チームスカイの総合エースを務めてきたゲラント・トーマス(イギリス)がジロを去る。原因は第9ステージの落車で負った膝の負傷が悪化していため。チームスカイはこれからステージ優勝狙いに切り替えるという。



第12ステージで膝を気にしながら走るゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)第12ステージで膝を気にしながら走るゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 未だに議論を呼に続ける、停車していた警察バイクとの接触が引き起こした大落車。肩を脱臼し、5分以上遅れながらも翌日の個人TTでステージ2位に入るなど攻める姿勢を崩さなかったトーマスだったが、打ちつけた膝の状態が悪化。昨12ステージでは平坦ステージにも関わらず31秒遅れるなど、痛みに苦しんでいた。

「先週日曜日のクラッシュからずっと苦しめられてきた。肩の痛みはまだ耐えることができるものの、膝の状態が日をおうごとに悪化してきてしまった。もちろんシーズン最大の目標としてきたジロをこんな形で去るのは偲びないが、先を見据える上ではそうせざるを得なかった」とトーマスは離脱の理由をコメントする。「ステージをこなすこともできるだろうが、それはもはやレースを戦うよりも完走を繰り返すことでしかなくなる」。

これから症状を改善し、7月のツール・ド・フランスに向けて再び調子を整えていくというトーマス。「ジロ開幕時と同じくらいのコンディションに持っていきたい。このジロを共に過ごした全てのスタッフや選手に感謝したい。ジロを走るという経験は素晴らしい経験になったし、本当に楽しめた。またこの場に戻ってきたい」とファンに向けて語っている。

ジロ開幕時にもう一人のエースとして据えられていたミケル・ランダ(スペイン)もトーマスと同じ落車の被害に遭い、現在もレースを続行こそしているものの、総合で42分遅れという状況。これからはチームとしてステージ優勝に切り替えていくという。2013年のブラドレー・ウィギンズ(イギリス)、2015年のリッチー・ポート(オーストラリア)、昨年のランダとチームスカイは毎年ジロで総合エースを失う不運が続いており、今年もその波に飲み込まれてしまった。

text:So.Isobe