2017/07/23(日) - 03:04
フランス南部のマルセイユの街中を走る22.5kmコースで行われた最終日前日の個人タイムトライアル。マチェイ・ボドナルが同じポーランド出身のミカル・クウィアトコウスキーを1秒差で下してステージ優勝。ステージ3位のクリストファー・フルームが自身4度目の総合優勝を確定させた。
マイヨジョーヌを着て走るクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport
ツール・ド・フランス2017第20ステージ ©GEOATLAS
ツール・ド・フランス2017第20ステージ ©A.S.O.
第104代マイヨジョーヌを決める22.5kmの個人タイムトライアル。港湾都市マルセイユを走るコースは大部分がフラットだが、後半にかけて丘の上に位置するノートルダム・ド・ラ・ガルド教会(標高116m)を通過する。急勾配の登りとテクニカルな下りを含むコースで最後のマイヨジョーヌ争いが繰り広げられた。
快晴で風も弱めのイコールコンディション。22.5kmコースを平均47.788km/hで駆け抜け、28分15秒の暫定トップタイムを出して後続の走りを待ったのは52番手スタートのマチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)。世界王者トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット)、ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)も好走したがボドナルのタイムには届かない。
ボドナルの中間計測タイムを更新したのは110番手スタートのミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)だった。同じポーランド出身のクウィアトコウスキーが第1計測(10.2km地点)でボドナルのタイムを6秒更新すると、ノートルダム・ド・ラ・ガルド教会の前に設置された第2計測(15.6km地点)でも1秒リード。しかし続く下り区間と終盤の平坦区間でタイムを伸ばせず、クウィアトコウスキーはボドナルに1秒届かなかった。
出走のタイム差が1分から2分に切り替わり、総合トップ18の走りが始まるとボドナルやクウィアトコウスキーに肉薄するタイムを出す選手が続出する。第2計測で暫定1位クウィアトコウスキーと同タイムをマークしたのは総合10位のアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)。最終的にステージ5位に入ったコンタドールは、2日前にワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)に奪われた総合9位の座を奪回した。
総合7位サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)と総合8位ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ)によるマイヨブラン争いは接戦に。前半にリードしたイェーツを後半にかけてマインティーズが挽回し、両者ともにトップから1分34秒遅れでフィニッシュ。つまりマイヨブランは動かずイェーツが守った。
息を整えながら下りに突入するマチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
2つの中間計測ポイントでトップタイムをマークしたミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport
序盤からペースが上がらずステージ52位に終わったロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Tim de Waele / TDWsport
そして注目はマイヨジョーヌ争いに。総合4位ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)、総合3位リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)、総合2位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、そしてマイヨジョーヌのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が2分差でスタートしていく。
4名の中で前半から伸び悩んだのは総合2位のバルデだった。フルームが第1計測をクウィアトコウスキーのトップタイムから2秒遅れで通過した一方で、バルデは45秒も遅れてしまう。バルデはその後もペースを上げることができずに第2計測で1分17秒遅れ、さらに終盤の平坦区間でもタイムを失って2分03秒遅れのステージ52位に沈んだ。総合3位のウランは最終コーナーでオーバーランして落車しかけながらもステージ8位に入り、バルデを抜いて総合2位の座を射止めている。
フルームは第2計測をトップから3秒遅れで通過すると、その後も総合ライバルたちを圧倒するペースを披露。2分先にスタートしたバルデのフィニッシュからわずか3秒遅れでフルームがフィニッシュラインを切った。ステージ優勝には6秒届かなかったが、マイヨジョーヌを守り、その総合リードを広げることに成功している。バルデはステージ15位のランダに挽回されながらも1秒差で総合3位を守っている。
マイヨジョーヌを着るクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が前半から快走する photo:Tim de Waele / TDWsport
ステージ8位に入る走りで総合2位にジャンプアップしたリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) photo:Tim de Waele / TDWsport
ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)は51秒差のステージ15位に photo:Tim de Waele / TDWsport
マイヨアポワを着るワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)はステージ19位 photo:Tim de Waele / TDWsport
ステージ40位に終わったダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
マインティーズと同タイムを記録してマイヨブランを守ったサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) photo:Tim de Waele / TDWsport
ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ)はイェーツと同タイムのステージ33位 photo:Tim de Waele / TDWsport
「信じられない」と驚くのは、2時間半にわたってホットシートでライバルたちの走りを見続けたボドナル。ポーランドのTTナショナルチャンピオンに4度輝いている32歳のスペシャリストが、11度目のグランツール(5度目のツール)で初のステージ遊手を掴んだ。「今年は惜しいところでステージ優勝を逃していたのでより一層嬉しい。クウィアトコウスキーが好タイムを出した時は肝を冷やした。フルームらを下して手にしたこの勝利は極めて大きな意味を持つ」。
そして、オランジュ・ヴェロドロームの表彰台でフルームがマイヨジョーヌに袖を通した。「言葉が出てこないほど信じられない気持ちに包まれている。これまで経験したことのないほど僅差のツール・ド・フランス。もっと大きなリードでこの個人TTに挑めると思っていた。プレッシャーはあったけど、そのプレッシャーが良い方向に働いたと思う」。自身4度目の総合優勝を実質的に確定させたフルームは、翌日、マイヨジョーヌを着てパリ・シャンゼリゼに凱旋する。
ステージ108位で個人TTを終えた新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
総合優勝を確定させたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport



第104代マイヨジョーヌを決める22.5kmの個人タイムトライアル。港湾都市マルセイユを走るコースは大部分がフラットだが、後半にかけて丘の上に位置するノートルダム・ド・ラ・ガルド教会(標高116m)を通過する。急勾配の登りとテクニカルな下りを含むコースで最後のマイヨジョーヌ争いが繰り広げられた。
快晴で風も弱めのイコールコンディション。22.5kmコースを平均47.788km/hで駆け抜け、28分15秒の暫定トップタイムを出して後続の走りを待ったのは52番手スタートのマチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)。世界王者トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット)、ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)も好走したがボドナルのタイムには届かない。
ボドナルの中間計測タイムを更新したのは110番手スタートのミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)だった。同じポーランド出身のクウィアトコウスキーが第1計測(10.2km地点)でボドナルのタイムを6秒更新すると、ノートルダム・ド・ラ・ガルド教会の前に設置された第2計測(15.6km地点)でも1秒リード。しかし続く下り区間と終盤の平坦区間でタイムを伸ばせず、クウィアトコウスキーはボドナルに1秒届かなかった。
出走のタイム差が1分から2分に切り替わり、総合トップ18の走りが始まるとボドナルやクウィアトコウスキーに肉薄するタイムを出す選手が続出する。第2計測で暫定1位クウィアトコウスキーと同タイムをマークしたのは総合10位のアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)。最終的にステージ5位に入ったコンタドールは、2日前にワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)に奪われた総合9位の座を奪回した。
総合7位サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)と総合8位ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ)によるマイヨブラン争いは接戦に。前半にリードしたイェーツを後半にかけてマインティーズが挽回し、両者ともにトップから1分34秒遅れでフィニッシュ。つまりマイヨブランは動かずイェーツが守った。



そして注目はマイヨジョーヌ争いに。総合4位ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)、総合3位リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)、総合2位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、そしてマイヨジョーヌのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が2分差でスタートしていく。
4名の中で前半から伸び悩んだのは総合2位のバルデだった。フルームが第1計測をクウィアトコウスキーのトップタイムから2秒遅れで通過した一方で、バルデは45秒も遅れてしまう。バルデはその後もペースを上げることができずに第2計測で1分17秒遅れ、さらに終盤の平坦区間でもタイムを失って2分03秒遅れのステージ52位に沈んだ。総合3位のウランは最終コーナーでオーバーランして落車しかけながらもステージ8位に入り、バルデを抜いて総合2位の座を射止めている。
フルームは第2計測をトップから3秒遅れで通過すると、その後も総合ライバルたちを圧倒するペースを披露。2分先にスタートしたバルデのフィニッシュからわずか3秒遅れでフルームがフィニッシュラインを切った。ステージ優勝には6秒届かなかったが、マイヨジョーヌを守り、その総合リードを広げることに成功している。バルデはステージ15位のランダに挽回されながらも1秒差で総合3位を守っている。







「信じられない」と驚くのは、2時間半にわたってホットシートでライバルたちの走りを見続けたボドナル。ポーランドのTTナショナルチャンピオンに4度輝いている32歳のスペシャリストが、11度目のグランツール(5度目のツール)で初のステージ遊手を掴んだ。「今年は惜しいところでステージ優勝を逃していたのでより一層嬉しい。クウィアトコウスキーが好タイムを出した時は肝を冷やした。フルームらを下して手にしたこの勝利は極めて大きな意味を持つ」。
そして、オランジュ・ヴェロドロームの表彰台でフルームがマイヨジョーヌに袖を通した。「言葉が出てこないほど信じられない気持ちに包まれている。これまで経験したことのないほど僅差のツール・ド・フランス。もっと大きなリードでこの個人TTに挑めると思っていた。プレッシャーはあったけど、そのプレッシャーが良い方向に働いたと思う」。自身4度目の総合優勝を実質的に確定させたフルームは、翌日、マイヨジョーヌを着てパリ・シャンゼリゼに凱旋する。


H3
ツール・ド・フランス2017第20ステージ結果
ステージ成績
1位 | マチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 28:15 |
2位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 0:01 |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:06 |
4位 | トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | 0:14 |
5位 | ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット) | 0:20 |
6位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | 0:21 |
7位 | ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ) | 0:28 |
8位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) | 0:31 |
9位 | シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) | 0:34 |
10位 | シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー) | 0:37 |
15位 | ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) | 0:51 |
19位 | ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) | 1:09 |
22位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 1:16 |
32位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 1:34 |
33位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | |
40位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | 1:52 |
52位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 2:03 |
108位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 3:05 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 83:55:16 |
2位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) | 0:54 |
3位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 2:20 |
4位 | ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) | 2:21 |
5位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 3:05 |
6位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | 4:42 |
7位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 6:14 |
8位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | 8:20 |
9位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | 8:49 |
10位 | ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) | 9:25 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 364ts |
2位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) | 204pts |
3位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | 200pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) | 169pts |
2位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) | 80pts |
3位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) | 64pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 84:01:30 |
2位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | 2:06 |
3位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 27:07 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 252:04:09 |
2位 | アージェードゥーゼール | 7:14 |
3位 | トレック・セガフレード | 1:44:46 |
text&photo:Kei Tsuji in Marseille, France
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