラスヴェロ
3位 チームスカイ
text:So.Isobe
photo:CorVos