ツールを終えた強豪勢が多数集結したクラシカ・サンセバスティアンで、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)が小集団スプリントを制して初優勝。新城幸也(バーレーン・メリダ)はDNFに終わった。



ジロ・デ・イタリアを制したトム・ドゥムラン(オランダ、サンウェブ)ジロ・デ・イタリアを制したトム・ドゥムラン(オランダ、サンウェブ) photo:CorVos失意のツール・ド・フランスからレース復帰したジョージ・ベネット(アメリカ、ロットNLユンボ)失意のツール・ド・フランスからレース復帰したジョージ・ベネット(アメリカ、ロットNLユンボ) photo:CorVos


37回大会を迎えたクラシカ・サンセバスティアン(UCIワールドツアー)の舞台は、言わずと知れたスペインはバスク地方。かつて自治体が出資するエウスカルテルチームが長く存続するなど、熱狂的な自転車愛を持つ同地方最大のワンデーレースだ。

レースはビスケー湾に面した港湾都市サンセバスティアンを発着する起伏に富んだコースで行われた。サンセバスティアンは「ビスケー湾の真珠」と形容されるバスク地方随一のリゾート地であり、フランス国境からすぐの距離にある。

コースはサンセバスティアンの中心部から山岳へ向かい、3級、2級、3級、1級、2級、1級、2級、2級と山岳を8つ、そしてカテゴライズされない細かなアップダウンを経るため、獲得標高は4000mを超える。最大勾配が20%に達し、フィニッシュライン手前8kmに用意された2級山岳ボルダコ・トントーラが勝負を動かした。

美しいサンセバスティアンの街をスタートしていく美しいサンセバスティアンの街をスタートしていく photo:CorVos
ディフェンディングチャンピオンで、このレースと相性の良いバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)や、地元レースに意気込むミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)、グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)、サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)など、6日前に閉幕したツール・ド・フランスで活躍した選手が多数顔を揃え、新城幸也もバーレーン・メリダを率いて参加。40歳の大ベテラン、アイマル・スベルディア(スペイン)は地元最大のイベントを引退レースに選んだ。

この日逃げたのは元U23世界王者のスヴェンエリック・ビストラム(ノルウェー、カチューシャ)、イマノル・エルビティ(スペイン、モビスター)、ミカエル・ドラージュ(フランス、エフデジ)といった協力な7名。しかしメイン集団ではオリカ・スコットやチームスカイが徹底的にコントロールを行ったため、リードが6分台に届くことはなかった。

カテゴリー山岳を8つ、獲得標高は4000mを超えるカテゴリー山岳を8つ、獲得標高は4000mを超える photo:CorVos
熱狂的な応援を受けるアイマル・スベルディア(スペイン、トレック・セガフレード)熱狂的な応援を受けるアイマル・スベルディア(スペイン、トレック・セガフレード) photo:CorVos登坂をこなす新城幸也(バーレーン・メリダ)登坂をこなす新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Miwa IIJIMA/CorVos


残り距離が70kmを割り込むと、1級山岳ハイスキベル峠で逃げ集団からはエルビティが独走を開始する。メイン集団でもキャノンデール・ドラパックが牽引に加わったことでペースが徐々に上がり、フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)は早々に脱落。「楽しみにしていたレースだったが脚が攣ったり、とにかく身体が動かなかった。ツールで思っていた以上に疲れを引きずっていたのかもしれない」という新城も同じタイミングで集団から離れていった。

チームスカイの組織的な牽きによってエルビティは残り55kmで吸収され、ここからいよいよ本格的な勝負が幕を開ける。テクニカルな下りでアージェードゥーゼルが速度を上げたものの動きは生まれず、ペースが緩んだタイミングからカウンターアタックが勃発する。2級山岳アルカレ峠を前に10名ほどの逃げグループが生まれ、ダウンヒル区間でジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)が独走に持ち込んだ。

およそ30秒弱で逃げるモスコンにはアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)とエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)が追走したものの、追いつくことなく集団に飲み込まれる。そして単独でハイペースを刻んだモスコンも最後の2級山岳ボルダコ・トントーラで吸収された。

トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)、ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)先頭で最後の山岳をクリアしていくトニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)、ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)先頭で最後の山岳をクリアしていく photo:CorVos
3名を追いかけるミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)とトム・ドゥムラン(オランダ、サンウェブ)3名を追いかけるミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)とトム・ドゥムラン(オランダ、サンウェブ) photo:CorVos
イェンス・クールレール(ベルギー)のためにペースを上げる集団からは、ミケル・二エべ(スペイン、チームスカイ)がアタックするものの決まらない。するとランダとトニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)が動いた。

最後のKOM目掛けて進む2名に対して、「調子が良かったので2人を目掛けて追い込んだ」というモレマが合流。「この3人なら自分に勝機があると思い全力で牽いたけれど、下り区間で(ミカル)クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)と(トム)ドゥムラン(オランダ、サンウェブ)が追いつかれてしまった」とモレマが振り返る通り、先頭は5名に。メイン集団は後手に回ったオリカなどが牽いたものの、残り2kmでその差は30秒。勝負権は逃げる5名に委ねられた。

チームスカイはスプリント力に秀でるクウィアトコウスキーをエースに、ランダをアタックさせライバルたちに揺さぶりを掛けていく。しかしメンバーがバラけることはなく、ランダのペースメイクのままスプリントへ。ガロパンを交わしたクウィアトコウスキーが余裕のスプリントで快勝した。

5名のスプリント勝負を制したミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)5名のスプリント勝負を制したミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:CorVos
声援に応えながら最後のフィニッシュラインを切るアイマル・スベルディア(スペイン、トレック・セガフレード)声援に応えながら最後のフィニッシュラインを切るアイマル・スベルディア(スペイン、トレック・セガフレード) photo:CorVos単独追走するも届かなかったアルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック)単独追走するも届かなかったアルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック) photo:CorVos


「思い描いていた通りの筋書きになった。序盤から主導権を握り、今日は勝てると強い自信を持ってレースに挑んだ末の勝利。ランダの献身的なサポートを受けて、熱狂的なバスクファンの前で勝てて素晴らしい」とは、チームスカイの波状攻撃を自身初のサンセバスティアン優勝に繋げたクウィアトコウスキー。

「ツールの後は1週間休養を取っていたので、どう身体が動くか分からなかった。でも休みを入れたことでサンセバスティアンに向けて準備ができていたようだ」と語っている。

クラシカ・サンセバスティアン2017表彰台クラシカ・サンセバスティアン2017表彰台 photo:CorVos
途中170km地点で遅れた新城はそのままDNF。オランダで開催されるビンクバンクツアー(UCIワールドツアー)で、その先にはエネコツアー(UCIワールドツアー)を控える新城は「しっかり(身体を)メンテナンスして次に望みたい」と語っている。
クラシカ・サンセバスティアン2017
1位ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)5h52'53
2位トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
3位バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
4位トム・ドゥムラン(オランダ、サンウェブ)
5位ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)+02"
6位アルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック)+28"
7位アントニー・ルー(フランス、エフデジ)+38"
8位グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
9位ティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル)
10位ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)
DNF新城幸也(バーレーン・メリダ)
text:So.Isobe
photo:CorVos
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